ただ、夏の色をさがして

*****


 聞こえてくるのは長いセミの声と、数部屋先から聞こえるテレビの音が、ほんの少し。

 窓にはまる網戸からは夏のおすそ分けのように、余計なお世話のぬるい風が吹き込んでくる。

 網目に区切られて見える空はどこまでも青くて、日差しを遮る雲さえない有り様だ。

 さて、そんな事を考えながらあらためて、小上がりの段差に座ったまま、あらためて見回す。


 少し吹いた風に、ちりりん、と鳴いた風鈴も今にも溶けだしそうなぐらい、外はきっと暑いんだろう。

 そして見回せば、ここが何かなんてすぐに分かる。

 滑らかなコンクリートの床に、いくつかの“島”を挟んで色とりどりの宝石のようにそれは並ぶ。

 俺の右手側にはアイス用の冷凍庫に、コーラやラムネが冷やされた小さめの冷蔵庫。

 そして店内を埋め尽くすのは、小さなガム、スナック、アメ、チョコレート。

 紐付き飴の収められたプラスチックのかめが色鮮やかに黒、青、黄色と並んでいる。

 壁についたフックには火薬で音が鳴るピストルだのちゃちな水鉄砲だのがかかっており、その部分だけ妙に治安が悪い。

 ここは、見ての通りの駄菓子屋。

 神居村の唯一の未成年の憩いの場、石川商店。

 もう都心にはめったに見つからないような天然記念物ものの、どこからどう見てもの駄菓子屋さんだ。

 いつもはお客として訪れている俺だが、今はなんとも奇妙な事に、“店番”をさせられている。

 何故こうなったかは簡単なもので、俺は右手で探るようにして小上がりの上に置いたカゴの中から、紙箱に入った“きなこ棒”を一串取ると口に運び、もちゃもちゃと咀嚼し、じんわりした甘さが口に広がるのを味わう。


「……腰、ねぇ」


 簡単なことで――――ここのいつもの店番のばあちゃんが、腰をやっちまって療養中なのだ。

 何してそうなったかは訊いていないが、ともかく、ここのばあちゃんは奥で安静にしている。

 横になりながらテレビを見ているようだが、仮病ではとりあえずないだろう。

 しばらく店休にする事も考えたそうだが、さすがに夏休み中の遊び盛りのガキどもを思うと閉めるのはしのびないと。

 そこで、夏休みに入って暇を持て余している俺にお呼びがかかり――――というか、隣のばあちゃんを通じて俺が臨時バイトとしてここに送り込まれたというわけだ。

 バイト代は一日千円、日暮れまで。

 加えて期限切れのお菓子は好きに食べていいというのでまぁ、損する話でもない。

 それにいつもここにはお世話になっているから、力になってあげたい。


 きなこ棒の味が消えたあと、つい、残った爪楊枝を見てみると赤い印がついてた。

 ――まったく、当たらなくていい時には当たるなと思う。

 次いで、ビニール製の細いチューブに詰められた、青色のゼリーの先端を歯で齧り取り、ぬるくなったそれを啜る。

 ソーダ味とはちょっと言えない……まあたぶんソーダ味のそれを口の中で転がしてから飲み下し、咥えたままプラプラさせつつ立ち上がり、なんとはなしに入り口から表に出てみた。


「あっっつ! 何度あんだよ、今日……」


 するとまだ軒先から出ないうちに、明らかに体感気温が違うのが分かる。

 不思議なほど店内はひんやりしていたのに、ほんの六、七歩でこの変わりようはえげつない。

 それでも今日は湿度は低くてカラリとしたものだから、ちょっとはマシだと思う。

 店先にある色褪せた水色のベンチに座ると、ズボン越しにまるでホットプレートのような熱さが伝わり、今にもケツが焼けそうだ。

 思い切ってずぞぞっ、と残りのチューブゼリーを啜りきるも、カラになったそれをまだ咥えてぼんやり色々と考え込む。


 咲耶と海を見に行ったあの日。

 ささやかな花火大会でぶっきらぼうな言葉しか搾り出せなかったあの日。

 銭湯で偶然出くわしたあの日。

 今回の夏休みもいつかは終わるし、秋冬春と過ごせば今度は最後の夏休み。

 俺は――――どうしようかと、たまに思う。


 誰だって歳は取り、いつかは高校生じゃあなくなる。

 俺はその後、どうしようか。

 爺ちゃんが死んでしばらくの時は、ただ逃げてただけで目標自体はあった。

 ただ学校に行けばいいし、ひとまず出席を稼いでおけば当面は問題ないはずだった。

 だけど、今度は?


「何かやってる自分が、想像できねーんだよな……」


 自分の、次のステージがピンとこない。

 働いて社会の役に立つ姿も、はたまた進学でもするかどうかも想像できない。

 誰にだっていつかはある感覚だし、いつかはあった感覚なんだろうけど、ただ中での張本人の苦悩は別格だ。

 この駄菓子屋での“社会経験”のおかげで、なおさら考え込む。

 俺はこれから――――どこに、行くんだろうって。

 あの時にも、思ったことだったな。


「おい、兄ちゃん。具合でも悪ぃーのか? 熱中症?」

「あ? ……なんだ、何しに来たんだ悪ガキ」

「何しにって客に決まってんだろ?」


 自転車にまたがったまま話しかけてきた本日一人目のお客様は、おなじみの“悪童”君だ。

 今日は随分と落ち着いた格好で、赤いTシャツにワンポイント的に……いや、ワンポイント、なんだこれ。


「お前……それ、胸についてんの何?」

「セミの抜け殻だよ。見りゃ分かるじゃん」

「いや分かるけどなんで?」

「さっき拾った。デケーだろ」


 セミの抜け殻を胸に引っ掛け、ふんぞり返るように見せてくる小学生男子。

 これもまた夏の風物詩だろうな、と思いつつ、ツッコミも別に返せず俺はそそくさと店内に戻った。

 本当は、少しだけありがたい。

 どうも考え込んでしまった時には、こういう罪のないアホな小学生のムーブは癒される気がする。


「で、兄ちゃん何してたんだよ。あっついのに外のベンチ座ってカッコつけて」

「うるせぇな。ところで、お前さ……何か、なりたいものとかあるの?」

「は? えー……何、いきなり。あー……」


 再び奥に腰かけ、キョロキョロしながら店内を物色する彼に訊ねてみる。

 真っ赤なTシャツが変色するほど汗をかいて、セミの抜け殻をぶら下げ、この店が開いてなければこいつこそ熱中症で倒れたんじゃないかという気になってきて、あらためて引き受けておいて良かったと思う。

