絵葉書

桜牙

第1話

 毎年この時期には絵葉書が届く。

 年始の挨拶の年賀状でもなく、夏の暑さに相手の体調を気遣う暑中見舞いでもなく、秋の真っ只中。

 昼は紅葉で景色が一変し、空は澄んで何処までも高く青く。

 夜は月が綺麗で星もたくさん見え虫の声が心地いい。

 そんな季節に私は生まれた。

 そう毎年、私の誕生日に絵葉書が届くのである。

 今年もそれを待っていた。でもやっぱり今年は来なかった。

 これからはもう来ないんだろう。そう思うと誕生日が少し寂しくなった。

「おじいちゃん」

 空を見上げて小さな声で呟いた。

 


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絵葉書 桜牙 @red_baster

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