僕には君が必要だった。ねぇ、君には僕は——

物語を何より愛する彼女と、その彼女から離れられない、本嫌いな僕との、恋愛よりも確かな絆。
これは二人の、人生に関わるあの夏の出来事。

読み易い文章で綴られた本作には、無駄な描写が一つも無くて、一文一文が胸に響きます。
どんな言葉で飾ってみても、この作品の良さを伝えられる自信が、私にはありません。
ただ一言、多くの人に読んで欲しい、そんな上質な小説です。

平成最後の夏、僕の決断が明かされた時、胸の内に残るのは、切ない痛みと涙でした。