エピローグ

何年か後、ある非合法な研究所が潰れたことが新聞に載っているのを確認し、その新聞を丸めて捨てた。

実湖の元いた研究所は能力が世界から消えたことにより存在意義を失い、大量のクローンだけを抱え立ち行かなくなり、潰れた。

これで良かったのか、と思うこともある。

だが、今の世界の方が幸せなんだと俺は思う。

「ひょうやー!あそんでー!」

窓の外から沢山の子供たちの声が聞こえてくる。みんな研究所にいたクローンの子供たちである。長くは生きられないだろうがそれでも放っては置けなかった。

死んでしまうまでの短い間を楽しく過ごしてほしくてこの森の奥の小屋に連れてきた。

「おー!今行くから待ってろー!」

返事を返し、立ち上がった時、不意に

それでいいんだよ、ありがとう。

という声が聞こえた。

気の所為かもしれない、だが、実湖な気がした。

そうか。と心の中で呟いて窓を閉め、外で待つ子供たちの元へ歩いて行った。

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本物は偽物を愛す イヌ @inuhiyo

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