五感で読むかくりよの物語

作者様の魅力は何といっても表現力。
知識に裏打ちされた美しい描写は、物語を読ませるだけでなく、しっかり想像させるに十分です。
この世のものではない風景を想像の中で味わううち、まるで肌にまとわりつくように、あるいは匂い立つように物語を感じてしまいます。読む人の五感ごと、幽世にいざなってくれる短編集です。
読後、ふと耳を澄ましてみたら、どこかから『彼ら』の話し声が聞こえてくるかもしれません……。