 少し間があって、二~三十円のスナック菓子の棚を見ながら、やがて悪童はぽつりと呟いた。


「アレだな。プロゲーマー」

「うっわ、出たよ……プロゲーマー」

「なんだよ、悪いかよ」

「悪くはねーけど……」

「公務員とか言ったほうがよかったのかよ」

「それも夢が無くて聞きたくねぇ。……で、お前何買うんだよ」

「んあ。あー……かき氷くれよ。メロンな」

「は? そんなもんあるワケ……」


 ないだろ、と続けようとしたその時。

 そういえばなんとなく、店の軒先に例の旗が下がっていたような気がして思いとどまる。

 加えて、この悪ガキのにやにやした視線の先には真新しい張り紙があるのに気付いてしまった。

 そこには確かに、こう書かれていた。


「“かき氷はじめました。イチゴ、メロン、ブルーハワイ、各八十円”……おい、まさか俺が作んのかよ」

「あたりめぇじゃん。早くしてよ、おじさーん」

「張っ倒すぞ。座ってろ、……ったく、クソ……」


 まさかこんなものまで、と思ったが別におかしな事はない。夏の駄菓子屋とあれば、あっても当然だ。

 一応俺は今バイトという事になっているし、貰うものを貰っている手前職務放棄するわけにもいかない。

 少し探すだけで、いつも婆さんの座っているあたりの棚にカップとスプーン代わりの先の開いたストロー、そしてかき氷機本体を見つけられた。

 少しくすんだ白色に、上部にハンドルのついた古めかしい年季の入った代物だがよく手入れされていて、埃が積もっている事なんてない。

 たぶん、毎日誰かはここへ食べにくるのだろう。

 “純喫茶マヨヒ”の本格的なそれとは違い、子供たちが気軽に食べにこれるものだから。

 かぱり、と上部の蓋を開けると円形の空間の底に小さな削り刃がついていて、蓋には氷の塊を捉えるための棘がある。

 とりあえず立ち上がり、居間で横になっている婆さんに声をかけて台所へ行き、缶詰ほどの大きさの丸氷を冷凍庫の中から探し当て、戻る。


「おせーよ。早くー」

「うるっせぇなホントに。これにシロップかけて食えよもう」

「あん? 仕事放棄かよおじさん」

「この歳ですでにクレーマーかよ。もう少し待ってろっつの」


 氷をかき氷機に突っ込み、カップを下に置くと蓋を閉じてハンドルを回す。

 滑らかだったのも最初だけ、すぐにがりがりと音を立てて中で氷が削られていき、手ごたえが重くなる。

 薄く削られた氷片がカップの中にひらひらと降りていき、そこだけ見るとまるで雪が降っているみたいだ。

 氷の残りが少なくなっていくにつれてハンドルも下に押し込まれていき、やがて手ごたえが完全になくなるとそこには、カップいっぱいの氷が削りあがっていた。

 我ながらこれは、いい出来栄えなんじゃあないか――――と眺めていられたのもつかの間、ぼやぼやしていては溶ける。

 すぐにメロンシロップの瓶を開けて振りかけると、それまで真っ白だった“雪山”が緑に染まる。

 最後に先の広がったストローを差し込んで、拳銃のおもちゃを眺めていたお客さんに差し出してやる。


「へぇ。結構やるじゃん、兄ちゃん」

「まぁな。意外とキツいぞ、これ。年寄りには酷だ」

「じゃ、夏の間ずっと兄ちゃんがいてやれよ」

「それか電動のヤツをお前が小遣いでプレゼントしてやるかだ。俺も少しぐらい出してやるよ」

「……それもいいかも」


 悪童がしばし考え込み、ようやく一口食ってこめかみを抑えたあたりで、もう一度俺は軒先に出る。

 駄菓子屋にかき氷の旗、飛行機雲。

 向こうの方に見えるひまわり畑が陽炎で揺らいでいる夏の光景のまとまりを眺めていると。

 ――――ふと、悪童とは別の視線を感じて真横を見る。


「咲耶か? 何してん……いや何……何、してたんだ? お前それ」

「キョーヤ君……まぁ、話すと長いのさ」


 今日は、初めて会った時とも浴衣を見た時とも、およそどの時とも違う感情で咲耶の姿を見る。

 というのも、ひどい有り様だからだ。

 ショートパンツに白い袖なしのフェミニンなシャツ――――だったと思しきもの・・・・・

 しかしそれは泥が盛大に跳ね散らかして見るも無残な有り様で、さらに見ればすらりと伸びる脚も泥まみれ、太ももの辺りには犬の肉球の足跡がぺたぺたと押されてすらいる。

 その泥だらけの凄惨な風体はさすがに恥ずかしいのか、さっきからどうも視線が合わない気がする。

 よく見れば顔にまで泥が跳ね飛んでいる始末だ。


「人面犬とでも遊んでたか」

「いやフツーの犬だよ。……ま、聞いて」


 ――――その後、咲耶の語るところによると経緯はこうだ。

 なんでも、庭に繋いでいた犬が逃げたと困っている人がいて、咲耶が無事探して首尾よく見つけて連れて帰ろうと言う時に。

 リードを握っていたそいつが急に走り出し、ぬかるみの中でのたうち回って泥浴びを始めてしまい、突然のことで咲耶も巻き添えになって泥につっこんでしまったと。

 それでもう開き直った咲耶が犬と一緒に泥遊びをして、満足したらしい犬を連行して引き渡し今に至ると。


「……で、疲れてここで一休みしようとしたら俺と出くわした、と」

「まぁ、そうなるかな。キミはなんでここにいるのさ」

「ここの婆さんが腰やっちまったんだよ。しばらく店番だ。……ちなみにその犬、どうなった?」

「連れて行ったら先読みしてたらしく、そこのおばさんがホース片手に待ってたからそのまま丸洗い」

「お前も洗ってもらえばよかったのに……」

「今となってはそう思うね、恥ずかしいや。でさ、かき氷頼める? ブルーハワイで」

「その間に裏で洗ってこい、やんちゃ坊主の咲耶」

「いじわるだなぁ、もう」


 たはは、と脱力したように笑う咲耶が裏の水道に向かったのを尻目に、本日二回目のサーブのために店の中に戻る。

 と、その時店の中にいたはずの悪童がびゅん、と戸口から駆け出してきて思わずぶつかりかけてしまった。


「んじゃ兄ちゃんごちそうさん!」

「あ? お前もう食ったの――――って聞けよ、オイ」


 もう食ったのか、とツッコミを入れる間もなく、自転車に飛び乗るようにして悪童はさっさと見えなくなってしまった。

 残されたのは、とっくに空になったカップとストローだけ。

 ……腹壊すんじゃないかなぁ、とも思ったがもう後の祭りだ。

 ともあれ、二人目のお客が脚やら洗う水音が聞こえ始めたのを合図に俺はもう一度、台所へ氷を取りに行く。

 なんとなく、本当になんとなくだ。


 咲耶が近くにいると、それだけで――――涼しくなれるような気が、した。



*****


 そうこうしているうち、水道の音は止む。

 そのまま店内に入ってくるかと思ったのに、咲耶はどうやら外の色褪せたベンチに腰を下ろしたのが戸口の影で分かる。

 削り終わったかき氷にシロップをかけると、青と白のコントラストが何とも美しい夏の主役の完成だ。

 青は食欲を減退させる色だそうだが、こいつにだけは当てはまらない。

 入ってくるつもりはどうやらないみたいで、仕方なく俺が、外に届けにいく事にした。


「おい咲耶、どうして入ってこないんだ。外よりはマシ――――」


 思わず、息を呑んだ。

 脚の素肌を覆っていた泥はきれいに落とされ、その下にある真っ白い生足が本当に輝いていたから。

 肌を滑り降りる水のたまが空色のベンチに吸い込まれていき、キラキラと宝石みたいに光る。

 そして咲耶はどういう訳か、サンダルも脱いで投げ出し、アスファルトの感触と熱さを心地よさそうに足裏で楽しんでいるようだ。

 少し先を見れば、うさぎのような細い濡れた足跡がてんてんとここまで続いているのも見えた。


「ありがとー。ふふっ……上手だね、意外と」

「あ、ああ。……だから、なんで入ってこないんだよ」

「暑さも楽しまないとさ。それを含めてこそのかき氷じゃない? ほら、座りなよキョーヤ君も」

「まぁ、分かるけど。ほら食え」


 隣に座りながらかき氷を差し出す。

 さくり、と山盛りの氷を咲耶はゆっくりと口に運ぶも――例の“あれ”に襲われる様子はない。


「しかしさ、ブルーハワイって何味なんだろうね?」

「はぁ? 何って……何だろうな」

「イチゴとかメロンとかは分かるけどさぁ。ブルーハワイなんて味のお菓子とかないじゃん。かき氷でしか成立しないような気がするんだ、ボクには。謎だよね」

