第3話 怖いなー怖いなー
身の毛もよだつ、とはこの事を言うのだろうか。
外では窓を叩くほどの雨が降り続いている。
そんな深夜0時。デジタル盤の時計に0が並んだその瞬間だった。まるで映画のあるワンシーンのように着信音が部屋に響き渡る。
こんな時間に?誰だ?
そう思った。
コールは取る前に切れて、そのすぐ直後に一件の通知が送られて来る。俺は恐る恐るその通知を開く。
「う、うそだろ……!?」
もう一度言う。身の毛もよだつとはこの事を言うんだ。
スマホを持つ手が自然と震え出す。まるで心臓を鷲掴みにされたかのように生きた心地がしなくなる。
どうすればいいんだ。一体、どうすればいいんだ……。
淡く光を照らすスマホの画面を見ながら俺は狼狽する。
そこには俺に向けられたメッセージが一つ……
『慎一/ごめん!終電逃したからちょっと泊めて……!もう家の前にいまーす』と……。
うおぉぉぉぉぉぉ困ったぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!
まさかの慎一の突撃訪問!突然過ぎて下手な怪談語りみたいになっちゃったけど、そうなるくらいこれはヤバい。ヤバいぞ!
「おーい秋人ー?寝ちゃってるー?」
そうか。このまま寝たフリすればやり過ごせるか?……ってダメだ。不用意にもさっきの通知に既読を付けてしまっている。これで寝たフリはちょっと不自然だ……。
俺は渋々玄関のドアを開けて慎一と対面する。
「よう慎一。……急だな」
「ごめんごめん。ちょっと街ふらついてたらこの雨に当たっちゃって。悪いんだけど、ちょっと泊めてくんない?頼む!」
「そ、そうかぁ~。取り合えずタオル取ってくるから待ってて」
「全然!待つ待つ!」
こ、断れん……。
もとより気の利いた断るセリフもないんだけど、言葉通りずぶ濡れでそこにいられたらさらに帰れなんて言えやしない。これは引くに引けない……。
でも。でもだ。このまま慎一をすんなりと部屋には上げられない。なぜなら、ここにはリョウコさんがいるから。
「ふーんふふーん♪」
そう。なぜか学生服に身を包み、見た目が完全に思春期女子となったリョウコさんがここにはいるから。
……なんでよりによってこんな時に!?
バイブル漏洩事件の熱も冷めぬまま、ご飯を済ませ俺が風呂から上がると、なぜかリョウコさんはJKとなって居間に鎮座していた。
言わずもがな、これも俺のバイブルにあった内の一つ。またもパッケージから姿を拝借しているようで、しっかりと作品コンセプトの『後輩JK』という設定も作り込んで来ている。
コスプレ感は全然なくて、見た目もホントに若くなっているのがこれまたびっくり。リョウコさんいわく、「私の幽霊力なら年齢の行き来なんてお手の物」だそうだ。困ったことに美少女と言わざるを得ない。
幽霊力すげぇな。
そんなわけで。パッと見、俺の部屋には未成年のJKが転がり込んでる構図が出来上がってしまっている。
……ね?ヤバイでしょ?
いくら慎一と言えども、これであらぬ誤解を生むわけにいかない。加えて、彼女が幽霊だというのもバレるわけにはいかない。なぜなら絶対にめんどくさくなるから。
ほらね?もう困る以外の選択肢がないでしょ?
