カクヨムでいくつかSF小説を読んできました。わたしの少ない経験なので参考になるかは分かりませんが、本作はそのなかでも本格派なSF作品のひとつだと思います。
環境問題や宗教、そして人々の葛藤。SF作品にあってほしい要素がしっかり入っていて読みごたえのある作品です。
月移住者と地球にとどまった人との対比が上手く描かれていて、考えさせられる場面がたくさんありました。
個人的には、荒れ果てた地球で暮らす人々の生きざまが面白かったです。
月に移住している人がいる科学的に進んだ世界なのに、地球には原始的な宗教を信じている人がいる。よく世界観が練られていると感じて、驚きました。
ストーリーだけでなく文章も洗練されていて、するする読めるし、内容も頭にはいってきやすかったです。
初めて読むSFとしても、おススメできる一作です。
荒れ果てた地球。月への移住も遂に閉ざされ、地球に住む事を選んだ人々は生きる為に生きるような生活を余儀なくされていた。
『凪を待つ砂の海』
この美しいタイトルで始まる第1章の主人公はナギ。半陰陽の身体を持って生まれ、魅惑的で脆さいっぱいの少年。ナギの一人称で語られる物語。
えっ!どうなるの? という所で章が変わり、章毎に主人公はバトンタッチ。時間軸にも変化あり。
読者の想像のはるか上を突き進むストーリー。
1章1章に感動のストーリーがあり、そしてこの群像劇は全てが繋がり感動的に紡がれる。
愛と希望に満ちた美しい物語。生きる力となるものは何?
このジブリのような世界に落とされて、透明人間になった自分が体験してきたようなリアル感。
たくさんの方々が応援コメントやレビューを書いている事が頷ける練り上げられた素敵な作品です。