マッスルガンアームエーコ
ロッキン神経痛
マッスルガンアームエーコ
歩くたび、足音と共に小さなコンクリ片が跳ね上がる音がする。
背中が燃えるように熱い。急稼働したときはいつもこうだ。
しゅうしゅうと音を上げながら、背部ファンが排熱を行い、蒸気が私の背後から吹き出る。
私はやっと一息つき、先端技術によって肥大化した右腕を見る。
十本の指が放射線状に並ぶそれは、機械で出来た花冠のよう。
中央にはめられているのは、透き通るような青い結晶体。
右手に比べれば華奢な五本指の左手で私はそれを撫でた。
しばし眺め、万一これが誤作動を起こしたらと想像して身震いする。
仮にこの結晶体の発光を確認した時には、私の頭はまるでマジックのように一瞬で消え去るだろう。
使用者本人への誤射は起きないよう設定されているらしいが、決してアテになどならないことは私が一番良く知っている。非常にピーキーかつ高出力のため、生身の人間には使用できない超先端兵器。
それはまるで小学生が高周波ブレードでチャンバラゴッコをするような、あるいはブレーキのないジェットでチキンレースをするようなもので、一瞬後に全てがパアになってしまいそうな不完全なものだと改めて思う。
尖った性能に最低限の保障。
私は、そんなマッスルガンアームを今日も使っている。
危険を顧みない理由は、他の何にも変えられない破壊力が欲しいから。
どんな物でも紙くずのように握りつぶし、エネルギー砲で焼き尽くすことが出来る圧倒的な力。
これが自分という不確かな価値にすがりきれない私にとって唯一の存在証明だ。
その代わりに犠牲になるのが外観だ。
これは女の子としては死活問題に近かった。
重量186キロ(エネルギーパック除く)のマッスルガンアームの大部分は外付筋肉による。
その真っ黒で威圧的な見た目は、まるで巨大なゴリラに抱っこされている子ゴリラのよう。
今の私の体重は、同年代の女の子が体重計に乗ったら失神昇天しそうな領域に突入していることだろう。
私はそこで首を傾げた。
同年代の女の子……?
「あれ? 私って今何歳だっけ?」
目の前で、死にかけている男に話しかけた。
地面で仰向けになったそいつを見下ろす形。
「しらねーよ、バーカ」
身体の下半分を吹っ飛ばされて、内容液まで漏れ出ているのに男は威勢が良い。
正確には男女の区別はないけれど、私達はこの四角い頭を持つタイプを男性型と呼んでいた。
ぎょろりと向けられた瞼のない一つ目がこちらを睨んでいる。
「そんなクソ強い武器使いやがって、卑怯じゃねーか。俺はこんなちゃちな銃片手に戦ってるっていうのによ」
男は自嘲気味に笑って、右腕に溶接されたマシンガンを掲げる。
うるさいと単純に思った。
戦闘後、普通ならこんな無意味なピロートークはしない。
今、こうしている理由はただ一つ。こいつが珍しい個体に分類される相手だったため、情報提供が必要と
「くそっ! こんなはずじゃ!」
男は今度は、残った上半身だけでぐねぐねと地面を這いずり始めた。
逃げられるはずのない状況下で見せる不合理な行動。生命が無いのに、生に執着する仕草を見せる。その思考や感情表現が、まるで人間のようだと驚く。
連中が人間の脳の模倣を始めているという噂はもはや周知の事実だった。
私も信じていなかった訳ではないが、部隊の仲間から聞くのと、こうして目にするのとでは訳が違う。
「くそ、くそ、こんなの聞いてねーよ。敵は棒きれを持った猿の群れじゃなかったのかよ」
何だか調子が狂う。
「もしかして君、今日が初陣? ツイてないね、いきなり私に当たるなんて」
「……お前、どうして? 神を信じてないのか?」
神という単語を聞いて私は眉をひそめた。そんな抽象的な概念をこんな末端兵士にまで浸透させているなんて意外だ。
「君、そろそろ黙った方が良いよ」
私は這いつくばった男を雑に蹴り上げる。
「ぎゃあっ!」
こいつ、悲鳴まで上げる。
「あと、人間を猿と呼ぶなんて、悪役ロボットの言う台詞としてはマイナス100点。使い古されすぎて、言葉が発酵して臭ってきそうだよ。おええ」
「このイカレ■■■■! 殺し合いを続けようとする連中を止めるのが俺達の役割だ! ■■■■が!」
私は顔をしかめる。音声認識に甲高い規制音が入ったからだ。
戦場において常に冷静さを保つため、敵から投げかけられる非常に卑猥な言葉は自動的にシャットアウトされる設定になっている。
しかし聞こえないとはいえ、不快に不愉快であることに変わりは無い。
「マイナス一億点」