「とにかく。リョウコさんはどこかに身を隠してもらって……うおっ!?」
「外に……余所者の気配がする」
今の今まで花のJK感を醸し出してたのに、突如として禍々しいオーラを噴出させるリョウコさんに驚く。
「え?え?なに?」
「私と君の時間を切り裂く邪魔者……ノロウ」
「急に怖い!?ちょっと落ち着いて!?」
「せっかくのアピールタイムを……ノロッテヤルノロッテヤルノロッテヤルノロッテヤルノロッテヤル……」
「わーストップストップ!!呪うのはやめてあげて!?ほら!そのアピールタイムはまた後でちゃんと受けるから!」
「……ホント?」
「ホントホント。だからほら。今は可愛いリョウコさんでいてほしいなーって……」
「可愛いなんて、もう~~~」
禍々しい空気から一転、顔が緩んでクネクネし出した。こう言っちゃなんだけど、リョウコさんがチョロくて助かった。
しかし。まだリョウコさんのNGポイントが分からない以上、油断は全く出来ない。どうにかリョウコさんの機嫌を損ねないようにしていきたいけど、相手はあの慎一なんだよなぁ……。正直、不安要素しかない。
「大丈夫か秋人!?」
「うおっ!?ちょ、慎一?何勝手に入って来てんだよ!?」
「いや。外で待ってたら異様な物音がしたから何かあったのかと思って……って、え?誰その子?」
「oh……」
予期せぬタイミングでのエンカウント……。
心配して駆け込んでくれたんだろうけど、その漢気は違う場面で発揮してほしかった。
「女子高生、だよな?」
予想通り過ぎる質問を投げ掛けられる。ここはもう勢いで乗り切るしかない。
「そうそう。実は親戚の子でね。受験に向けて勉強を教えてほしいって言われて、臨時で家庭教師をしててさ。ね?リョウコちゃん?」
「???」
「ね!リョウコちゃん!?」
「え?あ、う、うん」
事情を飲み込めないリョウコさんに無理矢理でも圧をかける。付け焼刃は百も承知だけど、今はとにかく整合性を優先することに心血を注ぐ。
「そうなんだ。へー受験勉強か。なんか懐かしい響きだな。あれ?でも道具も何もないけど?」
「あー!えっと、ヒアリング!そう!今はヒアリングの勉強をしてたとこでさ!」
「おー。本格的にカテキョしてんだなー」
「ま、まあなー」
「あ。わり。ちょっとトイレ借りてもいい?」
「おう全然。玄関脇にあるから」
「サンキュー」
慎一がトイレに行ったその瞬間を見計らってリョウコさんの方に振り向く。すると、なぜかリョウコさんは恍惚の顔してデレていた。
「え?リョ、リョウコさん?」
「あんな押しの強い君、初めて……」
「えっと、すいません。あれはあの場で致し方なく……」
「全然いいよ。むしろおかわりがほしいくらい」
「お、おかわり……。えっと、取りあえず今はそれ置いといて。とにかく慎一にはどうにかこうにか帰ってもらうよう計らうんで、勢いにかまけて悪いんですけど、リョウコさんはとにかく俺と口裏合わせてもらってもいいですか?」
「どうして?」
「よからぬ噂が立つと、俺がもうこの部屋にいられなくなるかもしれないからです」
「君がいなくなる……?君が……?」
「リョ、リョウコさん?」
「じゃあ今すぐにでも
「わーーー!!それはダメです!」
「……どうして?」
「ほら!ここで物騒な事件でも起きたらそれこそよからぬ噂になってこの部屋にいられなくなりますよ!だから、ね?ここは一つ共同作業ってことで頼みます」
「共同作業……初めての共同作業……。うん。悪くない。私、頑張る」
なんか動機が湾曲したような気もしなくないが、この場を乗り切るという共通認識にはなったからここは良しとしよう。「始末」の言葉を放つリョウコさんはマジだったし……。
そうこうして、知らない間に危うくトイレで人生の岐路を迎えそうになった慎一がスッキリとした顔で戻って来た。
でも。ここからが勝負だ。
「初めて来たけどトイレも綺麗だし、広さも丁度よくて良い部屋だなー」
