最後の5分間 / 言葉を奪われた告白

なつみ@中二病

「あいしてる」を奪われた告白


好きだ、好きだ、好きだ。


言葉にしたらなんと簡単なことだったんだ。


気持ちを伝えようと、なんと言葉に──


むずか……


困難だな。


こんなにも言葉を紡ぐことが困難だと思ったことはなかった。


こんなにも言葉が重要だと思ったことはなかった。


君にただ、僕の気持ちを伝えようと思っただけで、これほど困難になって……


……僕は、そんなに話す方ではなかったし、感情を表に出す人でもなかった。


それでも、ちゃんと僕は君の事を想ってたよ。


好きだった。ずっと、傍に、おった、から、普通に、なって、たけど。


むずか……


困難だな。


こんなにも単純で、簡単な事が、本当に困難だ。


好きだよ。それだけを伝えたくて。それよりもっとを伝えたくて。


こんなにも簡単なことだったのに。


声に出して、言葉にするだけでよかったのに。


どうしてそんな簡単な事をやってこなかったんだ、僕は。




言葉を奪われた僕が、


言葉を奪われてはじめて、君にこんなにも伝えようと思った僕に、


そんな資格は、持たぬのかも、だが。


こんなことになったのだったら、もっとちゃんと伝えておくべきだった。




こんなにも僕の気持ちを表現す言葉が、この世に存在、だったんだ。


たった五文字の言葉なのに。



たった五文字の言葉でよかったのに。


そんなことも伝うことができぬだなんて。




もう時間がなくなってきた……



僕が持つ言葉の音が、その外側が奪われ、さらに、


言葉の中身も奪われゆ前に


この気持ちが消えゆ前に、最後に気持ちを伝えたくて


どんなに君の事をた せつに思っても、足りない。


好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、


君の な せか なんて、なんて みのな ものなんだ!


僕の たまの中は君の事で っぱ なんだ!


こんなにも僕は君の事を考えて  のに、


どうしてちゃんと伝え ことができな んだ!


僕にはもう時間が残されて な 。


だから、さ ごに、君に気持ちを伝え よ、


このおも を伝え よ。


僕は君を──


「     」

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