エピローグ

第49話「拝啓、これから~」

 今回のオチである。結局、あの木村は最近現れたこの山で悪さをするモンスターだったようだ。

 こいつが縄張りにしていたおかげで薬草が採れなかったらしい。リリィめ、詳しく聞いておけよな。

 結局のところ来週ぐらいにはギルドの精鋭たちが来て、駆除する予定だったらしい。リリィは話を聞かずにそのままこっちにクエストを持ってきたとのこと。ギルドに詳しく話したことで特別にその費用、一万ゼニーほど懸賞金で出たらしい。

 だけど、森を焼き払った分は、ギルドが負担してもらえずに、リリィ及びアミュが払うことになった。

「なんでこうなるのよ。私が何をしたって言うのよ」

 リリィが泣きじゃくる中、アミュは黒く悲し気な瞳をしながら、僕に向かって、

「ドラコ……。しばらくの間、おやつは無しだからな」

 頭を撫でながら、悲惨なことを口走りやがった。ただ、アミュ自身、吹っ切れているようで、

「これからクエストにいっぱい行くようになるから、ドラコも手伝ってもらうわよ」


「……、これから僕自身も忙しくなりそうだ」

 そうポロっと出てしまい、ため息を吐いた。仕方ない、アミュさん一人ではクエスト行かせられないしな。それのリリィの奴がいつアミュさんを襲いかねないから見張っとかないと。あと、いきなり強キャラに挑み、帰ってこなくなっても嫌だしな。

 僕の身体がもつのだろうかと自分自身心配になりながらも、アミュを見つめていた。


 リリィは相変わらず、アミュに付きまとっていた。「夜は天井でアミュさんの見つめながら寝るの」と言っていたが無視をした。そして阻止するのに必死だ。

 僕のポジションを取られてたまるかよ。木村戦のファインプレーは拍手を上げたいけどな。


 そうそう、最近、リオさんに会った。アミュの家近くの池近く、初めて僕とリオがあった場所だ。

 いつものようなニコニコ笑顔を見せながらも、どこか不気味な笑みを見せる存在。不意に見せる目線からは背中に冷気を感じる気もする。

「ごめんね。あの時は突然いなくなって、龍太くん、心配してたでしょう。私に」

「まあ、突然いなくなってたんで、あの木村を食べてお腹でも崩したのかと」

 リオさんは長い髪を揺らしながら、おっぱいがプルンと揺れる。

「そんなんじゃないよ。もう、ボクを誰だと思っているんだい。神様と肩を並べるドラゴンだよ」

 僕は、頭を人差し指で掻きながら、ハイハイとうなずいた。リオはそんな軽い挨拶は置いといてと言わんばかりに、いきなりあの話題を切り出してきやがった。

「龍太くん。君ってあの時、何でもするって言ってたよね」

 僕はごくりと喉を鳴らした。妙に嫌な予感がする。確かにその時言ったのだけど、ここは誤魔化したら何されるか分からない。ここは正直に、僕は恐る恐るリオさんに聞いた。

「はい、言ってましたが、……何をお望みで」

 一体なんだ、「何でもする」って言ったのだけど、何を要求されるのか、不安になってくる。

「いいね、それじゃ僕の門下に入ってもらおう。君には資質があるよ。それだけは保証するよ」

 なんだ、そんなことか、とんでもないことを要求されるのかと思ってしまった。僕の初めてをもらうとか。なんやらを。

「さて、君には、ドラゴンのスキルをすべて取得してもらうよ。ささ、今日は遅いから、明日からかな。ビシバシ鍛えるよ」

 キラリと光る眼光が妙に恐ろしい。どんな地獄が待ち望んでいるのだろうかと想像してしまう。僕自身、今後、軽はずみなコメントは控えようと、決意した。


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拝啓、元社畜のドラゴンライフ。 誠二吾郎(まこじごろう) @shimashimao

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