閏15話 何回入れるか?
暦の話をもう少し。
今年、2020年はグレゴリオ暦では閏年であり、二月の最終日の後ろに一日が追加され、二月二九日が存在する。
閏年の必要性はよく知られているように、春分‐春分を基準とする平均太陽年が365日に少し余るところから来ている。国立天文台のWikiによれば、平均太陽年は365.24219040日とされている(*1)。
現代のグレゴリオ暦の先祖にあたる古代ローマの時代に定められたユリウス暦では、四年に一度、閏年として一日を追加するように定めた。しかしそれでは一年の平均が365.25日になってしまい、実際の太陽年より一年あたり0.0078096日、時間にして11分15秒ばかり長くなってしまう。百年程度ならともかく、紀元1世紀から16世紀まで使っているとズレが蓄積してしまい、これを修正するために定められたのが、第3話、第4話で扱っているグレゴリオ暦だ。(*2)
グレゴリオ暦は比較的簡単なルールで精度が高いという特徴があり、400年に97回の閏年を挿入し、これで一年は平均365.2425日。その差を秒に直せば26.8秒ほど長いだけであり、この誤差が一日に達するまで3222年を要する計算である。
さて、太陽年を一年とする暦は何もグレゴリオ暦ばかりではない。イランを中心とした地域で使われているペルシャ暦について第11話で採り上げたが(*3)、では現代のペルシャ暦で閏年はどう処理されているのだろうか?
ペルシャ暦では4年に一度の閏年を7回繰り返したあと、
つまり33年を周期として、その33年の間に8回の閏年を入れるわけである。計算すると一年の平均は365.2424日となり、グレゴリオ暦よりも精度が高く、誤差が一日に達するまで計算上は4771年かかる。
素晴らしい! ペルシャ暦は一年の始まりが春分で、7月頭も秋分になり、閏年はより正確と良い所ばかりじゃないか!
とまあ、ペルシャ暦のほうがグレゴリオ暦より正確なのは確かなのだが、実は暦の元になる地球の運動は非常に複雑で、地球の歳差運動や章動、他の惑星の影響などが複雑に絡み合っており(*4)、あまり精度を上げても他の要因の影響が出てきてしまう。そういうわけで、適宜観測によって誤差を確認し、誤差が一定以上に蓄積した所で国際会議でも開いて修正するのが良いと思われるわけである。
その時に問題になるのは、恐らく一体誰がその決断を下すのか、であろう。
そう。お忘れかも知れないが、グレゴリオ暦はローマ・カトリックの暦なのである。
*1
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/BCFEB4FC2FC2C0CDDB.html
*2
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886223897/episodes/1177354054886240306
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886223897/episodes/1177354054886240524
*3
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886223897/episodes/1177354054886297923
*4
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FC6F3BDBDBBCDC0E1B5A4A4CECAD1C6B0A4CFA4ABA4CAA4EACAA3BBA8.html
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