衝撃的大作です。
日常系ラブコメを標榜する秋立も、二年目の文化祭シーズンということで、冒頭からロボットに乗り込んでの戦闘シーンです。いなせなギミックに小気味良いトーク。主人公の顔に寺沢武一の名作コブラの相貌を思い浮かべたのは自分だけでしょうか?
あれ、自分は一体何を書いているんでしょうか。
ともあれ文化祭シーズン。我らがクラスの出しものは主人公くんヒロインちゃんらの演じる一大冒険活劇。その台本がもう凄まじい。圧巻です。主人公くんならずとも悪寒が止まりません。おかげで大増量の超超絶絶ドタドタバタバタを堪能できるのですが。
しかーし!
愛しの美穂さんを我々から奪った、憎っくき工務店のお兄さんがちゃっかり出張ってるのも忘れてはなりません。美穂さんを返して! くうっ、相変わらずのナイスガイめ!
はっ……自分は一体何を書いているんだろう……。
それでもラストはしっかり締めてくれる辺り、本当に振り幅の広い傑作です。
二足歩行機動兵器「アームド=ローダー」を駆る歴戦のパイロット「ファルコン」は、戦火の中で凄腕美少女パイロット「ブラッディ=マリー」と巡り会い、共に戦ううちに、いつしか心を通わせるようになる。
しかし、すべての戦争を終わらせるための最終任務「軌道エレベーター攻略作戦」において、彼女の牙は突如としてファルコンを狙う!
すべては、このときのための罠だったのか?
衝撃的なマリーの正体を知ったにもかかわらず、彼女を撃てないファルコン。
だが、そのとき「真実の愛」が彼を救う。
果たしてAIに心はあるのか?
硝煙かおる戦場を二体のアームド=ローダーが駆け抜けるハードボイルドSFロボットアクション超大作ここに開幕!
……という劇中劇を道久と穂咲が主演して学園祭で上演するはずだったのに、なぜか王子と王女が東京都庁を破壊しながら出現した巨大ロボで戦うグダグダな劇になってしまったというお話です(笑)。
この劇中劇だけで一見の価値がありますよ。マジでカッコ良いSFロボットアクションですから! ……そこだけは(笑)。
ただ、本編についても今回はひと味違いますよ!
何しろタイトルを見てもわかるとおり、道久が「立たされずに毎回気絶する」んですから!!
それで体調不良になる道久って一体……(笑)。
そんなグダグダ学園祭の中で、ひそかに明かされる道久の過去の悪行(笑)と、それによって人生を狂わされてしまった(←非常に語弊のある言い方)ひとりの少女の隠された恋の物語を、ぜひお楽しみください。
「もしモテ期に回数制限があるとすると、ラストチャンスを逃した男は闇堕ちしなければならないのか?」
恋愛学におけるこの難問に対し、作者は今作で明確に回答しています。
それについてここで述べてしまうとネタバレになってしまうため、ひかえさせていただきますが、切ないラストから醸し出される哀愁が主人公の今後の人生を暗示する一方、不相応に美しい情景があたかも普遍的な哲学と言いますか「人として生を受けた以上、生き続けなければならない。たとえどんなことがあろうとも立ち上がらねばならない」という、主人公に科された宿命を表現しているように思えてなりません。
そんなSFに、この秋、触れてみるのはいかがでしょうか?