ものすごく迷惑で、意味不明な何か

 最初ちょっと時事ネタ(もうすでに若干懐かしい)が入ってて、「あっ、ホラーってそういう系ですか」と思ったんだけど、読み進めると真面目にホラーしてたし面白かったです。

 こういう日常に潜むわけわかんないモノの話はすごく好き。
 もはやネットロアとして定着した感のある〝くねくね〟とかもそうなんですが、怨霊とか呪いの箱てきな何となく斟酌できる気持ちのあるヤツよりも「存在自体は意味不明なんだけど、普通に害があって迷惑」みたいなヤツのが個人的には怖いと思います。

「迷惑さ」って結構怖さに直結する大事な要素だと思っていて、例えば貞子が怖いのはビデオテープという媒体で無限に増殖して自分の手元に回ってくる可能性があるからで、「呪いの効果はオリジナルテープ1本のみ」とかだとあんま怖くない。

 そういう点で、この「まがま」はめっちゃ怖いです。
 めっちゃ迷惑だし、本当に意味不明。

 グイグイと引っ張られるように読みましたが、最後の締めが特に素晴らしく、ホラーらしい嫌な読後感と「やってくれた」という気持ちよさが同時に襲いかかってくる不思議な体験をしました。

 とても面白かったです。

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