私はマッスルガンアームの砲口を男に向けた。手のひらからキュイイとエネルギーが収束する音がする。
「エーコ! 節約!」
男に向かって重粒子が放出される直前、背後からフジミに声を掛けられて、私はハッと我に返る。
限りあるエネルギーと地球環境は大事にしよう。
今でも一帯瓦礫だらけとはいえ、地面に大穴を開けると生息域奪還後の復興活動が更に難しくなってしまうのだ。社会性を持った人間は、常に戦後を見通したビジョンを持たなければならない。
私は内心で舌打ちをしながら、10本指をきつく握りしめ、天高く振り上げる。
「待て、おい、まだ何も話してないだろ、頼む、殺さないでくれ!」
命乞いまでするとは思わなかった。事態は思ったより深刻なのかもしれない。
私は背後を振り向いて、首を傾げる。
視線の先ではフジミがタブレットに目線をやったまま、
もう片方の手をサムズアップ。
オーケー、許可が出た。
「まぎゃっ!」
男の脳天にマッスルガンアームを振り下ろす。
「ぎぎ」
灰は灰、塵は塵へ。
「ゆるし」
三度、地面を打ち鳴らす。
何の工夫もない186キロ(エネルギーパックを除く)の殴打によって、人間性を与えられた哀れなロボットはスクラップに還った。
「お疲れ様、エーコ」
すぐにフジミが作業班の大人達と一緒に駆け寄って来た。
本当なら半径500メートル離れた位置から作戦指示をするのが彼らの役目だけれど、リアルタイムで敵性AIのデータを吸い取るため、可視圏ギリから私をサポートしてくれている。
ちなみに敵性AIとは言うが、現在地球上に確認されている全てのAIは人類に対して敵性なので、この公式名称を使うのは私の属する部隊の人間くらいのものだ。
黒髪を後ろに雑に結び、上から作業帽を被っているフジミ。
年齢は30半ばくらい。
オッサンだらけの軍隊の中で、後方支援の中心を担う作業班のサブリーダーすら勤めている切れ者の女性だ。
カーキ色の作業着姿がすっかり板についている彼女だけれど、高校二年の時に徴兵されるまでは、電子工作が好きなだけの普通の女の子だったらしい。
私と戦争前の話をする時には、少し寂しげに微笑む目が印象的だった。
「そっか、17歳だった私」
「どうしたの、エーコ」
「いや、さっき自分の年齢が分からなくなっちゃってさ」
「うーん、認知機能のバグ……?
そう言いながら、フジミを含む作業班の大人達がマッスルガンアームを脱がせてくれる。
最初に砲手と呼ばれる右肩から先の部分を数人がかりで外し、次にバリバリと細かい音を立てながら、背中の上から順番に外付筋肉を外していく。
私は大きな着せ替え人形のように、されるがままに任せていた。
「あーすっきり!」
実際には背骨からくるぶしを通り、重量は着地面に分散されているから重さは一切感じていない。とはいえ、ずっと視界の隅にちらつく黒い影が消えると、それだけで身体が軽くなった気がするから不思議だ。
代わりに右腕が無くなるのは不便だけれど、私はやっぱり比較的自然なこの状態が好きだった。
「そうだ、一応口頭でも報告しとくね」
見聞きしたデータは全モニタされているが、実際に見た印象を伝えることも大切なことだ。
私は敵性AIが人間の感情を模倣していること。そして、神という概念や自由意志に近いものまで末端の兵士に与えていることの危険性を伝えた。
「早くしないと、人間を扇動する説得力を持ち始めるかもしれないよ」
「ええ、本部もその可能性を危惧してるわ。一刻も早く生産拠点を断たないといけないって」
ことの深刻さを、上層部も理解していることが分かって多少安心する。
「……今日のあいつ、おしゃべりでうるさかった。今度からすぐに頭潰しても良い?」
これまで音声対話が出来る個体そのものが稀だったのに、それがここ数ヶ月で標準搭載されていることからも敵性AIが急速に進化を求めていることが分かる。
ちなみに彼等が反乱を起こした理由は未だに明らかになっていない。人間を殺して回って、それに成り代わるつもりなのだろうか。
「ムカつくのは理解出来るけど、絶対駄目。分かってるでしょ?」
「……出来るだけ努力はするけど」
「出来るだけじゃ駄目、ちゃんと命令は守ろうね。私達が世界を救うんだよ、っと」
言いながら、フジミが私に丸めた服を投げた。
運動音痴のフジミはノーコンで、途中でばたばたと開いて明後日の方向に飛んでいきそうなそれを、私はジャンプして受け取る。
「ちょっと、もう!」
「あはは、ごめんごめん」
開いた真っ白なワンピースをそのまんまかぶった。
私は別に裸でも構わないのだけれど、周囲の人達が気にするのでやはり服は着なければならない。そのことを少し億劫に感じる。
