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スポーツは観るのもやるのも好きだ。それに球技なら基本的に、できる。平均以上に。
ついでに言うとボールは大きい方がいい。できれば重くて、茶色ならまさに得意分野だ。
誘われれば、登山にもサーフィンにもついて行くけど、やっぱり読書には敵わない。
図書館もたまに使うけど、気に入ったものは新品で揃えるのがちょっとしたこだわり。
何度も読み返しても、何度でも感動できるし、それまで気づかなかった新しい発見、新しい見方、新しい考察ができてその跡を残せる。俺は付箋派だが、自分の本ならば書き込んだって問題はない。
それに読むときの自分の心境の違いによって、同じ本でも見方が変わるのは、読書から学んだたくさんのことのうちのひとつだ。
落ち込んでる俺が読んだのと、わくわくしてる俺が読んだのと、初めて読んでから何度かの卒業式を経て引っ張り出してきた俺が読んだのでは、ちょっとずつ違う。
そのちょっとした違和感は、読み終わる頃には大きな確信になってたりするんだ。
こういう考え方は、俺は気づいた頃から変わっていないつもりだが、周りはだいぶ変わったように思う。
お受験とかで、本を読まされる時期ってのがある一定数の人間にはあるようだが、それで読書が嫌いにならなかった奇特な人が、気づき始める頃には、俺はだいぶ変わった人認定されていた。
そういうことって、たぶん意識していないだけで他にもあるんだろう。
そんなこんなで、俺はアウトドアな趣味もたくさんあるが、中でも本が占める比重は重い。
「だいぶ変わった人(ヲタク)」の定義は何なのか、どこからがそれに当てはまるのか、正確にはわからない。
けれど、もしそれが費やした金と時間で計るものなら、俺は間違いなく「ヲタク」なんだろう。やれやれだ。
だからって偏見があるわけではない。
掃いて捨ててもまだ余るほどモノが溢れるこの時代に、自分の好きなことを見つけ、突き詰められるなんて大したもんじゃないか?
もし俺がそれならば、タイヘン誇らしく思う。
けれど、世の中、特に俺が生きる世界では風当たりがかなり厳しいのが現実だ。
だから俺は今日も、半分の嘘を吐く。
ボーイフレンド 紗谷 瞬 @shun_8
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