「そ、そうか?」
「これで家賃なんぼなの?」
「え?えーっと、2万5000かな」
「安っ!?え?マジで?それって曰く付きとかじゃないのか?」
「いやいやー。そんなことないよー。たまたまだよー」
「へー。そうなのか」
「曰く付き」に眉がピクリと動くリョウコさんが目に入る。いや間違いなく曰く付きなんだけど、それを面と向かって言われるのはいい気分ではないんだろう。
ここは話題を切り替えねば。
「あ。そうだ!さっき泊めてって言ってたけど、リョウコちゃんが泊りがけで勉強中だから、スマンけど雨宿りって事に今回はしてもらっていいか?」
「あぁそうか。それもそうだな。いやいや。俺が飛び入りで来たんだから秋人が謝ることじゃないよ」
「お、おう。スマンな」
慎一は基本良い奴だから、こっちの事情で形として追い返そうとしている事に良心が痛む。
でも、慎一に長居してもらいたくない理由があるから居た堪れない。
「それにしても寝る間も惜しんで受験勉強かぁ。リョウコちゃんだっけ?偉いねー」
「……それほどでも」
「どこの進学目指してるの?」
「……秘密です」
「えー。秘密かー。こんなカワイイ子の秘密はちょっと気になっちゃうなー」
「……は?」
流れるようにリョウコさんの手に自分の手を添える慎一。顔も近付けてジッと目を覗き込んでいる。
そう。これだ。長居してもらうと困る理由。慎一は生粋のナンパ体質なのだ。しかも本人に自覚症状のない非常に厄介なもの。
ナチュラルプレイボーイと言えば聞こえはいいんだろうか?長身で端正な顔立ちの慎一は王道のイケメンくんなのだが、いかんせん対女性へのコミュニケーションが軽くて緩い。
息をするように口説くし、握手感覚で相手の手も握る。仲良くなりたい子がいればガンガン情報収集も欠かさない。夏菜の余計な情報とかを俺に吹き込んでくるのは何を隠そう慎一なのだ。
でも。付き合ってみると分かるが、それは慎一にとっては友好の表現であって愛情の表現ではない。だからたびたび諍いが起きる。
ナンパと思われて嫌悪感を示されることもあれば、勘違いさせて泥沼になったことも数えればキリがない。
だから、慎一はどちらかと言えば評判はよろしい方ではない。
そんなんだから周りから色々と指摘も受けるけど、それは慎一の人格ではなくて体質の問題だから根本的に直しようもない。それは生まれつき色黒の人に白くなれと言っているようなもんだから。
話が蛇行した気もするが一旦話を戻すと、俺はそれら全部ひっくるめて慎一と友人のつもりでいるけど、今のこの状況に関しては頭が悩ましいと言ってしまえるという事だ。
「あれ?リョウコちゃん、手冷たいね?冷え性?俺もさっきまで外にいて冷たいからおそろだね♪」
「……」
思った通り、慎一のアクションはリョウコさんに受け入れらていない。話しかけられている最中はリョウコさんの表情は終始死んでいるし。いや、幽霊のリョウコさんにこの表現が合ってるのか分からんけど。
でも、手を添えられた辺りで瞳の奥の闇感がグンと増したように見えたから、かなりリョウコさんを逆撫でしている事は間違いないと思う。
この状況を乗り切るための共通認識をしたとは言え、正直リョウコさんがどこまで持つかは全くの確証がない。
だから、ここは死に物狂いでフォローして慎一が帰るまでを凌がなければいけない。
さっきも言ったが、本当にここからが勝負なのだ。
「慎一。リョウコちゃんが勉強出来んよそれじゃ」
「え?あぁ!ごめんごめん!」
「でもリョウコちゃんは肌も透き通るように白いよね。なんか見とれちゃうな」
「……」
照れたように頭を掻く慎一を、深淵を覗き込んだような目で見つめるリョウコさん。
ことごとくマイナスポイントのようだ……。
「おいおい。見とれっ放しだとまた集中できないだろう。ほら。服も濡れてるなら取り合えず乾燥機にそれ突っ込んでこいよ」
