序章 もしかして私ですか?
今日は七月七日土曜日。
その日は何時もの日常になると思ってました。でもこの日にとって私は運命の出逢いをしたのです。
「梨奈~朝ごはんだよー!」
「ううん?あさぁ~?」
パジャマ姿の顔をひきつっているだらしない格好で起床した私事双葉梨奈は美少女である?
年は今年で十五歳となる中学三年生。趣味はサイクリングで特技はチェスという女性にしては独特の趣味特技を持ち合わせている。
そんな中、私の通う城北中学はこの土地の中学校の中で普通より少し下に位置する中学である。
そんな学校で私は生徒会長を務めている。それを聞いた限り優秀なんだろうなぁ~と思うけどそれは大間違い。
生徒会の実権は副会長が持っており私は人望もない例えるとただのお飾りみたいなもの。
それを毎日過ごしてきたのが私。悔しいとか苦しいとかはないかな。今の幸せと言ったら勉強だしね。
「おはよ~お母さん。」
「遅いよ梨奈。今日は貴方の好きな漫画の発売日でしょ?」
お母さんに朝の挨拶をする。これは基本的な事。
お母さんの言う通り今日は私の好きなお気に入りの漫画の発売日。その漫画は人気が高くて評価も良いで有名。
私が欲しいのは数量限定のリョージ・コトリ先生の書き下ろしイラスト画集がついてくる物である。
昨日はそれが楽しみで待ちきれなかったし過去作を読み返していた。
そのせいか何時もより遅れた時間に起床してしまったことはミスちゃったと思う。
でもまだ大丈夫!今から急いでいけば間に合う。
「頂きます。」
それからちょっと遅めの朝食を食べ始めた。お母さんの料理はプロなのでどれも美味しい。店でも始めたら良いのにと思ってしまうこともあった。
それだけお母さんの料理は最高なのです。
「ご馳走さまでした。」
「お粗末様です。」
食事を終え出掛ける準備支度する。漫画を買うに当たって数量限定版は手に入れるには隣町まで行かなければいけない。なので私は趣味のサイクリングとして使用しているロードバイクに乗って行こうと思ってる。
服装はまあ普通の格好でも大丈夫だと出掛けるお洒落な服装へと着替える。動きやすくスカートではなく短パンにした。
一応両手にグローブは着用することにした。
「うん!オッケー。」
鏡で最終確認をした。
「後、最後にこれかな。」
私は最後に綺麗な長い黒髪をポニーテールに結び邪魔にならないように整える。
「良しっ!完璧♪」
今の姿はあのだらしない格好と違ってだいぶマシ嫌、それ以上に変わった。
特にお洒落は誰かに見せつけたいとか好きな人に好感させたいとかいう気持ちはない。お洒落することで自分に自信を持たせる事ができる。
なんてね♪
「お母さん!準備できたから行ってくるね。」
ロードバイクに股がって乗ろうとした。
「梨奈、ちょっと待って。」
いざ出発しようとしたが母に突然遮られた。
お母さん?なんだろう。何か問題でも?
とにかく今は急がなくては行けないのに母に止められるうずうずさが感じる。
取り敢えずここは心を抑えて
「何か用~お母さん。急がないと間に合わないし。」
「ごめんなさいね。言い忘れた事があったから今言うね。今日七夕祭りだけど梨奈はどうする?」
そうでした!今日は確か七夕祭りがある日だ。毎年欠かさず行っているが今年は別に行かなくても良いよね。
そうした結論を出して母に伝えた。
「まあ!珍しい。じゃあ今回は貴方と行こうかしら。」
「それ良いと思うよ。お母さん、お父さん久しぶりにデート楽しんでね。それじゃあ行ってきまーす。」
「気を付けてね!」
言われなくてもわかってるって.....お母さんは心配性なんだから。私ももう中学三年生だよ。早く一人前になりたい。
ペダルを踏みながらにわかに当たる風に揺られながら考えていた。
やっぱり気持ちいい。夏に入るにつれて暑さが増す今の季節。そんな中、心地よい風を当たると結構良い感じ。
坂から降りて信号待ちに入る。
「こんにちはー!」
知り合いが居たので挨拶をする。
「あら梨奈ちゃん。今日も可愛いね。」
その人は隣に住むお母さんと長い付き合いの女性。良く私に対してお世辞をしてくるのですが聞き慣れたので苦笑いで対応するのが何時もの事。
「それじゃあ私はこれで。」
信号が青になっておばさんとはお別れする。
「間に合うかな~?」
時計を見て確認すると現時刻は九時四〇五分で限定版を手にするには十二時までに隣街に着いていないと間に合わない。
そこまでして限定版を手にしたいのは深い理由があった。
それは今から二年前になる。中学に入学したばかりの私は現実に放浪としていた。小学校三年間もいじめを受けていた私は現実の怖さ、愚かさ、更には皮肉さを覚えた。始まりはあの時から.....熱で休んだ私は復帰し学校へと行った。
「熱で三日間も休んじゃったけどやっと皆に会えるから楽しみ♪」
廊下を歩き自分のクラスへと向かっていた。
「ふんふん♪」
この時までは良かった。まだ何も知らなかった私は楽しくいられた.....でも
「ねぇアイツ今日学校来るらしいよ~」
「「えー!それ本当なの?」」
なんだろう?アイツって誰の事なんだろう?それより今の声ってえっちゃん?
入ろうとしたが入れる雰囲気でもなかったのでそれからも教室の扉の前で立ちつくし話を聞いていた。
「アイツウザいし!それに可愛いからって調子に乗ってムカつく。」
「はははっ!それわかるよ~」
「よくぞ行ってくれたえっちゃん。」
それ以外の大人数の声も聴こえて来たのは誰かの悪口。まだ私は誰の事を言っているのか知らなかったため平気でいられた半分何でこうなってるのだろうかと不満な気持ちで一杯だった。
だけどその幸せだった時間ももう終わり───その次の瞬間、一変として地獄に変わったのだから。
『りなちゃん早くどっかに消えてくれないかなぁ~』
この言葉は今でも鮮明に覚えている。だから私は一人になり中学でも一人を貫こうとした。その時に出逢ったのが......
*
隣街に到着した私は本屋に向かい漫画を手に取りお会計を済ませた。
これこれ~欲しかったよぉ~。最後の一個があって良かった。
実は到着した時には既に争奪戦が始まっており私は一人出遅れていた。そんな中、最後の一つを獲得することに成功したのです。
これで安心するよぉ~。はぁ~このイラストかわいい♡
公園の広場のベンチに座って一人コトリ先生のイラストを眺めていた。
この主人公に振り回されている女の子が可愛すぎてたまらない。小動物ぽくてああ~どうして可愛いの?
「ヨゾラちゃんかわいい~大好き。」
「お母さん、あのお姉ちゃん変だよ。」
「こら!見たらいけません。あのお姉ちゃんは今、自分と戦っているのよ!」
うっ!流石にこれはやり過ぎたかな。
公衆の面前で恥ずかしい事をしてしまったため周りからドン引きされている。
「ゴッホん!それよりそろそろ帰らないとね。」
近くの駐輪場まで走ってマイロードバイクを取りに行った。
しかし、隣街だからと言って今日はやけににぎやかですねぇ~。やっぱり七夕祭り行くべきだったかな。
別に屋台にあるわたあめとかりんご飴とか欲しいとかそう言う訳じゃないんだからね。勘違いしないでね!
それは良いとして毎年家族と行ってるし今年は一人でも行って良いよね。そうと決まれば行こう!と神社まで向かうことにした。
あれから帰りまで三時間経過した。途中何処か寄り道したりしてこの町に帰ってくるまで時間を消費してしまった。
とは言え人の数を多くなっている。
皆、今日は楽しみにしてるんだね。
皆、短冊に願いを書いて飾っているし懐かしいなぁ~。昔もこうして願い事書いてたな~。
「とうちゃーく!」
気づけば神社付近に到着していた。ここの神社の名は神代神社。名前に神の字が二つもあってそれは珍しい。この辺りにある最高峰の学園である上城構成学園の上城はこの神社の『かみしろ』から名付けられた物であると昔、お母さんから聞いた。
「本当ににぎやか。人一杯だし少し嫌かな。」
何時もは親と一緒だったため何とか大丈夫だったけど一人は流石にキツイというか場違い見たい。
辺りを見渡せば見渡すほどカップルが多い。これがリア充って奴なのかな?
