***



 *



 目覚めたそこは見たことのない世界。


 まず、おかしいと思ったのは月が二つあること。とてつもなく高い塔があって、その周りにはドラゴンが飛んでいた。


「君が選ばれし人?」

「私……」

「異世界から来た救世主だろ? なあ、聞いてる?」


 話しかけてきた男の子は勇者? その後ろにいるのは魔法使いらしき女の子。

 なんだ。どっちも前の主人公たちじゃない。


 こんなハッピーエンドなんてあるだろうか。私は主人公になって、どうやらここで戦う運命にあるらしい。


 でも、この物語をハッピーエンドに導くために。完結まで突っ走るために、私は神に従わないかもしれない。


「だったら何? 私は戦う気ないし、いきなり呼ばれて迷惑してるの。元の世界に帰してよ!!」


 神様の思い通りになんて動いてやらない。キャラクターに動かされる気分はどう?


 大好きだった物語を完結させなかった神様は信用しないんだから。私の力で完結させてみせる!


 だから今度こそ、物語に完結を。私たちキャラクターにも幸せを。


 神様であるなら、私たちを愛して欲しい。


 届け、この願い。

 神様の元へ――――。



   END



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神様は気まぐれ 和瀬きの @kino-kinoko

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