児童相談一時保護所

警察に保護されて保護所という所に入りました。


ほんの数年前まで普通の生活を送っていたので、


保護所という場所をこんなにも身近に感じたのは初めてのことでした。


実際にこういう場所がある事は学校の授業などで知ってはいましたが、


半信半疑でもありました。


保護所に入ってだいたい三日間は一人、個室で過ごしました。


職員の先生がテーブルと本を持って来てくれて、


食事の時と寝る時、お風呂に入る時以外は本を読んで過ごしました。



四日目の朝、先生から集団に入るといわれ、


その日の夜に、集団に入りました。


入ったときにいた児童の数は、自分含めてだいたい20人近くいました。


男の子も、女の子もいました。


それが、学齢児。いわゆる小学生に上がった子達です。


プラス、幼児がいました。


幼児の方が出入りが激しかったですが、常に5人はいました。


多い時は定員オーバーになった、という先生達の会話も聞いた事があります。


そのくらい多かった。


理由はみな様々で、私のように性的虐待を受けた子、


実の父親から暴力を受け病院に搬送されて保護された子。


ちなみにその子はなんで自分が保護所に来たのかわかっておらず、


毎日のように家に帰りたい、お父さんとお母さんと暮らしたい、と言っていました。


その子は今H30.6.27 現在で3年生になっていると思います。


児童相談一時保護所は、最高年齢が18までで、


私が保護されたのが17でした。


入った当時は一つ上の女の子がいましたが、その子はすぐに退所しました。


私が最高年齢児童になりました。


高校生の年齢の児童は、自由時間は集団から外れました。


自立に向けて、自分で洗濯機を回せるように教え込まれましたし、


他の子となれ合わないようにと言われました。


そもそも、児童同士のトラブルを防ぐため、児童は下の名前で呼ばれます。


みよじを教えてはいけない、名前の漢字を教えてはいけない。


どこに住んでいたか教えてはいけない、児童同士での恋愛もだめになっていました。


なので、お手本になるようにと。


他の子にしてみると、沢山の制限があり、


つまらない、面白くない、窮屈。


こんな感じに思っていたと思います。


保護所に入る時は所持品はすべて預けないといけないので。


スマホも、財布も、そのとき来ていた洋服もです。


保護所で貸し出された服、下着を使っていました。


そこまでされたら、誰だって窮屈に思うと思います。


なので私が保護所で過ごした4ヶ月の間で、


2回脱走がありました。


あれはびっくりしました。


夜中にふと目が覚めてとなりの布団をみたらもぬけの殻になってました。


すぐに捕獲されてましたが。


ですが、私は断然家にいた時のが窮屈だったので、


すごく自由に感じました。


だって、自由時間があるんです。


自由時間には順番を決めて使いますが、


音楽プレイヤーやゲームを貸して貰えるんです。


数に限りはあるものの、DVDだって見れるんです。


折り紙だってありました。パズルだってできました。


塗り絵も、絵を描くのも、本を読むのも。


これら全てが、家では禁止されていました。


なんて自由。なんて過ごしやすい。



もちろん忘れた訳ではありません。


夜な夜な夢にで出てきてはうなされて目が覚めましたし、


頻繁にフラッシュバックが起きるし。


幼児の子達は、色々と訳の分かってない子も多かったので、


一度、こんな会話を聞いた事があります。


「せんせ〜?」


「なに?」


「あのね、ままね、いたの」


「うん、ままきてくれたね〜」


「ままどこ〜?」


「どこかな〜」


「ままいない〜」


この会話、3才の女の子と先生の会話です。


3才ですよ。まだちっちゃい子です。


現実はとても残酷だと思いました。


その子はお母さんがあまり面会に来てくれない子らしく、


その日はとても久しぶりの面会だったと聞きました。


その子の事情は詳しくはわかりませんが、


私はその子の幸せをずっと願っています。


わたしがこうして現状を、


私が受けた事を、


体験したことを発信していくことで、


より多くの方に知ってもらえれば、


より多くの子達が救われれば。


そんな切実な願いのもとにこれを書いています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る