第4話

 私はこれから、どうなるのだろうか。

ファンタジーものの漫画や小説で見た知識でしかないが、なんとなく今の状況には心当たりがあった。


薄暗い部屋に大量に並んだ狭い檻。元々着ていた服の代わりに着せられた、あちこちほつれて穴の空いた服。両手の自由を奪う、頑丈な枷。

背中は嫌な汗でじっとりと濡れていた。心当たりが外れていることを願いながら、でこぼことした冷たい石畳の廊下を歩き続ける。


 突き当たりの階段を上がって、舞台袖のような場所に来た。舞台の様子が少しだけ伺える。舞台の方に体を寄せて、ちらりと除いてみた。

舞台には、鎖に繋がれたケンタウルスのような生き物と、私をここに連れてきた奴よりも身なりの良い猫がいた。

 身なりの良い猫が大声で何かを叫ぶと、客席からも次々と声が上がる。

 ニャーニャーニャー、と口々に叫び、手(この場合前足と言うべきかもしれないが)を上げる客の猫達。なかなかシュールで、可愛らしい光景だ。もちろん、こんな状況下でなければの話だが。


 残念なことに、心当たりは正しかったようである。

恐らくここは、オークション会場。

そして私は、オークションに出される、商品だ。


 身なりの良い猫が、声を張り上げた。ケンタウルスが別の猫に鎖で引かれて反対側の舞台袖へと退場していく。ケンタウルスの落札者が決まったようだ。

今度は私が引っ張られて舞台に出る。


とうとう、私の番がやってきてしまった。

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異世界と猫と私 白田吾作 @Tagosaku_white

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