田舎の教会で育てられた孤児のヴェンシナは、十六歳になると村を出た。故郷を守るために国境警備隊に入隊を志願したのだが、その見目の良さから、配属されたのは近衛二番隊だった。王太子の側近として侍ることになったヴェンシナに、ある重大な任務が課せられる。
姉シャレルの結婚式に出席するため休暇を取ったヴェンシナは、同じ近衛隊のランディとともに帰省する。人間関係の濃厚な田舎にやってきたランディは、そこで金髪、琥珀と碧の色違いの瞳をもつ美しい少女フレイアシュテュアに出逢う。互いに惹かれ合う二人……。しかしフレイアには、その出生にまつわる忌まわしい噂と、領伯の横暴な息子に言い寄られる過酷な運命がのしかかっていたーー。
自由奔放なランディの言動に、彼の秘密を知るヴェンシナが胃を痛めている様子が、不憫萌えを誘います。清楚で健気なフレイアとランディの、身分違いの恋愛にも。ドキドキハラハラしながらも、流麗な文章と王道の展開には、安心感がありました。
身分違いの恋、乙女と騎士、決闘や大円団がお好きな方にお薦めします。