電車の中にて
ほんのり光が漏れる家々が一線に同化していくのを眺めながら私はいつも帰路に着く。
今日も一日頑張った。
周りの子に気を配りながらバレないようにフォローをかけ、自分の仕事をこなしつつも明日の予定を立てる。
しかも今日は体調不良と戦いながらでもいつも通りの成果をあげた。これはとてつもなく頑張った証拠だ。
自分は偉い子なんだ。そう自分で自分を肯定しないと後々性格が歪んでくる。
例えば褒められてても勘ぐってしまう癖がついたりだとか、調子に乗って相手のことを下に見始めるだとか。
そういう人に限って結果はついてこないものだ。一部の例外はいるが、大抵そういう人は腕が落ちてくるか周りに抜かされる。
そしてほっとかれたその人は腐りはじめる。
だから自分は自分で褒めるのだ。そして余裕があれば他人も褒めてやる。そうすれば戦争も少しは小さくなるのではないか………などと、ふと思いついたことを自分なりに考えながら電車に揺られている。
アナウンスで最寄り駅の名前が次の駅としてあがった。
もうそろそろ降りる時間だ。
私は手すりにかけていた傘を手に取った。
蝉時雨とローファー ゆきみずだいふく @mizudaifuku01shi
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