組織の外の目から見る、世界の動きと人々の絆

 テゥアータ・サーガの2作目ですが、勿論本作を単独で読んでも世界の情勢、動きなどは描写されているので問題ありません。

 本作は、主人公ユズが、兄の謀反をきっかけに、過激派集団「狩人」に狙われてしまうところから始まっている。
 助けてくれたのは、世間一般では謀反人の集団であるとされている「カゲ」と呼ばれる者達で、図らずも軟禁状態となってしまった。

 そこでユズの目にしたものは、恐ろしき謀反人たちでなく、ごくごく一般的な、むしろ優しい感情を持つ者達の姿だった。

 兄は本心から謀反を働いたのか?
 カゲはなぜ、世間にあらがうのか?
 テゥアータ人とは本当に恐怖の対象として見られるべき人達なのか?
 ユズが新たに知っていく「本当の姿」は、彼女をどこへ導くのか?

 この物語を読み終えて楽しめた方が、まだ前作「いつか、咲きほこる花の下」を未読であれば、ぜひ読んでいただきたい。
 そしてもう一度本作を読めば、違ったものが見えてくるだろう。