ネタバレ:子供の日
この章ではネタバレ全開で真相の答え合わせをしていきます。
作者としましては、ぜひとも皆さんには真相の推理をしていただいた上でこの章を読んでもらいたいと思っていますので、どうかご留意頂ければ幸いです。
(↓下部にスクロールするとネタバレ開始です↓)
この事件の犯人は、メンヘラ淑女ことジェーンです。
ジョンもためらい傷の痕などから察していた通り典型的なメンヘラであり、尚且つジョンのストーカーでもありました。
通路奥の小部屋にあった、パソコンの中の写真に写っていたジョンが気がかりだという女性もジェーンです。
容姿は『少女「脱げおらぁ! 股開けおらぁ!」』で書かれている通り、黒髪、茶髪と異なっていますがこれは計画に気付かれまいという偽装で、地毛は黒髪。偽装で長い髪はカットし、茶髪に染めています。『躊躇疵分合』にて多少不自然な流れながらもメイクをしたがったのは、愛しのジョンに対して自身のすっぴんを見られたくないというのもありますが、普段とは(ストーカーをしていた頃とは)違うテイストのメイクをしての偽装、という意味合いもありました。
作中でゲイの持っていたカードキー裏にあった暗号文の『数が多い』『不安』『よくない』は入れ替わったジェーンに向けて書かれた文章の一部。
通路奥の小部屋にあったパソコンの暗号文の『三以上』『分からない』『しばらくかかる』は体を入れ替える装置の資料の一部です。
パソコンの資料に関しては、秘匿性の高い情報なので暗号度も高いですが、カードキー裏の文章は別です。ジェーンはジョンやゲイと同じく「読めない」と言いましたが、実は多言語に精通しているため普通に読めています。そして、あの暗号文を作ったのはジェーンの息がかかった人物です。
ジェーン視点で今回の事件を説明していくと、
ジェーンは科学者であり、体を入れ替える装置を発明し、それを用いて愛しのジョンと体を入れ替え、ジョンの体であんなことやこんなことをしようと目論む。
いざジョンを拉致し、装置を用いて入れ替わりを決行するも、たまたま傍にいたゲイもついでに身体の入れ替わりに巻き込まれてしまう。(パソコンの暗号文の『三以上』『分からない』は、マウス実験により『三体以上を同時に入れ替えようとするとどれがどう変わるか分からない』、という実験結果が書かれた文章の一部です)
廃ビルからの脱出も、出来レースで愛しのジョンにいい所を見せながら、あわよくば吊り橋効果なんかも~と目論んだ計画だったが、ゲイが入れ替わりに巻き込まれたせいで計画が狂ってしまう。(作中でジェーンとゲイ間で会話がほぼ行われないのはこれが原因。唯一口をきいたのも、ゲイが愛しのジョンと恋仲なのかと冗談を言ったのに乗った時のみであり、ストーカーの伏線にもなっています)
だがしかし、入れ替えてしまった手前もう引き返せないし、誰の体に誰の人格が分からないので、ジェーンの息がかかった人物は三人を廃ビルへと運びます。(この息がかかった人物は『ヒゲ売りのジジイ』に出てきたジジイです)
どう変わっているかは分からないにしろ、体入れ替わり装置の影響を受ける範囲にいれば変わらない、ということはないので、消去法でジェーンの体には何もアイテムが持たされていませんでした。(体が入れ替わった際、記憶が多少消えたりするのは装置の副作用。暗号文の『しばらくかかる』は、記憶が戻るのと、入れ替わり後に目覚めるまでしばらくかかる、を意味します。記憶が多少消えていても、言語程度なら読めるだろうと語学に堪能なものにしか読めない暗号文がカードキー裏にあったという訳です。あの暗号文には、「ゲイも入れ替わりに含まれてしまい、数が予定より多くなって不安要素が出来た」といった文章が書かれています)
カードキー裏の暗号文を読んだあたりでほとんどの記憶を思い出したジェーンは、とりあえず一旦全員の体を元に戻してやり直そうと試みます。ジョンが警報装置だ何だを警戒しているにもかかわらず、通路に化粧品を投げ入れたり、率先して危険な役割を引き受けたのも、早めに元の体に戻らせる為です。(急ぐ理由は『ヒゲ売りのジジイ』にて)
そしてラスト、一人の少女が死体で発見され、一人の女性は行方不明となったとありますが、前者はゲイです。正真正銘体も中身もゲイです。(秘匿性の高い装置の存在を知ったのと、計画が上手くいかなくなった要因としてジェーンに疎ましく思われていたので始末されました)
ですが、後者の女性というのは、後日また体を入れ替えさせられて、ジェーンボディーとなったジョンを指します。一人の男性、つまりジョンについての記述がないのは、ジェーンがジョンのふりをしていけしゃあしゃあと表舞台で生きているからです。(入れ替わりなどが一切なく、ジョンがとち狂ってゲイとジェーンを殺害したという推理もできますが、ミスリードです)
そして、女性は行方不明と、ゲイと違って死体の確認がされていないのは、ジョンボディーとなったジェーンに監禁されているからです。章タイトル回収でもあります。
監禁して何をしているかというと……
http://www.fate-go.jp/manga_fgo2/comic68.html
(↑某人気ゲームの公式マンガのページに飛びます)
これを生身でやっています。
ジェーンがジョンのストーカーだという伏線は随所にあり……。
・自分の顔をジョンに良く見せようと気合の入ったメイクを施す。
・廃ビル探索では率先して仕切りだし、頼れる奴アピールをする。