「あ、助かる。じゃあお言葉に甘えて」
そのまま席を立つ慎一。脱衣場に入るのを確認してから取り急ぎリョウコさんにフォローを入れる。
「だ、大丈夫?」
「……テヲ、モイデヤロウカ……」
「大丈夫じゃない!」
声が重複するように聞こえるそれは結構マジのトーンだ。
「……マダ、キミニモ、フレラレテナイノニィィィ」
「こんなんで良かったらいくらでも!」
鷲掴むように慎一が触っていた方の手をガチッと掴む。慎一の言う通り、その手は思った以上に冷たかったが、様子を窺うように顔を見るとリョウコさんの顔はもうすでに紅潮していた。
「あふん!」
「お、落ち着いた?」
「ううん……興奮する」
「あ、じゃあ一旦離すねー」
「あ~~~~~」
名残惜しそうにこっちを見つめてくるけど、興奮して手を握り合う光景なんか目撃されたらどう言い訳していいのか分からない。とにかく、話が出来る程度に理性が戻ってくれたなら万事オーケーだ。
「えっとリョウコさん。慎一には悪気はないんだけどあれが通常運転。悪気がないから許せなんてそんな傲慢は言えないけど、どうにか耐えて!」
「……自信ない」
「俺もすでに挫折しそうだけど、ここは運命共同体って事で踏ん張ろう!」
「運命共同体……それってプロポーズ?」
「……違うよ?今は深読み禁止でお願いします」
「プロポーズだったら頑張れるのに」
「とにかく。リョウコさんは親戚の女子高生の設定を全うして!フォローは俺の方で頑張るから!」
「……頑張ってはみる」
さっきのご乱心で乱れた髪を手櫛で整えるリョウコさん。手鏡まで用意してあるその姿だけ見るとちゃんとJKだ。これが本来は俺を攻め落す用に拵えたものなんだから、改めて自分の癖の杜撰さに呆れる。
次の休みにでもブックオフに行こうかな……。
「秋人ー?なんか着るものある?」
「ちょ!?おい!」
物凄く自然体でパン一姿を晒す慎一。お前は服と一緒にモラルも脱ぎ捨てたのか!?
案の定、リョウコさんがヤバイ。羞恥心で顔を背けるとかしてくれたらJK的反応として二重丸なんだが、背けるどころか目で射殺すぐらいの空気がひしひしと感じる。いや、このままだとそれは現実のものとなりそうで怖い。
「慎一ぃぃぃぃぃぃ!!!これ着ろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「もがっ!?」
俺は自分の着ていたスウェットの上をダンクするかの勢いで慎一の頭から被せる。もごもごする慎一とリョウコさんの間に入ってパン一姿を遮断するも、すぐさま自分の犯したミスに気付く。
自分のスウェットを使った事で俺が上半身裸になってしまった。必死過ぎたとはいえ凡ミスだ。
恐る恐るリョウコさんの方に視線を向けると、さっきとは打って変わって恍惚とした表情で俺の上半身を凝視していた。
俺から裸を晒したみたいで恥ずかしさはあるものの、気を逸らせたという事で結果オーライだろうか。
「はぁ……はぁ……いいね、いいね」
リョウコさんの興奮具合を見てるとオーライとは言えないかもしれない……。
「ぷはっ!びっくりした」
「いやびっくりしたのはこっちだから。なに女の子いる前でパン一で登場してくるんだよ」
「あ。そうか。ごめん。つい家で妹とかといる感覚になっちゃった」
「気を付けてくれ。ほら下も貸すから」
タンスからジャージを引っ張り出して慎一に渡し、自分も適当なシャツを取ってすぐさま着る。横目でリョウコさんの残念そうな顔が見えたけど気にしない。
「いやーリョウコちゃん、ごめんね?」
「……」
「あはは……。嫌われちゃったかな」
「……ところで慎一。なんでこんな時間まで外ほっつき歩いてたんだよ?」
「ん?あぁ……なんでだろうね?」
「なんでだろうねって……また知らない間に外歩いてたのか?」
「いや、今日もちょっと女の子怒らせちゃって、それで謝ったりしてて、でも気付いたらボーっとしてて、それ……で……」
