夏休み。高校の剣道部の面々は、心霊スポットである「オバケトンネル」で肝試しを行うことに。参加するのは男女一組のペア3組。
「恐ろしいもの」「女のすすり泣く声」等の何やらホラーチックなエピソード名が目を惹きます。その文言に嘘偽りはありません。しかし読む前の想像とは、ちょっと違った展開が待ち受けているかもしれませんが……。
青春イベントの定番ともいえる肝試し。作者の精緻かつ臨場感あふれる筆致によって描かれる、それぞれの登場人物の数だけある青春。その中にはきっとあなたが感情移入できるようなキャラクターがいるはずです。
怖がって、笑って、感動して――。たくさんのベクトルへ心が揺さぶられるこの名作を、是非多くの方に読んでいただきたいです。
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本作はスピンオフ作品となっておりますが、単独でもとても面白く読むことができます。こちらから純太さんの作品に入った方は、本編『桜咲く!ハイスクール武士道』、そしてもう一つの本編『チェスト!幕末坂高校剣道部』をお読みになることを強くお勧めいたします。
『桜咲く!ハイスクール武士道』( https://kakuyomu.jp/works/1177354054884770026 )
『チェスト!幕末坂高校剣道部』 ( https://kakuyomu.jp/works/1177354054884728921 )
『チェスト!』シリーズのキャラクター紹介と、人間関係が、簡単につかめる一作。そしてスピンオフでも十分に楽しめる作品だった。
剣道部の夏合宿。その中で恒例になっている肝試し。
肝試しを行うのは「オバケトンネル」といういわくつきの場所。
男女一組のペアになって、トンネルの端から端まで歩く。
ただそれだけなのに、ドキドキしてくる。この胸のドキドキ感は、単なる怖がりなのか? それとも隣の異性に対する想いからなのか?
あのキャラクターの意外な一面も垣間見える作品で、とても楽しく拝読させていただきました。本当に面白かったです。本編を知っている方にはたまらない一作となっています。
是非是非、本編も合せてご覧ください。
高校生たちが剣道部の合宿で湘南に行く、それだけでハプニングが起こること間違いなし!と思って読み始めたのですが――
お約束のはずの肝試しで、ぼろぼろ出てくる恋と友情。
みんな誰かを大切に思っている!
そして強くなりたいと思っている。
高校生たちの純粋な感情が素直に剣道で頑張りたいという気持ちにつながっているのがとても微笑ましく、自分が高校生の時は何をやってたんだっけなあ……としみじみしました。
みんな頑張っている。みんないい子だ。
それにどのキャラもいわゆる「キャラが立ってい」て、読んでいて「あ~なるほど!」と納得できる言動につながっているのがとても読みやすいです。
このレビューをご覧のあなたもぜひ夏の青春を感じてみませんか?
それにしても――あ~、天童豪太ってどんな男なんだろうな~~~~(しらじらしい!)
『美少女剣士と野獣 ~幕末坂高校剣道部・青春編』やそのシリーズと色濃く繋がる恋愛ものです。
センシティブな恋模様は、どのお話にもどきどきします。
オバケトンネルにペアで入り、出て来るまでに、お互いの本音と建前や、知らなかった気持ちにそっと撫でるように触れ合います。
先輩が仕組んだようなカップルやら、実は想い人かも知れない二人やら、新しく登場した個性ある二人やら様々にです。
私は、応援団にいます。
この恋が好き、この想いを応援したくなる、その気持ち分かるよと。
だから、きゅんとなったり、しみじみしたりしました。
これまでのお話を読んでいなくても短編として、かっちりと出来上がっているので、大丈夫です。
このシーズン、夏の新ジャンル、ホラーではない恋愛ものをどうぞ召し上がれ。
お腹が一杯になりますよ。
是非、ご一読ください。
ははは、待ちに待っていた幕末坂高校剣道部の番外編ですよ。
初めの内はときめきを感じつつもクスッとする展開もあり、微笑ましいじゃないか、ふふふ……。と呑気に眺めておりましたが、エピソードを読み進めるうちに、青春の煌めきに眼光を焼かれましたね。
決して長くない各エピソードの中に込められた、高校生たちの青春の葛藤……。ああ、なんて美しいアオハル。あまりの香ばしさに、汚れきったわたしの心も見事にデオドラントされてしまいました。素敵です。
くそっ、頼みの綱の天童さんがいい具合にこの青春のクサさ(褒め言葉)をぶち壊してくれると思っていたのに、空気を読んで出てきやがらねえ……。さすが、やる時はやる漢だぜ。
シンプルで読みやすいのに心にするするする~っと染み込んでくる情景描写とキャラクター描写が素晴らしい! 夏休みの終わりにいいモノを読ませていただきました。
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ぼくのなつやすみも
これくらい
あまずっぱければなあ(血涙)