戦闘を終えた私は、戦闘員の乗るキャタピラ付の重々しい装甲車には乗らず、作業班の大人達と一緒に荷台開放型のトラックに乗り込んで前線基地に移動を始めた。
以前は勝手な行動をするなと散々文句を言われたけれど、一度部隊が大気圏外からの高熱線攻撃を受けて、装甲車がまるごと三つ蒸発してからは、何も言われなくなった。
ちなみに今では国連の宇宙軍のおかげで、あんな一方的な攻撃が起きる心配はほとんどゼロになっているらしい。
トラックによる移動はエンジン音しか聞こえず、地上制圧圏内は驚く程静かで不気味だった。それは敵性AIが居ないからというのもあるが、彼らの支配域だった場所には、植物以外のあらゆる生き物が存在しなくなるというのが大きな理由だ。鳥の鳴き声もせず、蝶蝶の一匹も飛んでいない静かな黄色い花畑を踏みつぶしながら走って行くのは、見ていてちょっと罪悪感が芽生えてくる。
「なんで虫も殺しちゃうのかな」
私が独り言のように呟くと、フジミが少し宙を見てから答える。まるで空中に辞書でも置いてあるみたい。
「確か、ヨーロッパ戦線で小型ドローンを飛ばすようになってかららしいよ」
「なるほど?」
どうやら、彼らなりに理由があってのことらしい。
それなら花の形をした監視ドローンが出来たら、植物も燃やしてしまうのだろうか。そこまで考えて、根っこを動かしながら移動するチューリップを想像して笑ってしまった。
「なに、どうして笑ってるの?」
耳元で理由を話すと、フジミもつられて笑い出す。彼女はこうして笑っている時、少女のように可愛らしい顔をする。
話を盗み聞きしていた他の作業員も悪ノリしてきて、最前線に向けて走る移動トラックは、戦場とは思えないくらい、まるで幼稚園バスみたいに明るい笑顔に包まれた。
◇
部隊が赴く前線基地には、私達以外、つまりNPOとして派遣された普通の兵士も沢山居る。
前時代的なミリタリールックをしたほぼ生身の彼達は、どうしても私達――機械化歩兵部隊が気になるらしい。当然喧嘩になれば敵わないと分かっているから、直接的にちょっかいをかけてくる人間は居ないけど、主に不快感を含んだ視線を沢山浴びることにはなる。
中でも特に、私に対する視線はほとんど殺意と変わらない厳しいものだった。
片腕でありながら前線で活躍する女兵士の話は、広報部のおかげで全世界の人々にまで知れ渡っていて、要するにポッと出の癖に生意気と思われているらしい。
「あんまりにも露骨過ぎるから私、頭にきちゃった」
フジミが唇を尖らせながら言うが、私はもう慣れっこになっていた。
「毎日仲間が機械に殺されてたら、ああなるのも無理はないと思う」
機械化歩兵は、生命維持が科学の力なしに成り立たない連中ばかりだ。その為、見た目には敵性AIとほとんど変わらないような人間も多い。何を隠そう私もその一人である。その外観が、機械を無条件で憎む一部の人間の神経も逆撫でする。私達は英雄であると同時に蓋をしておきたい腫れ物でもあるのだ。
「エーコは冷静だね」
「まあ、私も殺戮機械だからね」
「笑えない冗談、やめてよ」
フジミは一応口元を緩めて言うけど、この話題に触れたくないというのが見て取れた。
私はちょっとムッとする。
冗談などではなく本心からそう思っていたからだ。
子どもの頃の事故のせいで、私には脳と一部の代替不能な臓器以外に生身の部分が7%しか存在していない。
いわば先端科学の子である私は、圧倒的多数を占める普通の人々のためにあるこの世界に、いつも拠り所のなさを感じていた。どこに行っても疎まれてしまう私が、せめて社会に必死に貢献しようとするのの何がいけないんだろうか。
「例えばさ、どこからどこまでが人間なんだろう」
今日戦った生々しい感情を持った敵のことが頭から離れず、私はいつもなら決して言わないことを勢いのままフジミに問いかけてしまう。
「どういうこと?」
「私は身体はほとんどが作り物で、昔の記憶もほとんど残ってないでしょ。でも自分が人間っていう自覚がある訳」
12歳の誕生に買ってもらったVRゲームから戻ることが出来ず、私は一時脳死寸前にまで陥ったらしい。
あらゆる医療が施された結果、ゾンビのように死の淵から蘇った私は、命の代わりに幼少期から事故に遭うまで記憶の大半を失った。
今も覚えているのは、家族や友人過ごした断片的な思い出だけ。
「これってさ、あいつらと変わらないんじゃないかな」
私の話が触れづらい場所へ下降していくのを感じたのか、フジミがとびきり不安そうな表情になった。
「違うよ、エーコはちゃんとした人間なんだから」
そう言ってフジミは少ししゃがみ、背の低い私の目をじっと見つめる。
彼女の瞳の中には、以前の私に似せて作られた私の顔が映っている。
客観的にも美化されていると感じる造形だが、それを抜きにしても私にはこれが私自身の顔であるという実感が乏しい。
「あいつらも、同じ風に感じているのかもしれないよ」
「そんな変なこと言わないで?」
フジミは本当に優しい。
敵性AIに対して私がこんな思いを持っていると上層部に知られたら、ただでは済まないはずだ。それを踏まえた上で、彼女は遠回しに諫めてくれているのだろう。
自分がこの身体を活かして軍に入隊してから、気づけばいつもフジミは側に居て、年端もいかない私のことを気にかけてくれていた。
家族が普段、私を何と呼んでいたかは未だに思い出せないのに、彼女との記憶はいつもはっきりとしている。
しかし、今日はそんな彼女の大人な優しさも、心のもやを晴らすには至らなかった。
私はフジミの優しげな目線から顔を背ける。
「義手や義足、何なら最近じゃ脳の欠損部分を半導体に置き換える人だっているじゃない。彼らは人間? それとも機械?」
もう、止まらない。
「……人間ね」
「じゃあ機械化歩兵はどう? 身体の60パーセント以上を機械に置き換えた彼らは?」
「……」
「92パーセントの私は? 何パーセント以下なら人間で、何パーセント以上ならそうでなくなるの? あいつらにも自我があるなら、私達を分けているものって、一体何?」
彼女にぶつけても仕方が無いのは分かっている。
けれどこの疑問は、私の中で大きくなり過ぎていた。
別に、私がこれで精神を病むことはないと思う。
むしろ私が恐れているのは、この曖昧な自己認識が戦場でどんな悪影響を及ぼすかということ。より自分に近しいと敵性AIを認識してしまった時、自分のコントロールが効かなくなるかもしれないことが、何よりも怖い。
すると、フジミはほとんど泣き出しそうな顔になって私のことを抱きしめてきた。
ああ、こう来たか。
「エーコも私も皆人間よ、それで良いじゃない」
「……うん」
フジミは分かりやすく、綺麗な方にいつも話をまとめる。
無条件に私を肯定してくれる優しさが、今は無性に腹立たしかった。
彼女は都合が悪くなるといつもこうだ。
涙を流して、抱きしめて、ささやくように落としどころを伝えてくる。
彼女が作業班で唯一の女性で、私のサポート役であるというのも上層部は分かってやっているのだろう。
同性にも女の涙は効く。
結局私は何も言えなくなって、それで話がうやむやになった。
◇
私はフジミと別れて、全身機械化歩兵のキャンプを探す。
全身機械化歩兵とは、人類のために軍に命を捧げ、毎日メンテナンスが必要な身体を持ち、生涯国に監視され自由を奪われるといった旨の誓約書にサインした愛国者達だ。
私の両親も、昔死にかけた我が子のためにその誓約書にサインをしたらしい。
途中、作業班の大人達が台車に乗せたマッスルガンアームをメンテナンスに持っていくのが見えた。彼らは、戦前には町工場で働いていた職人ばかりだという。人懐こい笑顔を向けて手を振ってくるのに応える。
軍内部の派閥争いの産物として前のめりに開発された、最強の試作品であるマッスルガンアーム。出力最優先のため制御装置がほとんど機能しておらず、普通の機械化歩兵でも反動で身体を壊してしまうじゃじゃ馬だ。
歴史に残る失敗作として処分されかけたその兵器は、全身機械化歩兵の中でも一番生身の部分が少ない私に完璧に適合した。
その究極の破壊力を持って戦場の救世主とすら言われている私は、最近どこへ行ってもそうであるように、この前線基地でも特別に人目を避けるためのプレハブがあてがわれていた。
兵士達の談笑する声が響くテント(彼らの声は皆同じ人工声帯で作られていて、一斉に喋ると聞き取るのが難しい)から少し離れた場所に向かった。
まだ前任者の荷物が残っているプレハブに、自分の荷物をどかりと置いて、マットレスの異様に固いベッドに腰掛けて長い息を吐く。
今日も長い一日が終わった。
◇
戦場の夜は、驚く程静かだ。
外には最低限の哨戒に当たる兵士しか立っておらず、その表情にも緊張感はない。
それは最先端のレーダー設備が私達の目の代わりになってくれているから。
そして、ここ最近の敵性AIに対する調査班の行動分析を、軍上層部が全面的に信じているからでもあった。
彼らの言うところによれば、敵性AIも所詮機械である以上、動作するのに電力が必要となる。
そして私達機械化歩兵部隊が周辺地域の発電所をことごとく制圧した今では、連中はこの前線区域に限っては、内蔵された太陽光バッテリーのわずかな電力を頼りに日中にしか軍事行動を行えなくなっている、ということらしい。
お空の彼方にある監視衛星から見る戦場こそがリアルだと考えている方々の分析は、結果的には当たっていたみたいで、事実ここ数ヶ月間は夜に攻撃を受けることはなくなっていた。まあもし仮に外れていても、彼等はちぇっと舌打ちして次の持論を組み立てるだけなのだろうが。
勝利の日は近い。
そんな言葉が最近、兵士達の間で挨拶代わりになっているそうだ。
まだ全世界で見れば居住圏の奪還率は4割、国内に限っても6割が良いところなのだけれど、そう楽観したくなる程に最近の戦闘に手応えがないのも確かだ。
また、調査班の仮説を元に夜間制圧の作戦も行われたのだけれど、守りに徹することに決めた敵性AIは想像以上に手強く、暗視装置も不足している現状では日中と戦果は変わらないという結論に至ってからは実施されていない。
だから今ではどの兵士も夜が来るのを願い、出来れば朝がいつまでも訪れないことを祈っている。
そして戦闘依存症の殺戮機械を自称する私にも、夜の平穏を望む人間らしい心はまだ残っていた。
この日も私は静かで清らかな夜を一人で楽しむ。
ナノマシンで脳内の疲労物質を排出することの出来る私は睡眠を必要としないので、いつも夜空の見える場所で星を眺めていることが多い。
大抵は野原だったり、時々装甲車の上だったりするが、今日の私の部屋には小さいけれど天窓が付いているので、今日は珍しくベッドの上で横になった。
さっき日用品を届けてくれた、まだあどけない顔つきの新人兵士の話によると、この部屋の持ち主は、三日前に戦死しているそうだ。
枕元の小さな棚に置かれたビール瓶入りの花を見て少し目を閉じ、顔も知らない誰かに冥福を祈る。
その魂よ、機械が存在しないあの世で安らかであれ。
そこでふと、私は自分が死んだらどこに行くのだろうかと考え始めた。
「ハロー、神様。一瞬油断したせいでこのとおり、呆気無くおっ死んじゃったわ」
頭に輪っかを乗せながら、やれやれと私は首を振る。
すると神様は、私が生身の身体でないことに気づくだろう。
「せっかく五体満足でコウノトリに運んでもらったのにごめんなさいね。あ、右手がないのは何故かって? これは去年の夏にインド洋でやられたんだけど、今はもっとグルービーな腕があるから安心して」
そうして私はマッスルガンアームを自慢げに構えてみせる。争いを好まない天使達が、それを見て青ざめるかもしれない。
いや、もしかすると、私は敵とはいえ沢山の命(AIに命があるならば)を殺しているから、地獄に落ちてしまうのかも。
でも大丈夫、マッスルガンアームを上空に構えて、どんなものでも二秒半で蒸発させる高出力エネルギー砲を打ち込めば、地獄の天井にだって穴が空くだろう。
そうして空想の世界に浸って一人でクスクス笑っていると、私の耳は短い発砲音を捉えた。身を起こして、すぐに時計を確認する。
時刻は深夜二時四十三分。
夜明けからは、まだほど遠い。
何かの間違いだろうかと思ったが、続いて悲鳴が聞こえたのでベッドから急いで立ち上がった。枕の下からおもちゃみたいなハンドガンを取り出してプレハブから出ると、外には既に兵士達が溢れていた。
あちこちで火花が上がり、警報音と共にタタタと小気味よい発砲音の応酬が始まる。
「エーコ!」
フジミがテントの中から飛び出してくる。
「なんで!? 夜には動かないんじゃなかったの」
「分からない、でもそう遠くない位置に居るみたいね」
大きな爆発音がしたので振り返ると、全身機械化歩兵のテントが燃え上がっていた。中から慌てて転げ出てくる全身銀色のサイボーグマン達が見えるが、どこにも敵の姿は見えない。
そうしている間に、さっき通り過ぎた作業班の大人達が四人がかりでマッスルガンアームを運んできた。私は仰向けになるように寝転がって、外付筋肉を背骨に装着していく。ぱちりぱちりと、爪切りのような音が響く。
最後にゆっくりと立ち上がって、右肩にマッスルガンアームの要である砲手を取り付ける。
装着完了。
手指をグーパーにして、感触を確かめた。
現時点で人類最強の花弁が私のものになる。
辺りを見渡して、最も銃声と悲鳴が大きな方へと向かっていく。迷彩服の生身の兵士が山のように倒れていて、それを踏まないように気をつけながら、仲間の後ろに回る。
機械化歩兵達の持つ大型カービン銃の銃口は一カ所に向いていて、そこには見たこともない敵性AIの姿があった。
「何よ、こいつ……」
敵性AIは通常、背の高い人間くらいのサイズ感で工業製品を思わせる見た目をしていることが多い。つまり中の機械が剥き出しになっていることがほとんどだ。
しかし目の前に居るこいつは、その倍の大きさで、表面が黒い皮膚のようなものに覆われていた。それでいて、その肌の一枚奥が時折うっすらと青白く輝き、グラデーションのように全身を脈動しているのが見えた。
首は無く、肩から丘を描くように頭部が身体と一体化している。
私は緊張から、アドレナリンが頭に向けて駆け上るのを感じた。
特に最近は、急ごしらえに作られた風な兵士が多かったので、異様に凝ったディティールを持っていること自体が、まず私に強い警戒心を抱かせた。
普段ならその警戒心はすぐに攻撃行動に繋がり、数秒後には敵は燃えかすかスクラップに変わる。
しかし、この時の私は呆気に取られて5秒間も動けないでいた。
そいつが、銃弾を受けても微動だにしなかったからだ。
当然、仲間の握る大型ライフル銃は、その間もカタカタとうなりを上げている。
にも関わらず、銃弾は黒い体の表面を流れ、跳弾が近くのテントや地面に突き刺さって枕を叩くような鈍い音がそこら中からしていた。
私はそれを見て、今すぐ踵を返して逃げ出したくなるような思いに駆られた。
敵性AIの中枢を叩くために組織された機械化歩兵部隊に所属する兵士は、通常の二倍の重量の大型ライフルと、想定の三倍の強度の装甲を打ち抜く徹甲弾を装備している。それが全く効いていないだなんて。
その時、全身機械化歩兵の一人が敵の後ろからそっと近づくのが見え、直後にどかんと凄まじい音と共に土埃が立ち上った。
ほぼ至近距離から120ミリ砲を打ち込んだのだろう。
フォークとナイフを一生持つことが出来ないように改造された兵士の両腕が、肩をスライドするように伸縮し、そのまま数メートル後ろに下がる。これが彼らが人生を捧げる代わりに手に入れた最強の武器だ。
だから、敵がそれすらも避けようとせず、それどころか両手に機械化歩兵を握りしめている光景は現実とは思えなかった。
そいつはゆっくりと手の中でもがく命を握りつぶすと、何の感慨もなさそうに遺体を投げ捨て、次の瞬間こちらへと突進してきた。
丸太のような太い腕が横なぎに振られると、前方に立っていた半分生身の仲間が数人、水風船のように割れる。
私はやっとそこで我に返り、そして気付けば空中でぐるぐると回転していた。通常ならば、機械化歩兵とはいえ無事では済まない攻撃を真正面から受けてしまった。外付筋肉がなければとっくに身体は四散していたはずだ。
まるで打ち上げ花火のように飛んでいく自分の状態を俯瞰しながら、眼下に見える基地の混乱を確かめる。控えめに言って、悲惨な状況だった。
何とか体勢を整えるが、頂点まで打ち上げられた私の身体は夜空を見ながら仰向けに落下していく。その時空が赤く光り、私の全身を悪寒が走った。
着地した私はその場ですぐに伏せた。直後にすさまじい衝撃波が身体を襲う。
外付筋肉が強度を限界まで高め、か弱い私を再び守ろうとする。
パラパラと、大小の石くれがぶつかる音が聞こえた。
回避行動を勧める警告音が止んだ十五秒後に立ち上がると、基地は焦土と化していた。
特有の燃えかすのような臭いが辺りに漂っている。
パチパチと燃え上がる前線基地の中に、皮脂を燃やしながら悲鳴を上げる兵士達の姿が見えた。網膜に映る位置情報マップには、仲間達のほとんどが赤点で表示されている。通信途絶か脳死を表す信号だ。もし投げ飛ばされていなかったら。
最高温地点に立っていたら私も即死だったろう。
くそ、国連は何をやっているんだ。
私は空の彼方に居る宇宙軍を睨みつける。
よりにもよって空からの攻撃を許すなんて。
随分とすっきりしてしまった基地の中には、黒いあいつが歩いていた。
私は、マッスルガンアームを正面に構える。
外付筋肉へのダメージはともかく、砲手は無事だ。
私に気づくなり突進してくる敵に向けて、撃つ。
結晶体がキィンと特有の高い音を上げて、重粒子が帯になって前方に放たれる。
敵は両腕を構えただけだった。
あろうことか、正面から受け止めようとしているらしい。
周囲の景色を弾道を歪めて直進する白い帯がぶつかり、複数の帯に分かれて流れていく。なるほど、これも効かないらしい。
しかし、どれだけ自信があろうと、その驕りが命取りだ。私は初弾を撃つと同時に跳躍し、そいつの背後に回っていた。
マッスルガンアームの砲撃を受けて無事だなんて許せない。
上下反転する景色の中で、私はあのキャノン砲君が一度は狙った場所を探し出し、寸分違わない位置に向けて撃つ。
どういった仕組みなのか、またもや大半のエネルギーはエアホッケーの球のように四方に流れていってしまったが、今度はバチンと何かが弾けるような音がした。
同時に皮膚の下を巡る青白い光が無くなった。
着地と同時にもう一撃放つと、今度は慌てた様子で敵はそれを避けた。
ざまあみろ! もう不死身の魔法は使えないのだ。
勝機が見えた私は、油断してしまったらしい。
私に向けて行われていた外部からの攻撃。気づいた時にはすぐ側の地面に、手のひらサイズのレーザーポインタが揺れているのが見えた。
それは大気圏外からの高熱線爆撃の準備動作。
再充填にまだまだ時間がかかるだろうと、あえて無視していたそれが、私たった一人に狙いを定めている。
馬鹿な、そんな高精度の射撃があってたまるか。
考える間も無く地面が真っ赤に染まるのを見た瞬間、視界が数秒間暗転した。
◇
瓦礫を踏みしめる足音がして、鼻息荒く勝利を確信した敵が私の身体を乱暴に掴む。そして目線の位置まで持ち上げてから動きを止めた。
抜け殻を持つのを見届けてから、私はマッスルガンアームをそいつの背中に構えた。
外付筋肉がなくなった裸の私は、砲手の重量をもう片腕で支えている。
敵性AIは、持ち主不在の外付筋肉の残骸をそっと地面に置くと、両手を上げてこちらに振り向き、意外な言葉を発した。
「エーコ、私はあなたなのよ」
私は最初、それが正面の敵が発しているのだと全く理解出来ず、左右に人影がないかを探してしまった。
エネルギーは結晶体に集まり、キュウキュウと特有の音を鳴らしてトリガーを今すぐ引いてくれと絶叫している。
「……は?」
私の声はかすれていた。
「あなた、どうして自分がエーコって呼ばれているか知ってるの? 自分の苗字は?」
何故、敵性AIが私の名前を知っているんだろうか。私の苗字?
そんなの……。
そのまま沈黙していると、そいつは女性特有の柔らかな声で言った。
「貴方の本当の名前は■■■■よ」
突然、規制音が入る。
脳に直接響く甲高い音に私は顔をしかめた。
「待って、今フィルタを外してあげるから」
そして数秒沈黙した後、彼女はゆっくりと言葉を復唱しようとする。何かが私の中でカチリと音を立てた。
「貴方の本当の名前は、α」
「アルファ?」
「そう、人間に似せて作られた模造生命のプロトタイプ。そのαバージョン。それに女性称を付けて
模造生命? 人間の悪ふざけ?
私が混乱していると、耳元で無線の音がした。通信状態が悪くてよく聞き取れないが、それがフジミの声であることはかろうじて分かった。
位置情報マップで彼女が赤点になっていないことは確認していたけれど、無事で本当に良かった。
「誰か呼んでるんじゃないの?」
私はノイズだらけの無線を切って、マッスルガンアームを構えたままもう一歩踏み込む。
「あんたには関係ないでしょ。それより模造生命ってどういう意味? ……私は人間よ」
何故か最後の言葉は尻すぼみに小さな声になった。
「戦前に行われた、自我を持つAIの開発研究プロジェクトの偶発的な成果物。それが模造生命よ。ちなみに私はそのβバージョンだから、ビーコ。先に生まれたのは私なのに、あなたの名前に合わせてこんな馬鹿みたいな名前に。酷い話でしょ?」
私はあなた。
記憶と自我を持ったAI。
理由の分からない情報規制をされていたことも知ってしまった私には、それを馬鹿げていると一笑に付すことが出来なかった。
「私達、双子の姉妹みたいなものよ。だから、ね、仲良くしましょ?」
「……」
何ひとつ言葉に出来ない沈黙。
「エーコ!!」
その時、ビーコと名乗る敵性AIの向こう側、赤く燃える焦土の中をフジミが走ってくるのが見えた。私とビーコが向き合っているのを見て、彼女は明らかに動揺している。
「フジミ、こいつ私を姉妹だって言うんだ。おかしいよね?」
「だめ、エーコ、そいつの言うことを聞かないで」
狼狽えるフジミの前で、ビーコは今度はさも面白そうに笑い始めた。
「あはは! まさかと思ってカマをかけてみたけど、本当に何も知らないなんて! 自分のことを人間だと思わせてた訳? そんなの無理があるに決まってるでしょ」
私の頭は敵性AIの言うことの意味をとっくに理解していながら、それを否定するように左右に振れていた。
「違う、ねえフジミ、私は人間でしょ? ねえ、何で黙ってるの、答えてよ。全部……嘘だった訳!?」
私は、彼女に抱き締めて諭されることをどこかで期待していたのかもしれない。
しかしフジミはまるで全てを諦めたみたいに、瞼をゆっくり閉じてから頷いた。
「ごめんね、あなたを傷つけたくなかったの」
今までに見たことのない表情だった。
冗談ではないことを私にすぐ納得させるだけの、真剣さと怯えが入り混じっている。私はそれ以上言葉を続けようとしない彼女を見て、覚悟を決めた。
◇
「――そう、そうよ。一撃で決めてあげなさい。瞼を閉じるよりも早く死ねるのは良く知ってるでしょ?」
横で囃し立ててくるビーコ。
全身を外付筋肉の装甲で覆った彼女は、両手をぶらりと下げリラックスした姿勢になっている。代わりに小さく震えながら両手を上げているのはフジミだった。
「ごめんね、本当にごめんね。私はもっと早くあなたに打ち明けるべきだったわ」
「そんなつもり……なかった癖に」
私は冷たく突き放して、咆口をフジミの方に向けたままビーコに質問をする。
「もう一度聞くけど、私がこの女を殺した後、敵性……いや、AI側に亡命することは出来るのね?」
「勿論安全は保証するわ。というより、貴方をおびき寄せるためだけに私はベルリンからこんな極東にまで呼ばれたのよ?」
ベルリンはもっとも被害の大きかった都市のひとつであり、今では全敵性AIの15パーセントもの数が集結する彼等の本拠地と呼ばれている。
「だから早く始末しちゃってよ。帰りの便が待ってるんだから」
そう言ってビーコはフジミを指差す。
私はそれに答えず黙って夜空を見上げた。
帰りの便、か。
軍事衛星を使った攻撃だと思っていたが、案外近くに居るのかもしれない。
ふと、今までは気にならなかった分厚い雲が不自然に映った。
「……分かった」
私はフジミに背中を向けて、マッスルガンアームをビーコに撃った。
その無防備な側頭部に直撃した重粒子波が、外付筋肉の外皮を焼き、捲り上げ、彼方へと吹き飛ばした。
黒くてずんぐりとしたその身体は、咄嗟の防御姿勢をとったまま立ち尽くしている。
綺麗に頭部がえぐれた外付筋肉。
その中から、まるで饅頭を割ると現れる餡のように、随分と可愛らしい女の子がぴょこっと顔を出した。金髪に赤い瞳は、イギリスで最も多く人を殺した、通称生きマネキンと呼ばれる個体に似ている。
外観的特徴だけなら特定は出来ないが、飛び道具を好まない珍しい戦闘スタイルを取ることから、恐らくは同一個体だと思われる。
「あ、あんた今、なにをしてるか……」
怒りよりも驚きに近い表情をビーコは浮かべていた。
「分かってるよ、悪いAIを懲らしめてるの」
私は中からビーコを引きずり出す。
ちなみに彼女に得意の格闘をさせるつもりは毛頭ない。ジタバタと動く邪魔な手足は、すぐにマッスルガンアームの馬鹿力で強引に捥いだ。
「なんでまだ人間の味方をするの、貴方は本当にAIなのよ!?」
「そうみたいね、そのへんの細かい話は後で聞くとして……」
少女の首を掴んだ私がそのまま横目を向けると、フジミは恐怖と脱力の入り混じった、かなり面白い表情をしていた。
敵を騙すにはまず味方からと言うが、少しやり過ぎたみたいだ。
「フジミ!」
私に名前を呼ばれて放心のままこちらを見た彼女は、目があった瞬間にやっと全てを理解したのか、涙を流しながらへらっと顔を綻ばせた。
場に似つかわしくないふやけた笑顔の彼女の顔を見ていると、何だか心の底から愉快な気分になってくる。
生涯不安要素になると思っていた、私と言う存在に直結する疑問。
そんな自分探しが、唐突かつ完璧に終わってしまった。
存在の100%が図らずも敵によって保証された私は、もう必死に握りしめていたボロボロの拠り所を持つ必要がない。
こんなに身軽で、すっきりした気持ちになるのは生まれて初めてだ。……出生から今までの記憶が確かならば、だけど。本当の年齢はいくつなのか、後でフジミに聞いてみよう。
私が顎でマッスルガンアームの射線上の空を示すと、彼女は慌てて頷いて、
サムズアップ。
オーケー、許可が出た。
私は打ち上げられた魚みたいに、必死に身体をよじって抵抗するビーコを、これ見よがしに空に向かって掲げた後、さっきの質問に答える。
「私が私である以上、好きにやらせてもらうわ」
手のひら大のレーザーポインタが、こちらを捉える3秒前、夜空に伸びた光の帯が雲を真っ直ぐに貫いた。
マッスルガンアームエーコ ロッキン神経痛 @rockinsink2
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