第5話ラディカルvsランサー戦
「ふっ……!!」
ラディカルは大きくピコハンを振りかぶった。ラディカルの腕力と遠心力が合わさった強烈な攻撃をランサーはもろに横腹に喰らった。
「いぎっ………!!」
パキパキという人体からは聞こえてはいけない音を立てながら、ランサーは横っ跳びに吹き飛んだ。脳がショートしそうな激痛を唇を噛んで耐え、地面に激突する寸前にランスを地に突き立てると、辛うじて着地に成功した。だが、ラディカルの攻撃を喰らった右腕はダラリと垂れ下がり、力が入らない。
「ちっ………」
「え、もしかして右腕折れちゃった?ごめんね!力加減間違えちゃった……」
ブンブンとピコハンを振り回しながら、ラディカルは謝罪の言葉を口にした。ブオンと殺意のこもったピコハンが空気をかき乱す。
「今度はちゃんと殺すから!安心して!ランサーに痛い思いなんてさせないよ」
まるでこの行為が深い愛情から湧き出るものかのようにラディカルは優しくランサーに声をかけた。熱い抱擁を交わすように、ラディカルはランサーをピコハンでブン殴る。ランサーはギリギリの速度で攻撃をいなすが、痛みで朦朧とし始めた意識に段々と靄がかかる。
「ラディカル………!なんで、こんなこと……!」
「もちろん!俺はランサーが大好きだからね!だから」
ラディカルの一際力の入った攻撃に耐えきれず、ランサーはまたもや吹き飛ばされた。ランスが手から離れ、ランサーはジリジリと尻餅をついたまま後退る。武器を失ったランサーにおもむろにラディカルは近づくと、ピコハンをゆっくりと持ち上げた。
「だから、俺がランサーを殺して、俺だけの物になってほしいんだ!」
そして、ラディカルはピコハンを振り下ろした。
「………え?」
しかし、小さな衝撃がラディカルを襲った。ラディカルは自らの体を見下ろす。カラフルな服に、血が滲んでいる。そして、それを、自分を身体を貫くランスを呆然と見つめた。
「な、なんで………ランス、が……」
轟音と共にラディカルはピコハンを取り落とした。大量の失血で意識が朦朧とし、ラディカルはランサーの横にどさりと倒れた。ランサーは倒れたラディカルに不敵な笑みを向ける。
「わすれてたのかよ………。俺はホーリィーランサーだぜ………。ランスは俺の体の一部なんだよ………」
「何……それ……」
「そんなの聞いてないよ……」と呟き、ラディカルは瞳を閉じた。
戦うもじゅれんれん ベルサ @Belusa
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