第19話 ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロ
昨日は、J.S.バッハが聴きたい日でした。
今月前半は、コンサートの予定なしにしておいたのが、その理由がなくなったので、出かけようと思いたちまして。
3連休明けにちょうどよく、J.S.バッハを生の音で、それも古楽器で聴けるとは、私の日頃の行いの良さ? ではなく、ちょっとした辛い出来事があって、慰めを求めていたので助かりました。
はじめてのホール。大須にホールがあるのは、チラシなどで目にしていたけれど。小ホールというより、サロンと呼ぶ方が合っていますね。
2階のギャラリーを通って3階に行くと、50人は入れるかどうかぐらいの。
チェンバロが置いてあります。ピカピカ宝物のように毎回思います、チェンバロって。
ガンバも置いてあります。それにしても、古楽器は名前がおもしろい。
ヴィオラ・ダ・ガンバ。でもヴィオラより大きさで言えば、チェロに近い。ギターのようなフレットがあり、弦も多い。バロック以前の約200年に使われたけれど、それからはチェロに取って代わられた。
それが、20世紀に入って古楽リバイバルというのか、当時のまま演奏することがムーヴメントになった……などガンバ奏者の品川聖さんから、プログラムの間に説明がありました。
チェンバロは演奏会終了後に、ガン見しましたとも。
私が目にしたチェンバロのなかでは、装飾に凝っていない。そして、鍵盤のすぐ上に、「K.KAWAI 1998」と細い絵筆のようなタッチで書かれている。はじめてみるかしら? こういう表記は。
ガンバとチェンバロのソナタは、BWV1027~29。
とても心地の良い、尖っていないバッハです。慰めにはぴったり。
説明によると、これはチェンバロの右手、左手、ガンバと3声になっているそうです。私は音楽の専門的なことはわからないので、ざっくりですけど、そのようなことをおっしゃっていました。
ガンバの音は、こんなに良かったんですね。しみじみ。チェロは聴く機会があるけれど、考えてみれば、ガンバの生音はすごく久しぶり。酔いしれるというよりも、ガンバにどこかへ連れて行ってもらう感じ。
チェンバロのみの演奏もありまして、中川岳さんがBWV998と922を続けて弾いてくださいました。
どっちだったかしら、尖ったバッハがいました。晩年と若い頃の作品を選んだのだそうです。
このチェンバロは音が立っているというか、あっぱれな感じ? 青空のような音でしたよ。
ホールの天井が高くなく閉じた空間というのも、あるのでしょうか。音がクリアに耳に届きました。
古楽はやはり、演奏家の表情が見えるぐらいで聴くのがよろしいですね。
たいへん贅沢なことですけれど。近くにこのような演奏会があり、足を運ぶことができて幸せでした。
真夜中の音楽室 沓屋南実(クツヤナミ) @namikutsuya
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