「夏っぽいカンジだけはするというか、カンジだけで成り立ってるわ。“夏の味”ってとこか?」

「そうだねぇ。青いし。……ふふ、めっちゃ夏だね、今。うん、夏だよ、すごく夏」


 なんだか――――いつも以上に捉えどころがない。

 ふわふわしすぎというか、暑すぎて何かがトんでるのか、それはお互い様だからか俺も咲耶もなんともやり取りに中身がない気がした。

 しゃく、しゃく、と“夏”を口に運ぶ咲耶を見ていると、あながち俺の言ったことも間違ってない気がする。

 氷にかかった青いシロップは、確かに、夏によく似合う。


「何回“夏”って言うんだよ。だいたい酷いな、白い服着て泥遊びって……」

「遊びたがったのはボクじゃないって。服なんて洗えば済むじゃないか。落ちない汚れなんてそうないよ」

「じゃぁ次は麦わら白ワンピでも着てくれよ」

「イヤだよ、恥ずかしいじゃんそんなコテコテの」

「お前、ヒトにはさんざんコテコテを求めるくせに……」

「ボクはいいんだよ」

「良くねぇんだよ。着ろよ来年」

「いつになく押しが強いね。そんなに見たいの?」

「あ? 見てぇよ」

「……え、あ、そう? えぇ~……?」


 ……咲耶のこんなに引いてる顔を見るのも初めてだから、貴重な気がする。

 だけど実際、見てみたいんだから仕方ないじゃないか。

 似合わないはずがない。


「でもなぁ。本当に恥ずかしいんだって……沢子のじゃダメ?」

「それはそれで見たいけどさ。……待て、八塩さんがそのカッコしたら……」

「……すっごい目に浮かぶね。うん、似合う。スタイルいいし似合うんだけど……ちょっと……」


 陰口は良くないのでこれ以上は言わない。

 言わない、が――――八塩さんが着たらシャレにならないどころかこの村の場合、誤解と混乱を招きかねないぞ。

 それにしてもこんなに難色を示されるとは思わない。

 人には安直なコテコテを求めるのに、求められたら断るとはずいぶん了見のなってない話だ。


 そこで、ふと一計を案じた。

 ポケットの中に入れておいた小銭を手探りで集め、奥の小上がりへと向かい、そこにあるレジ代わりの貯金箱へ投入して戻る。

 そして、座る前にアイス売りの冷凍庫の中から、またしても青いパッケージに収められた定番商品を取り出した。

 封を開け、中から取り出したるはソーダ味の誰でも知ってるあのアイスキャンディ。


「キョーヤ君、どうしたの?」

「咲耶、こうしよう。今から俺がこれを食う。もしも“当たり”が出たら来年着てもらうぞ」

「え? ああ、そういう……マジ? こっち有利すぎないかい」

「だからだよ。こんなに有利なんだから、まさか断らないよな」

「別にそこまでしなくたっていいんじゃないか? フツーにもうちょっと頼み込んでくれれば……」


 言われてみれば、そんな気もしてきた。

 だけどもまぁ、楽しい方がいいに決まってるだろう。


「……仕方ないなぁ。いいよ、乗った。キミが当てたら、来年はそれ着てデートしてあげるよ」

「言ったな? 良し、始めるぞ」


 呆れたように、しかし楽しそうにまんざらでもない様子で笑う咲耶がついに勝負に乗った。

 この青い長方形の中身で、全てが決まる。

 刻まれている文字に一縷の望みを託して、歯を立てる。

 じゃくり、と氷粒のぎっしり詰まった歯応えに続き、キンと歯にしみてくるようだ。

 暑さにやられていたからか――――最初のひと口で、すでに頭が痛くなった。

 喉の奥から脳天を刺す冷たい衝撃が、なんだか懐かしいみたいで。


 最初のひと口では、まだ当然結果は見えない。

 でも焦る事じゃない。

 この一コマの時間だって、大事にしたいから。



 そして、勝負の結果は。


 ――――まぁ、一年後には分かることだから、今日は、ここまでだ。








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神居村へ、初めての夏を ヒダカカケル @sho0760

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