中一少女はおかしなものが見える

@Kohigasihimawari0830

零怪目『神崎鈴花』

――ヤクソク。

約束を、しよう。

私は、今ココではあなたに何もしない。

――だから。

だから、あなたが大きくなって、私にふさわしくなったら。

きっと……きっと、私のところへおいで。

ゼッタイに――

絶対に、約束を破ることは、させないよ。



神崎鈴花かんざきすずか

八咫烏やたがらす中学校の、一年生である。

成績は普通。

友人も程々にいる。

……まあ、特に変わったところは無いだろう。

でも、そうだな……変わってるところがあるとすれば、あれだろう。

――私には、おかしなものが見える。

それはきっと、世間で言うお化け、妖怪、神様等の非現実的なもの。

それらは、私が小さい頃から見えていて、もう私のなかでは当然のものと化していた。

けれど、私以外の人からしたら当然のものではなくて……だから、お父さんも、お母さんも、友人も……当然、私がそれらの事を話すと気味悪がった。

だから、私はそれらが見えることは誰にも言わないようにしているのだ。

嫌われないように、皆と笑っていられるように。

それらが見えないかのように、それらの声が聞こえないかのように。

逃げて、逃げて。

――普通の子でいられるように。


――これは、そんな私がそれらに向き合う物語。

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