ゆえにここより外に出、世界の表舞台で歌う。世界の片隅で私を見つけた人のために。
中華スラムの浮浪児のお話、かと思いきや、がっつりSF要素が入ってくるヘビーな世界観の百合です。
主人公は両親を殺されて街のゴロツキとして生きる女の子、彼女は母親譲りの美貌と歌声をひた隠しにして生きていくことを誓っていますが、ひょんなことからとある『児童施設』の少女と出会い、その運命を大きく変えることになります。
中華系スラム、謎の侵略者に襲われる近未来、そこで生きている主人公や彼女の周りの人々。どれをとっても素晴らしい描写力で、まるで映画を観ているような感覚に陥ります。ほのかな感情をにおわせるのではなく、バチバチに激しく感情をぶつけ合う女の子たちの描写はさすがの一言。女の子の生の感情を忌憚なく書かれるのが最大の魅力と言えましょう。もちろん構成力、世界観の構築なども圧巻ですが。
こちらは連載中の別作品のスピンオフとなりますので、そちらも気になる方はぜひ。
本当に何度読み返したか覚えていないほど何度も読み耽っています。美しいだけではない百合、厳しい世界で生きるために選択を下す彼女らの道を、ぜひ楽しんでいただきたい作品です。
非常に楽しませていただきました。
一言でまとめるなら、「中華系スラム街魔法少女百合」と言ったところでしょうか。ここでいう魔法少女は、人が死ぬタイプのやつです。
世界観、キャラクター同時の人情劇、そして彼女らが住む世界の匂いが漂ってきそうな表現力。そして何と言っても小説そのものの構成力でしょう。これは最後まで読んでいただいて、この作品から溢れ出るエモーショナルを味わってほしい。
自分の置かれた境遇にただ受動的に立ち回るしかなかった少女が、過酷な試練を乗り越えてついに相棒を見つけ、世界の表舞台へと旅立つ。
そして彼女らがどのような思いで最期を迎えたのか、読者はあくまで断片的な情報しか与えられない(もちろんほとん答えは出ていますが)。そんな演出が本来ならばハッピーエンドとは言えないかもしれない2人の旅路をロマンチックなものに飾り立てている。それこそ、この話の随所に散りばめられた「昭和」らしさを伴いながら。
これは月並みな表現ですが、なんだか生きる力をもらえました。読了したのは日曜日の夜という週で最も憂鬱な日ですが、リーリヤとタイガの生き様を見せつけられた今、明日からも頑張ろうという気持ちが湧き上がってきています。
素敵な作品をありがとうございました。あなたの執筆活動をこれからも応援していきます。
十歳のリーリヤは、公衆便所を住処とする浮浪児。
美男美女の両親をマフィアに殺された彼女は、
自らの美貌はいずれ災いとなると理解していた。
外国人の少女との出会いが、運命を変える。
外世界から侵略者が襲ってくる近未来。
対抗できるのは、ワルキューレ因子を持つ少女たちだけ。
……の、はずだった。
別作品(連載中)のスピンオフなので、
この数年後のリーリヤの姿は知っています。
あっちの彼女の喋り方はイライラしますが(笑)。
頭が良くて強かで、どんな汚い手を使ってでも、
自分の生きる道を自分で切り拓いていける少女は格好いい。
十歳でここまで賢くならざるを得なかった生い立ちは不幸ですが、
自分が選んだ道に関しては全く後悔しなかったはず。
一人の少女が、もう一人の少女と出会って、
アイドルになることを決意したお話。
面白かったです。