第2話出会いの始まり

 ガタン ゴトン ガタン


 音を出しながら馬を二頭つれた馬車を赤髪の少女は長い髪を揺らし、馬を気遣いながら道を進む。綺麗に平された道には大きな石など無く、脇に雑草が少し生えているが道通りに進む分には問題ない程に整えられている。


 しばらく道なりに進むと、門と兵士が立っているところまで少女は馬を走らせ、身分を確認してから門の内側へと馬車を進ませる。

 門に入った少女は近くの開けた場所まで進み、馬から下りると後ろの屋形まで近づき、中の様子を確認する。


「やっぱり寝てる……」とため息交じりに少女は客の青年が商品が積まれていない場所を上手に寝ていることを確認する。少女はその姿に少し呆れたような様子をしながら青年に対して。


「起きてくださーい」


 声をかけるが青年はいっこうに起きるそぶりをしないことを見ると、さっきよりも大きな声で「起きてください!」と言ったが先ほどと変わった様子は感じることができなかった。


「はぁ、無理矢理起こしますか……」とため息交じりに、少女は自分のバックを手にとって思いっきり振り落とすと「いてっ」と頭を押さえる青年に「やっと、起きましたか。目的地に着きましたよ」と冷静に青年に告げた。


「え、あ。ごめんなさい」


「別に良いですけど。北に行くときは気を付けてくださいよ」


「どうなるんですか?」


 青年はゴクリと、のどを鳴らすと。


「身ぐるみ剥がされるか、最悪死にます」


「世の中いつの間にそんなに物騒に……」


 青年が一人ブツブツと何かを呟いていると少女が


「まあ、今回は良いですけど、ほんとに気をつけてくださいよ」


「は、はい。すいません」


「ふふっ、では、今回はここまでです。ご利用ありがとうございました」


「はい。こちらこそありがとうございました」


 青年はそう言いながら腰を曲げる。


「では、また、機会があればご利用してください」


 そう言うと少女は馬にまたがり、大通りの道へゆっくりと消えていった。

 背中が完全に見えなくなると青年は商人の少女とは別の、小道に向かって歩いて行く。

 しばらく歩いていくと、周りの建物がだんだんと汚れの目立つ物が増えてくると、青年へ鞄から一つの紙を取り出す。


「んー、この辺だと思うんけどなぁ」


 青年が地図を照らし合わせながら、周りを見ると少し先に一つだけ灯りが付いている。他の建物よりも少し大きい建物を発見すると、その建物の名前と地図に書いてある名前が一致するのを確認すると建物の中へと入ったいった。


 「いらっしゃいませ。今日はどう言った依頼ですか?」


 カウンターに座ってる女性が声をかけてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無くなった世界の後で ただの鳥 @tooriame

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る