【カクヨム】フィクションにおいての物理法則の扱いとは?

2020年4月21日





 新型コロナウイルスの流行により緊急事態宣言が出され、街は静まり返っています。とくに音楽業界なんかは緊急事態宣言以前よりイベント自粛であったりライブハウスやスタジオの閉鎖であったりと、致命的な影響を受けました。かくいう私も音楽業界と近い位置にある業種なので、まあー仕事がなく、先週くらいから全ての仕事が飛びました。


 まあもう現状どうにもならないので逆に開き直り、あり余る時間を使ってカクヨム作品を読み漁ってレビューを書こうと思い、どうせならと自主企画を立ち上げ、一昨日無事終了しました。ちなみに何気に初自主企画立ち上げでした。



 一応こちらが立ち上げた自主企画。

https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054895476889


 自主企画終了後に投稿した成果報告近況ノート

https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054895770427





 予め自分の好みを書いて気になったものから読むと告知したのですが、参加された作品の半分以上が好みガン無視でして、レビューのワンチャンスがあるとはいえ読んでもらえるよう忖度しないのかよ、とちょっと思いました。気になった作品から読むのだから好みに合致しない作品は優先度が限りなく低くなりますので、読まれないならレビューもクソもないんですけどね。そのあたりのことを理解されたうえで参加されているのか心配になりました。


 ただ二割か三割くらいの作品はちゃんとこちらの好みを考慮していただいていて、その中から読み漁り始めいくつかレビューを書きました。思っていた以上に面白い作品と出会えましたので、企画の趣旨としては大成功だったのではと思いました。







 と、ここからが今回の本題。


 今回の自主企画で気になったのが、作中内での物理法則がとんでもないことになっている、ということ。




 読んだ中で少し気になったものをあげると、人類滅亡して数百年後の世界でロボットだけが稼働しているとか、ナノマシンで人間の意識を移植するとか。


「何百年間もメンテナンスフリーで稼働する機械とかどういう機構なんだよ」とか、「いくら何でもナノマシン万能過ぎないか?」などといったツッコミを抱きました。まあでもSF作品であればあくまで空想科学なので、近未来の世界ではそういったトンデモ現象が実現できる技術が生み出されているのでしょう、と解釈しました。SFもフィクションですので、ガチガチの科学考証で理論武装したものはハードSFでやればいいことですし、なにより野暮なツッコミはサイエンス・フィクションの幅を狭めるものでしかないので、自由に書いても何も問題はありません。


 というかSFの名作でも完全なかたちで考証されているわけではないですからね。タイムマシンが登場する作品とかでもトンデモ理論だし、巨大人型ロボット兵器とかも兵器としては人型である必然性はないんですけどね。でもそんなところにいちいちツッコミは入れませんよ。



 フィクションとしての空想の範囲であれば、別にトンデモでも構いません。




 問題なのはフィクションの範囲を超えたトンデモなんです。






 実際に読んだ企画参加作品の中からあげると、一番ツッコミたかったのは蒸発する薬品。


 トリックの種明かしシーンにて、「託されて保管していた瓶にはオリジナル薬品が入っていたけど実は中身なくなっていました」というものなんですけど、その容器から薬品がなくなったわけとして「日光に当たって蒸発した」というもの。


 いやいやいや。もちろん揮発する薬品もありますけど、保管するなら容器は密閉されているはずですよね。密閉されているのに蒸発するってどういうことだよ。密閉容器の内部の圧力がどうなるかを考慮していないのだろうか? まあ百歩譲って薬品が蒸発したとしましょう。でも保管しているならばやっぱり蓋して密閉しますから、蒸発した薬品は気体として容器内にあるでしょ。というか薬品ではなくても普通の水だったとしても、日の当たる場所に容器を置くなよ。


 ……といった感じで、ツッコミが止まりませんでした。一応読者として様々な解釈をしてみて理解しようと努力しましたが、こればかりはお手上げでした。







 あとこれは今回の企画参加作品ではなく昔に読んだWEB小説なんですけど、アクションものの作品でして、何でしょう、たとえるならばライトノベルの『緋弾のアリア』系の作品でした。……まあ『緋弾のアリア』も充分トンデモですけど、でもあれば超能力が存在していてトンデモ超人が跋扈していますので、トンデモ現象が起きてもあり得なくはないと思えてしまいます。


 話を戻しますが、ガンアクションシーンにおいて、撃ち方を工夫することで弾道を曲げるというトンデモ。その作品超能力とか超人とか登場しません。ラノベ的ではありますけど割と硬派な印象でした。それでいて弾を曲げるのです。いや野球のピッチャーじゃないんだから、撃ち方どうこうでどうにかなるものではないでしょ! なんかそれらしい理屈で説明していますけど、力学的に納得できねぇよ。これ真面目にやっているのかそれともギャグとしてやっているのかわからず、途中脱落しました。





 

 自主企画参加作品の話に戻します。これは物理法則とは違うものかもしれませんけど、ラブコメ作品において唐突に登場する男の娘。


 登場した男の娘は別に女装男子とかではありませんし、何かしらの不思議で性転換(TS)したわけではありません。おっぱい大きくてち〇こついている子、所謂ふたなりが、何の説明なしにいきなり出てくるのです。


 一応戻って読みなおしたり、少し先まで読み進めて前後を確認してみたのですが、男の娘についての説明が一切なし。現実と何も変わらない世界での青春ラブコメにおいてさも当然のように存在しているのです。もちろんふたなり作品はたくさんありますけど、ここまで納得のできないふたなり男の娘は初めてでした。








 正直こういったツッコミはコメントで指摘した方がいいのか判断に困ります。指摘したらしたでトラブルになりそうですし……。まあ「これはフィクションです」と言われればそれまでですしね。



 ただ世に出回っている作品においてのトンデモは、ある種納得に近いものとして処理できるものがほとんどです。『とある魔術の禁書目録』とかトンデモオンパレードですけど、でもサイエンス・ファンタジー作品として面白く楽しめるので別にいいかと。むしろトンデモ現象の方が作品のポイントだったりしますしね。



 というかファンタジーでいうならば、異世界ファンタジーとか律義に現実の物理法則を守っていますよね? 魔法が存在している世界ならトンデモ物理法則があっても不思議じゃないのに。なんかこう、せっかくの異世界なんですから、水に火をつけたら電気が流れる、くらいのトンデモとかやればいいのにと思わなくもないです。




 まあとにもかくにも、物理法則を無視したとしてもある程度の説得力は必要になる、ということを思い、自分も気をつけよう、というのが今回の自主企画参加作品を読んでいて感じました。








 最後になりますが、今回の自主企画でとくに面白いと感じ絶賛レビューを書いた作品を二つご紹介します。



『賽河原高校の七不思議 雛森沙夜と赤い手帳』(作者:由岐)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891370727



『アクトノイド』(作者:@hiro1969)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893151444






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