・体が入れ替わっているとはいえ、ジョンへ放尿羞恥プレイを強いたり、ジョンの股間を拭くという名目で股間へボディータッチしてほくそ笑む。
・股間認証されてしまい苦しむゲイを見て、本来の自分の体が愛しのジョンの男性器を握ったシチュエーションにほくそ笑む。
・計画が狂った原因として疎ましく思い、ゲイとは基本的に会話をしたがらなかったがゲイが「二人は恋人なのか?」と訊いてきた際は気をよくしてそれに乗ってくる。
・カードキーが開いた先の通路を先行する際、本来の自分の体と愛しのジョンの体が手を握っている光景を見て笑みを見せ、「手を離すな」と要求してくる。
・通路奥の小部屋のダクトの蓋を破壊し、ジョンの体の汗をハンカチで拭くが、自分の体は拭かない。これに関しては作中のジョンの見解はミスリードであり、ハンカチをしまってダクトに入り込んでいるのは二人に見えないところで、愛しのジョンの汗を含んだハンカチを嗅いだりしゃぶったりするため。
・トイレの鏡やパソコンの写真でジェーンの顔を見たジョンが、何か違和感を感じている。
ちなみにジョンが自分の体を見た際、髪が短くなっている事を疑問に思っていますが、これはジェーンの息がかかった人物、ジジイのジェーンへの配慮です。
計画が頓挫してしまう可能性があるが、最低でも何かしらの収穫をジェーンは望むだろうと、拉致したジョンの髪の毛を切ってどこかへ保管しています。まぁ結局後に身体ごと全て頂かれる結果となるわけですが……。
その他の疑問について。
Q.出来レースの脱出劇を目論んだにしろ、脱出までが一本道すぎて危機感もないし、都合よくカードキーなんかも見つかるし怪しまれるのでは?
A.本来は○○階のトイレの○○番目の個室の壁を調べると仕掛けがあり、そこから作中で使われた通路とは別の道が出来てどうこうなどというプランでしたが、ゲイの存在により体を一旦元に戻す必要が生じたため、あの廃ビルに三人を担ぎ込んだ脱出に手間のかからないルートで出ることになりました。(『まつ毛むしりと件のオーメン』にて、窓の外に見えた電気のついている建物とは、本来行く予定だったダンジョンを指します)
ちなみにジェーンの持っていたカバンの中には化粧道具の他にも色々と入っており、本来の脱出アトラクション向けの謎解きの用紙などが入っていましたが、早く脱出するためにジェーンは存在を作中では秘匿し続けています。カバンの中身を全部見せたシーンもありませんし、ダクトの中に潜り込むにあたって邪魔になりそうにもかかわらずカバンごと入り込んでいったのもそれが理由です。そしてダクト内にも蓋の類はあるのではと思うのですが、カバンの中にはドライバーなどもあるので問題ありません。(ダクトに入って最初のうちにしていた物音とは、単にもぞもぞ動く音の他、ダクト内にある通行の邪魔になる物をとり外す音も含まれています)
Q.ジョンが通路奥の小部屋のパソコン前に座り、手首を押さえたらパソコンのロックが解除された理由は?
A.作中ではジェーンが何かしたのかとジョンが勘繰っていますが、実際はただの顔認証です。ジョンは体を入れ替える装置を開発しているジェーンの体となっているので、それがパソコンに取り付けられていたカメラに映り、ロックが解除されました。
ザルセキュリティじゃね? と思うかもしれませんが、体入れ替え装置の副作用で記憶は多かれ少なかれ消えたりするので、本来の脱出アトラクションだ何だの謎解きが分からないという最悪を想定しての、ジェーンやジジイらの処置であり、資料ファイルの暗号文や、写真でジェーンの記憶を蘇えらせようという魂胆があります。
どの道中にある資料は暗号で書かれていますし、あのパソコンを使ってロックを解除するにはまた更にソフトを立ち上げて謎解きをする必要がありますので、結局ジェーンが記憶を戻し、彼女が望まない限り脱出は不可能となっています。
Q.ジェーンも身体の入れ替わりによって記憶を失っていたようだが、作中のどのタイミングで記憶が戻ったのか?
A.ジョンやゲイとは違い、副作用に関して多少の対策はしていたにしろジェーンも記憶を失っていたのは事実です。ですがはっきりと全てを思い出したのは『股間に花を咲かせるおっさんの体をしたゲイの少女』にてカードキー裏の暗号文を読んだ時です。
それ以前の凶行は、記憶を失った上でした二度目の初恋的な何か……と、おぼろげながら本来の計画を意識した上での行動でした。
記憶が完全に戻る前後で大きく行動が違う点は、今いる場所が自分の用意した舞台であり、急がないと元の体に戻れないと分かっている事から生じる行動の大胆さです。
結局出られなかったにしろ、ジョン発案の窓から脱出するプランに対して問題点を冷静に見据えたり、ゲイを逃がさまいと退路を塞ぐ役を、自分の体が相手の体だから適任であると理解した上で引き受けていたりと、記憶が完全に戻ってからとる行動にはない慎重さがこの時点では見受けられます。
というわけで、纏めると「メンヘラ怖い」というお話でした。
他にも何か疑問がありましたらお答えしますので、その際はご一報ください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
我欲にまみれたトリプルクロス フランスの緑茶 @katelafrance
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます