僕は足の小指です
くにえミリセ
第1話
僕は 足の小指です
脳に認識されていません
忘れられているのです
だからいつもどこかの角にぶつけれ
青あざが出来ています
今もそうです
五本指のいちばん 端っこで
震えています
忘れられ
傷つけられ
だったらなくてもいい?
僕なんて
僕なんて
端っこで ここにいる
意味ありますか?
部屋の端っこで
教室の端っこで
社会の端っこで
丸まって縮こまって
ただ灰色の壁しか見えません
窓の外から踏み切りの遮断棒が
ゆっくりと降りる音がします
かん高いその音は
やがて小さくなり
僕を鈍感な眠りへと
いざなうのです
頭痛や悪寒に似た感覚の後に
トンネルに迷い込みました
遠くその先には ぼやけてくすんだ
光が見えました
そして誰かがこう 言ったのです
『あなたがいないと長いこと
立っていられません
他の四本の指に痛みが
生じてくるのです
歩くのがおぼつきません
バランスを失うのです
だから
あなたはそこに必要なんです』
はっと目を開けました
あぁ‥‥。
涙が耳にまで流れていました
僕は足の小指です くにえミリセ @kunie_mirise_26
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます