問⋮理系女子はお嫌いですか?
「杏奈ーー、全然わかんないよ〜〜」
どこにでもある小洒落たカフェ。店内は橙色の灯りで照らされ、落ち着いたジャズが耳に心地よい。勉強に集中できる環境と夜遅くまでやっていることからお気に入りのカフェで私―神咲杏奈―は友達と勉強しています。
なにしろ明日にはテストが控えているのですから。
「分からないってどこが分からないの?」
「う〜〜〜ん、どこがって言うか……」
「なに、もしかしてどこが分からないか分からないなんて言わないでしょうね??」
「……その言い回しが分からない、かな?」
「はぁ〜、もうしっかりしてよ。こんな時間まで付き合ってあげてるんだから」
都内の大学に通う私は、入学当初から仲のいい親友――早乙女
「だってーー、わかんないものは分かんないんだもん!」
ぷくーーっと頬を膨らませる未月が妹のようで可愛いのは内緒です。小柄な子って可愛いですよね、内緒ですけどっ。
「あーあ、テストがない世界はないのかなー」
「多分あるわよー、量子力学的な観点から見ればパラレルワールドはたくさん存在するもの」
こう見えて私、理系女子というやつです。
「むぅ、杏奈が変なことを言い出さない世界もあってほしいよ〜」
「それは、ありません。ほら、ちゃんとやりなよー。ここがこうで、こうでしょ? それでこう」
どこで分からなくなったのか当たりをつけて説明してあげます。
「おぉ〜、さっすが杏奈! これで単位は我がものだよ!」
この笑顔のためにこんな夜まで勉強しているのだな、と思うのです。
「それは良かったわ。留年なんてされたら私が困るもの」
「うん! 一緒に卒業したいもんね〜」
「もちろんよっ。ささっ、続き続き」
「はいはーーい」
なんだかんだ言って真剣に取り組む所も未月のいいところです。素直で可愛い私の妹なのです。
「じゃあ頑張ってて、ずっと見られてるのも集中できないだろうし……少し夜風浴びてくるわね」
「ほいっ!! 帰ってくるまでに終わらせちゃうよ〜」
このカフェの近くには、静かな公園があります。
煉瓦造りの壁に囲まれていて少し
「うん、今日いい感じー。この囲いがいい具合に風を防いでくれるのよねー」
煉瓦のおかげで強風も心地よく感じさせてくれるいい場所なんです。
ベンチに座って夜風に体を晒します。
「ふーー……こうしてると体がほぐれるわね」
ずっと勉強していたので、知らぬ間に疲れが溜まっていたようです。
戻ったら頑張った未月をいたわってあげようと思います。
それにしても夜風が気持ちよくて……寝てしまい、そうです。
ほてっ…た……からだ…が……ひや…さ……れて………
問⋮魔法は神の力ですか?―解⋮いいえ、学問です 真夏の夜 @MANATUnoYO
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