中には可愛らしい子もいて凄いなぁ~と思っちゃう。
屋台が多い場所まで来たけど何故か違和感が感じる。何と言うか見られてるって感じ。
小声で何か呟いているみたいだけど何話してるのかな?
「おい。あの子可愛くね。モデルさんか何か?」
「それよりあのポニテがたまんねぇ!」
「可愛すぎて鼻血出そう。」
「出すなよきたねぇなぁ~。」
ううっ落ち着かない。何でこうなるの。学園に居る時だったら堂々と出来ているのに(生徒会長としての)こうもそわそわしちゃうなんて。
この場から立ち去りたいと思っていた。だが、私はわたあめやりんご飴を食べたい!
この空気を我慢しながら目的の場所まで歩いていた。
ふぅ~ここまではこれば安心。人の数も先程より少ない。
先ずはわたあめ屋さんに行った。
「こんばんは。あのぉ~わたあめ一つください。」
「これはまた可愛い嬢ちゃんだねぇ。三百円になるよ。」
わたあめ屋さんにまでお世辞言われた。優しい人なんだけどその言葉が少し私の気分を損ねてしまった。
財布から三百円を取りだし支払いを終え無事わたあめをGET出来た。
「う~ん。今度はりんご飴か.....りんご飴買ったら帰ろ。」
それからりんご飴も買えたので帰ろうとした。わたあめを食べながら歩いていた途端、遠くから楽しげな声が聞こえる。それは私の良く知った声。
「それでさぁ~どうなの?」
「俺ですか?そうですね───」
「こうして歩くとリア充多いね♪」
「ってお前らもリア充じゃん!」
「「それは言えるはははっ!」」
ざっと五、六人の集団で楽しくしていた。勿論その集団は私と同じ学校の生徒で知り合いも居る。
ちょっと会いたくないけどここ通らないと出れないからどうしよう!
冷や汗で戸惑いながら隠れる場所を探そうとした。しかし、それも手遅れで一人の人物と目がある。
「あれぇ?双葉会長じゃないですか!」
しかも一番見つかりたくなかった人に最初に気づいてしまう仕打ち。最悪だよ。
思わず頭を抱え込んでしまうほどに落ち込む。
それほどまでに嫌な理由があった。
その子に見つかったらせいで他の子達にも気づかれてしまう。
「梨奈ちゃんじゃないの。珍しい!貴女も来てたのね。」
彼女は生徒会書記で学園のマスコット的存在。先輩の私に対して馴れ馴れしいが憎めないのも一点。まだ彼女は大丈夫な分類である。
「梨奈ちゃん一人?」
「.....一人だけど悪い?」
私は対抗してある一人の女性を睨む。彼女は生徒会副会長で私の代わりに実権を握っている人物。
そして───
「聞いただけなのに怖い顔しないでよ~。私たち友達でしょ?」
友達.....絶対に友達だと思ってない。それだけは表情を見るだけでわかる。
どのような表情をしてるかはゴミでも見るかのような腐った表情と言えば良い。
「ちょっと二人とも落ち着いてっ!」
「おい。遥香さんの言うとおり落ち着け二人とも。」
二人の男女に止められる。副会長は二人に言われて諦めて私を睨むのをやめた。
怖かった~。流石にあれはキツイよ~。
「梨奈、ごめんね。初音今は機嫌が悪かったからとばっちりが来ちゃった見たいで」
遥香と呼ばれた女性が私の耳元で一言囁いた。その後、集団は私の元を離れていった。
それより喧嘩にならなくて済んだのはありがたい。今度、あの二人にお礼でもしとこう。
それよりも早く帰ろ。もう面倒事はやめて欲しい。そう思ったのも今だけ......そうこの時に。
「まさかこんなところにいるなんてな。ようやく見つけた」
「突然どうしたの?ってあっ!ちょっと.....」
気分損ねちゃったし帰って漫画でも読もう。そう考え階段を降りようとした。
「ちょっとそこの君!」
「へ?もしかして私ですか?」
後ろから突然の呼び掛け。どうみても私に対してのもの。振り向くと一人の男性が私を見ていた。この出逢いが私の停まっていた時間が動き出した瞬間でした。
いつか彼方の親愛なる君に願いを 夜空りえる @amane_shiro
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