「お、おい慎一!?」
糸が切れたようにその場に崩れる慎一。しばらくして静かに寝息を立て始める。
「またか……」
「……」
「あぁ、驚くよね。慎一は時たまこうなるんだ。元々重度の不眠症みたいなんだけど、なんか嫌な事があったりすると無意識に夢遊しちゃうクセがあるみたいでさ。子どもの時からそうらしいんだよ」
「……」
「周りからは心無いことも言われてんだけど、コイツはコイツで結構苦労してんだよな。だからほっとけなくて。変に付き合わせちゃって悪いねリョウコさん」
「……その人、大事?」
「え?」
「その人は、君にとって大事な人?」
「え、まぁ友人だしね」
「そっか……じゃあ、殺そうか」
「え……?」
おもむろに立ち上がるリョウコさん。さっきとは違う雰囲気に俺は背中をなぞられれブルッと震える。
リョウコさんはそのまま慎一の前に立つと、暗くて深い目を慎一に落としてゆっくりと手を伸ばす。
「ちょ、何をしようとしてんの?リョウコさん?」
「……」
「リョウコさん!?」
一瞬の出来事だった。リョウコさんの伸ばした手は、まるで水に沈めていくように眠る慎一の胸の中にずぶずぶと入っていく。その光景に俺は目を疑った。
"じゃあ殺そうか"その言葉が冷たく耳奥でリフレインされる。
「リョウコさん!やめてくれ!」
「……」
「気に障ったのがあるのかもしれないけど友達なんだ!殺さないでくれ!!」
「……」
「リョウコさん……!!!」
「よし……捕まえた」
一言そう言うと、リョウコさんは一気に慎一の胸から手を引き抜く。すると、なにやら黒い靄みたいなものを掴んでそれを引きずり出した。
「うおぉ!?な、なにそれ!?」
「憑き物」
「憑き物……?」
「私のようなもの。これがコイツにずっと憑いてた」
「え?
「そう。多分、君の話を聞く限り子供の頃からじゃないかな。これは特に人の理性を麻痺させる類だから、もしかしたら
「マ、マジか……」
「じゃあ
その言葉に反応するように黒い靄はまるで生き物のように蠢いて暴れるが、リョウコさんは黒い靄を両手で掴み直すと、雑巾を絞るかのように左右反対方向に靄を締め上げた。すると、黒い靄は霧散して風に流れていくかのようにスーッと消えていった。
「やったの……?」
「殺った」
「もしかして、殺すってあの靄の事言ってたの?」
「ん?そうだよ?」
何食わぬ顔で手を払うリョウコさんを見て一気に気が抜ける。どうやら俺の取り越し苦労だったようだけど、あの場面であの雰囲気だったらそりゃ勘違いもするって。マジでキレたリョウコさんが慎一を殺すのかと思った。
「慎一はどうなるの?」
「取りあえず、その不眠とか夢遊とかはなくなると思うよ。長い事憑かれてたみたいだからその他の影響はちょっと分かんないけど」
「そっか。いや、ゆっくりと眠れるんならいいや。……リョウコさん。ありがとう」
「ううん。私的にもちょっと目障りだったし」
「はは。そっか」
「でも……ご褒美は、ほしーな」
「へ?」
急に体が硬直する。これはもう経験しているから分かるけどリョウコさんの金縛りだ!
「約束もしたしさ。我慢も退治も頑張ったから。ね?」
「ちょ、ちょっとリョウコさん!?なんで馬乗るの?ねぇ?慎一いるから……!!」
「寝・て・る」
「ちょぉぉぉぉぉぉ!!」
それから日が昇るまでの5時間。俺は約束通り(?)、JKリョウコさんのアピールタイムを受け続けた。
何かのスイッチが入ったのか、やけに艶めかしいそのアピールに幾度となく陥落しかけたが、理性がオーバーヒートする寸前まで俺は耐え抜いたのだった。
後日に聞いた話だと、あの歯止めの効かなくなった状態は短時間で怨と悦を繰り返し過ぎて酔ってしまっていたからだそうだ。
幽霊の酔い方を初めて知った夜だった。
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