第8話ママチャリ7
あれから20分森であったことを僕が知る限り事細かく説明した。
ちなみに僕がなぜそんな森にいたのかを聞かれたが旅の途中で獲物がいないかを探していたところを偶然人の気配を感じて近づいてみたらといった具合に言い訳しといた。
話を聞くにつれこと重大さを知った領主様は顔色を変えながら僕を疑うでもなく最後までしっかりと聞いて時折カレンを睨むのが印象的だったとだけ言っておこう。
「それで、最後にカレンさんの『指示でしかたなく』ええ本当に仕方なく領主様に突っ込んだわけなのです」
大事な事なので二度言う。
さて、最後まで聞いてくれたのはいいけどどこまで信じて貰えるのやら。
それに途中から黙ったままで地味に怖いんだけど……
「娘をカレンを救ってくれたことに心より感謝する!本当に、本当にありがとう!!」
「あっいえちょ?! そんな頭を上げてください。そ、それに貴方のような貴族様が僕みたいな平民に頭を下げたらまずいんじゃ……」
突然土下座に近いような礼をされ戸惑いまくる。しかもここには他の人達も大勢いるのだ、このままだと流石にまずいと判断し慌てて立つようにお願いするが聞いちゃくれない。
「いいやダメだ!これは貴族ピータン・マ・ルーラマッツとしてではなく、カレンの父としての礼だ!もし、ソウタ殿がいなければ私は一人娘であるカレンを失っていたかもしれない!本当にありがとう!この恩は必ず返すと女神ソウラシャータに誓おう」
「ええ、お礼は受け取りますから、だから早く立ってください!このままだとなんか僕がまずいことになりそうなんですけど?!」
それだけいうと流石に理解してくれたのか立ち上がってくれた。
「よし。今日はもう遅いこれ以上暗くなる前に解散するとしよう。集ってくれたソウタ殿の活躍によりカレンは無事戻ってきてくれた!今日は私の突然の呼び掛けに駆けつけてくれたことに感謝する!集ってくれた者や協力してくれた者達には少ないが私から礼をさせてくれ。街に入るさい担当の者が大銅貨4枚を渡すしっかり受け取ってくれ」
その言葉に集まった人々は歓喜する。それと同じくらいカレンが無事に帰ってきたことを喜ぶ声も聞こえてきた。
「へー、カレンはなんだかんだで心配されてっるてことなんだ」
「……」
カレンは無言のままこちらを睨む。
ありゃーやっぱし怒ってるなー。さてどうしたものか……怒っている女性の扱い方なんて知らないしな。
「またせたな。これから馬車で屋敷まで帰るとしよう。それとカレンはすぐに私の執務室までくるように」
どうしたものかと考えているとやるべきことを終えた領主様が馬車と共にやってきた。カレンは呼び出しを受けたが返事はない。
気まずい空気の中馬車に乗り込もうとしたとき……
「……今度、あの自転車に乗せてください。じゃなきゃ絶対にソウタ様の許しませんから……」
「へっ自転車?それくらいなら別に……」
「約束ですからね!絶対です」
「わ、わかったよ。時間あるときにでも乗せるから」
それだけ言うと先程とは打って変わって上機嫌で馬車に乗り込む。
「ソウタ様も早くお乗りになって」
「あっうんごめん」
女の子ってわからないなー、とそんな事を思いながら急かされ慌てて馬車に乗り込んでいく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます