ハイスペック園児 まさや君 其の8

あきらさん

第1話

 今日も我が『ファンタスティック幼稚園』では、園児達が元気に遊んでいた。

 まさや君とみどりちゃんとゆうき君は、砂場でおままごとをしようとしている。


「じゃあ、ボクとみどりちゃんは夫婦役で、ゆうき君はボクの留守中に団地妻を狙ってやって来た宅配員ね」

「ちょ……ちょっとまさや君! 何か設定が不思議だけど大丈夫!? もうちょっと、ちゃんとした設定の方が良いんじゃないかしら!?」

「ちゃんとした団地妻ですか?」

「いや、そうじゃなくて!」


 団地妻なんて言葉、何処で覚えたのかしら!?

 偏見かも知れないけど、正直いやらしいイメージしか湧かないわ……


「しょうがない。より子先生がそこまで言うなら設定を変えましょう。じゃあ、ボクはサッカー選手で、みどりちゃんは女医の産婦人科の先生。ゆうき君はマサイ族ね」

「ちょっとまさや君! 3人共、全く接点無さそうだけど大丈夫!?」

「大丈夫だよ、より子先生。接点どころか、3人は全く出会わないから」

「それじゃ楽しくないでしょ!? せっかく3人でやってるんだから、もうちょっと皆で関わりを持てる設定の方が、良いと思うわよ!」

「より子先生は注文が多いなぁ……。じゃ、こういうのはどう? ボクがタヌキで、みどりちゃんがキツネ。それで……」


 あっ! やっと何か童謡っぽい設定になってきた!


「ゆうき君が武田 鉄◯」

「ど◯兵衛なの!? それはダメ! いろんな意味でダメよ!」

「そうかなぁ……? CM撮影風コントをやるには良いと思うんだけど……」


 コントって言っちゃってるし!!

 それにどちらかといったら、みどりちゃんがタヌキでしょ!!


「じゃ逆に聞くけど、より子先生はどういう設定が良いと思うの?」


 園児にとか言われると、何か嫌な感じするけど、まぁ良いわ……


「そうね。まさや君は賢いから学校の先生なんか良いんじゃないかしら? みどりちゃんとゆうき君は生徒役になって、まさや君がいろいろな事を教えてあげるっていうのはどう?」

「手取り足取りですか?」


 そういう言い方をすると、またいやらしくなるでしょ!!


「みどり、何かそれだとつまんな〜い!」

「より子先生。これだといつまで経っても配役が決まらない気がします。もうこの際だから、皆がやりたい役をやるっていうのはどうですか?」

「ま……まぁそれでも良いかも知れないわね」

「じゃ、ゆうき君は何をやりたい?」

「ボク、マサイ族」

「みどりもマサイ族やりたい!」

「じゃ、ボクもマサイ族やります」


 いつの間にか私も一緒に、マサイ族をやる羽目になってしまった……

 私達4人は少し長めの棒きれを持ち、ひたすらジャンプするという遊びを、お迎えが来るまで延々と行うのであった……

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