殺人現場を検証させるための見取り図を用意し、被害者の行動を時系列で追えるようカレンダーを用意し、ヒントもフェイクも全て皿の上。
さあこの謎を解いてごらんになって!
作者さんのそんな声が聞こえてきそうな作品ですw
密室で殺害された女性はある奇妙な姿にされていました。犯人はなぜそんなことをしたのでしょう? ヒントを木の葉で隠すような姑息なことはされていません。主人公たちが拾った物だけで謎は解けます。散りばめられたヒントを探して!
ちなみに私はみごとにフェイクに引っかかりました。
どんなもんだっ!←威張るな
謎解きの面白さも十分味わえましたが、捜査か進むにつれ被害者がただの死体から彼女の人生を精一杯生きてきた一人の人間なんだと気付かされます。そんな側面を持った深い作品でした。
女性美容師が亡くなった!?
しかも他殺の線が濃厚だが現場は二重密室!?
そんなミステリー好きにはたまらない舞台設定に、『特別室』配属の刑事二人が挑みます!
主人公と手を組むのは、特別室長!
その室長とは、なんと二十歳代の見目麗しき女性で、密室と聞いただけで興奮してしまう性癖の持ち主、というキャラクターの濃さにも注目です☆
事件の謎をひとつひとつ紐解いていく推理展開も素晴らしいのですが、犯人追及の心理作戦も素晴らしい!
また見取り図や読者への挑戦状など、エンターテインメントとしても配慮されております。
また、フィクションといえども、刑事の被害者に対する慰霊の行為や、被害者の家族の心情描写など、作者様の命に対する真摯な姿勢も感じさせる作品です!
個人的は、書籍化に匹敵のレベルかと思っております!
ぜひご一読ください。
作品の面白さは、他の方が書かれていることに嘘偽りはありません。久しぶりに一気読みするほどの作品でした。
物語としては、密室の謎解きがメインなのですが、キャラクターの掛け合いの面白さ、一つとして無駄のないサイドストーリー、何より、完全にフェアな立場で読者に挑戦状をつきつけてこられたことには、鳥肌が立つほど熱くなりました。
謎解きに関しましても、多くの方が参加して楽しめるレベルだと思いますので、警察小説、密室、ミステリーといったジャンルに苦手意識がある方にこそぜひ読んでいただき作品です。
正直な感想として、無料で読めるのがもったいないといいますか、無料公開されていることに驚きです。完全に書籍化されていてもおかしくない作品と思いました。
ミステリー好きな方はもちろん、全くの初心者でも最後まで楽しめる作品になっていますので、ぜひ一読をオススメします。
こうした良質な作品がきちんとコンテストで評価されていけば、マイナージャンルとはいえ、サイトももっと活性化すると思います。
ホラミス部門、文句なしの大賞候補ではないでしょうか。
物理本格ミステリー。机上の空論で考えていても犯人は特定出来ません。何故なら、凄く絶妙な加減で作者様から罠を仕掛けられているからです。ミステリー系のレビューですので、ネタバレに繋がる事は言えないのですが、真相編直前、犯人に至る事実が提示された段階でなんと…本作は読者に挑戦状を叩きつけてきます。
ぽやっと読んでて、私の中のゴーストが特定の人物を指していましたが、他の人がそうでは無い確証も無く、真相編を読めば真実は明らかになるだろう、しかし、本当にそれでいいのか?
サイコ寄りとはいえ、私もミステリー書きの端くれ…この喧嘩、買った!
そして、私は真相に行く前に、今まで起きた事をまとめ、一つ一つの事実を精査していきました。
なかなか大変な作業でしたが…提示されている情報と、未だ確定していない情報が混在している中、私はミステリーの作法的にアンフェアな要素を省き、照らし合わせた結果ある事に気付きます。
もし、私の予測が符合しているのだとしたら……なんとミステリー的にフェアであり、なんとグレーゾーンのギリギリを突いてくるのかと愕然としました。
気を抜けば、殺られる……。
そしてもう一つ気付いた事がありました。本作に必要なのは探偵としての鋭い勘や洞察力では無く、地道な擦り合わせ作業です。それはまさに、作中の捜査に関わった刑事の一員となり、泥臭い作業の中で垣間見えた一筋の僅かな真実でした。
そう、一番大事なのは忍耐力でした。
それを裏付ける用に刑事や、特別室の二人も血眼になって捜査をしています。それは何より、理不尽に命を奪われた物言わぬ被害者の女性の為にです。
本格寄りのミステリーともなると、舞台装置である被害者はただのオブジェ。そこに血が通っている事なんて関係ありません。しかし、本作では本格でありながら、きちんと被害者側の視点も盛り込んでいます。
被害者の彼女の言葉はもう聞けませんが、言葉にならない何かが私や作中の人物に囁きかけてきた様にも思えます。
主人公のお二人について。
特別室の琴子さん、ちょっと密室要素でトリップしちゃいますが、それはそれ。親の七光りもあるかも知れませんが(警察では大事な事)そこで働く理由がきちんとあるのです。
特別室に配属された主人公は規格外な彼女に翻弄されつつも、甲斐甲斐しくその任を全うします。
さぁ、賽は投げられました。
どうするかはアナタ次第です。