読めば読むほど、味が出る、匂い立つ作品

僕が今まで読んだ作品の中で最も繰り返し読んでいる作品です。何回読んでも飽きない。読む度に毎度新たな発見があり、作者の緻密さに驚かされます。伏線の回収も鮮やかですが、如何せん物語が重く長く厚いので、何度も読み込むことでやっと真の意図を発見できる。そしてその都度泣かされました。まだ継承編は完結しておらず物語全体不明点ばかりですが、それらの点と点が今までのように鮮やかに、軽やかに繋がれていくのだろうと思うと、完結が待ち遠しいです。一方で、作者様の持ち味である細やかな描写能力が発揮され、丁寧に丁寧に細部まで描かれたカルマの塔が、最後までその圧倒的な分厚さで我ら読者を蹂躙してくれるでしょうから、そんな素晴らしい作品が完結してしまえば満足感と同時に喪失感に苛まれるのではないかという危惧さえ持ってしまいます。確実に、読者の生活を侵食している作品です。
序盤(といっても全体がかなり長い作品なので当然長い)では、主人公の非道っぷり、狡猾さが際立ち、読む人によっては嫌悪してしまう人も多いかもしれません。しかし、ストーリーが進むに従い主人公の苦悩にも様々な変化が生まれ、ライバル、戦友、そして最愛達によって、内面的な成長を遂げていく主人公ウィリアムの姿は、必ずや読者の胸に響くでしょう。主人公以外のキャラクター達も、全員が全員主役級のような魅力を兼ね備え、それぞれの話だけで一本かけてしまうほど。脇を固めるだけ、なんてキャラクターは一人もおらず、互いが影響しあって力強く道を歩んでいきます。彼らの眩しい生き方についつい、憧れてしまいます。

ハーレム感は全くないけれど、一期主人公二期主人公が共に女性にもてる(一期では故意のスケコマシ+激情家女性からの猛アタック、二期では無意識にたらしこんでるという違いはありますが。)のは、血筋なのかなぁ…