エピローグ

「プリズムらのソード!!」


スパァン!


『オノレメグチャンン!!』


ドゴォーン!!


 ふぅ。今日はこれで最後かな?

 後は読書強化集団の人達に任せて帰ろっと。


「らのちゃんお疲れ様!今日もありがとう!!」

「じゃあね~、さよならの~!」


 あの事件から一ヶ月。私は読書強化集団の人達と連携してアンチ獣と戦っている。

 元々アンチ獣は読者が居る限り産まれる物で、尽きる事は無いらしい。


ヒュン シュタッ


「お、らのか。お帰り」

「うん、ただいまカケルさん!」


 本山神社の境内まで戻ると、巫女姿のカケルさんが出迎えてくれた。

 私が読者強化集団に属する事で家のお手伝い(実は家は神社なのだ)が出来なくなるので、私が出動する日はこうしてカケルさんに代わって貰っている。

 カケルさんは男の人だけど、これだけ美人なんだから巫女服でも問題は無い。


「最近ちょっと出動しすぎなんじゃないのか?俺から支部長に言ってやろうか?」

「今の所は大丈夫かな。キツくなったらお願いするかも」

「おう、任せろ」


 カケルさんの気遣いに感謝しながら変身を解き、部屋に戻る。

 そして机の上に置いていた読みかけのラノベを手に取り、ベッドにダイブして続きを読み始める。

 今読んでるのはページにびっしりと文章の書かれたラノベで、表紙はさりげなく主人公の女の子パンツが見えてる本。私もこのラノベに出てくる魔法少女みたいにカッコよくなりたいな。


『ちょっとらのちゃん。置いていくなんて酷いじゃないか』

「ごめんごめん、今ラノベ読んでるから後にして」

『全く、もう』


 机の上に置いてあるメガネから、ハクメンが文句を言う。

 わざわざプリズムフォームになる必要は無いアンチ獣ばかりだし、どうしてのかまだ分かってないんだからいいじゃない。

 読者強化集団の人達は読書熱量リーディングカロリーの奇跡だーとか言っていたけど、なんでもかんでも読書熱量リーディングカロリーで解決するのはよくないと思う。


『はーあ、こんな事になるのなら黙って消えてれば良かった』

「ちょっとハクメン?乙女の涙の代償は高いんだよ?」

『はいはい、分かってるって』


 あの時死ぬ死ぬ詐欺をしたハクメンは、私に一発殴られる代わりになんでも言う事を聞く奴隷となったのだ。

 つまり、私がハクメンの新しいご主人様。早く人間形態にして半ズボン穿かせなきゃ。


「おーいらのー、またアンチ獣が出たってよー!今度は巨大タイプだー!」


 さっき帰ってきたばっかりなのに、カケルさんから出動の辞令が下る。

 巨大タイプって事はプリズムフォームが必要かな?仕方ない。


「ほら!ハクメン、行くよ!」

『いつでもいいよ!らのちゃん!!』


 読みかけのラノベを置き、いつものメガネを外し、虹色に輝くハクメンメガネを付ける。

 変身バンクはキャンセルして、ちょっとお行儀悪いけど窓からプリズムフォームで飛び立つ。


「本都の平和は私達が守るんだから!」


 私達はこれからもこの街を守っていく。

 本を好きな人がいっぱいの、本の都を。

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魔本少女ブックマウンテンらの @dekai3

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