第9話ママチャリ8

 馬車に揺られて1時間は過ぎたと思う。先程までいた日本の築地市場の様な人混みを抜け今は人が少ない住宅地を進んでいる。ここですれ違うの馬車か馬に乗っている人ばかり時おりメイドさんらしき人がこちらの馬車に向かい頭を下げているのが見えるが貴族が乗る馬車なのでそんなものかと思い過ぎていく。

 

 そして、此処まで感想を一言で言うと。


「遠いわ!」


 いやもうどんだけ遠いの!?ずっと馬車の中でお尻痛いし暇だし、歩きならまだわかるけど馬車だよ?全力で走れはしないだろうけど歩きよりはずっと早いのにまだ着かない。


 あまりの遠さに一人自転車でいってやろうかと本気で考えだしていた。


「はっはっは、確かに遠いな。まあ我慢してくれ、一応こんなんでもこの街の領主なのでな。もうしばし待っていてくれ」

「ソウタ様のお気持ちわかりますわ。いくらなんでも遠いですわよね」

「カレンまでそんなことを言うか。家までの距離は成功の証、強いてはこの領地に住む人々のおかげなのだ。私たち貴族はそれを感謝しながらだな「はいはいわかっております。貴族は街の人々の働きがあってこそ生きられるそうですわね」うむ」

「お父様は固すぎなのです。その癖自由な事ばかりして、なぜそんなに人望があるのかが不思議でなりませんわ」

「私なりに努力している結果だな!」


 この領主様の為にあれだけの人が集まるんだもんな。確かに人望がなきゃ無理な話だ。この裏表のない性格がいい方向に働いてるのもあるんだろうけど。



「見えてきましたわ。あそこが私達が住む屋敷です」

「おおこれはって本当にでかいな?!何坪あるんだこれ……」


 コの字型の巨大な屋敷が見えてくる。まさしく中世時代の鉄板型だが規模は果てしなく大きかった、これは走太が一度だけ行ったことのある千葉県の某アウトレットモール並の規模といえよう。どうしてここまで大きくしたのかそれにこれだけ巨大だと管理が大変なのではないかと不思議でならないがとりあえず今は気にしないでおく。


「ふふふ、これだけ大きな屋敷などみたことないっといった顔だな」

「え、ええ。流石にこれだけ大きな物はないですね」


 地球にもないことはないだろうけど僕が知る限りでは実際に人が住む建物でこれだけの規模は本当にみたことないな。あとこのドヤ顔むかつく……


「ソウタ様声に出てますよ?それと確かにこのドヤ顔はむかつきますね。あとで奥様にご報告しときますのでそれでお許しください」

「あっお願いします」

「セバスそれは名案です。事細かくお願いします」

「セバス?!」

「お嬢様の件も一緒に報告しますので」

「そ、それは少し待ってください」

「そうはいきません。私の方からしっかり話させていただきますのでお諦めください。それとも……私が奥様の代わりに叱ることになりますがそれでもよろしいと?」

「それだけは勘弁してください」

「残念です。それでは旦那様お降りください。ソウタ様は私の方で一度私室にお送りいたしますが宜しいでしょうか?」

「うむ任せる。カレンはこのまま執務室まで来なさい。ではソウタ殿夕食の時間になったらまた迎えの者を向かわすのでそれまでゆっくりしていてくれ。さあいくぞ」

「はい……ではソウタ様またご夕食の時に」

  

 降りる際に領主様が私上司なのに……とか何とか言っていたが気にしてはならない。


 先に降りた領主様とカレンは正面の扉から中に入っていく。


「さて私たちも向かうとしましょう。本来お客様となられるかたは正面口から入って頂くのですが、そうなるとかなり遠回りになるので普段メイドや従者の者が使う裏口があるのでそこをつかうとしましょう。何分この屋敷は広いのでまともに回るのが大変なのです」

「確かに大きいですもんね」

「はい。ソウタ様はしばらくご滞在となるのでしたらこの道は覚えといて損はございませんので。仮に迷われてもそこらかしこに人が居るのでその都度聞いて下されば問題ありませんが」


 執事のセバスさんにざっとこの屋敷で過ごすにあたっての説明を受けながら歩き進めると目的の部屋に着く。


「到着しました。ここがソウタ様のお部屋です。必要なものは揃っていると思いますが万が一足りない物や必要なものがありましたら机の上にあるボタンを押してください。すぐに専属のメイドがかけつけますので」


 専属のメイドって……そこまで特別待遇だと逆に委縮しちゃうな……


「はい、なにからなにまでありがとうがざいます」


「どんでもございません。むしろお礼を言うのはこちらのほうです。カレンお嬢様を救って頂き本当にありがとうございます」


 セバスさんが深々と頭を下げお礼をする。

 そしてまた夕食の準備が出来次第呼びに来ると言い残し一礼して去っていた。


「異世界初日にしてこれだけバタバタするとは思いもしなかったな……流石にちょっと疲れたし少し寝るか」


 テーブルに置かれていたガラスのコップに一緒に置いてあった水を入れ一気に飲み干してから手入れの行き届いたベットにダイブする。

 今日の半日で死んで生き返ってママチャリで爆走してと体も心も疲れ切っていた走太はそのまますぐに眠ってします。

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神様のしょうもないミスで死んだので異世界でチャリダー無双します メガネ太郎 @neganetarou

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