右から洋介と左から純。第2ラウンド

あきらさん

第1話

「俺は、やるだけの事はやってきた!地獄谷じごくだに山籠やまごもりをし、血反吐ちへどを吐きながら特訓をした結果、この鋼のような肉体を作り上げたんだ!今日という今日は、絶対に勝ってやる!!」

「どうした洋介! 今日も受験だぞ! まさかお前、この三日間連絡が取れないと思ったら、山にこもって体鍛えてたんか!? また頭おかしなったんか!?」

「すまん、純。頑張り方、間違うた……」


 先日、地元の三流高校の受験に落ちた俺達は、今度は滑り止めを受験する為に、これから四流高校を受験しに行く所なのだ。

 前回、本命高校を受ける時に、勉強し過ぎて頭のおかしくなった洋介は、リラックスする為に突然謎かけをやり出して、歯止めが効かなくなり、案の定受験に失敗してしまったのだ。


「純。俺……昨日、変な夢を見たんだ」

「どんな夢だよ」

「三日間、徹夜してる夢」

「入り口から分かりにくい!! 寝てたのか起きてたのか良く分からん!!」

「それまでの三日間、山籠やまごもりしてて全く寝てなかったんだけど、昨日最後の日にやっと寝れたと思ったら、三日間徹夜してる夢を見たんだ」

「何か、ややこしいな!!」

「でも、夢の中での俺は、それはもう無敵だった」

「無敵? 誰にも負けないほど強かったのか?」

「そう。どんなカルボナーラでも、一発で言い当てる事が出来たんだ」

「利きカルボナーラ界で!? そもそもそんな戦い、この世界に存在すんの!?」

「ナポリタンとペペロンチーノの区別はつかない俺だが、カルボナーラだけは、何処の店の誰が作った何ボナーラかすぐに分かったんだ」

「何ボナーラって何!? ナポリタンとペペロンチーノの違いも、普通分かるでしょ!? それに洋介って、そんなにカルボナーラ好きだったっけ?」

「ひでぇ!! こんなに長い付き合いなのに、俺の好みも知らないなんて!! 俺が好きなのは、西川 貴教と 西川 史子あやこと西川ヘレンだ!!」

「何でそんなに西川好き!? 結局カルボナーラが好きか分かんないし!!っていうか、俺達出会ってから、まだ1ヶ月くらいだからね!!」

「じゃ、純の好きなものは何なんだよ!」

「俺が好きなのは、SLAM DUNKとポニーテールの女の子とあとは………洋介、お前だよ」

「純…………俺はポニーテール似合わないぞ」

「知ってるよ!それと、言ってなかったけど、実は俺の名字も西川なんだ」

「それで夢の続きなんだけど……」

「流すな!! 俺のせっかくの告白を流すんじゃない!! 流すのは、そうめんだけにしとけ!! 」

「流すのは、そうめんだけにしとけ?………………純、そのそうめんの話、もう少し詳しく聞かせてくれないか?」

「そこは流せ!! 流しそうめんって言ったのは、ただの例えツッコミなんだから、そんなに話広がらない!! 変な所に食い付かないで!! 」

「変な所に食い付く?……その話、もう少し詳しく……」

「だ〜か〜ら〜!!!」


 結局俺達は、受験前にバカ話をし過ぎて、四流高校にも落ちてしまった……








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