『絆』(2人用/2:0:0)
原案:童帝
作者:くやたけ
===========================
翔吾(♂):35歳。バツイチ。
関西最大の暴力団【岩並組(いわなみぐみ)】の
直系【極斗会(ごくとかい)】若頭補佐。
イケイケのゴリラ脳筋ヤクザタイプ。
身長182cm体重108kgで純日本人体型なので和服がすこぶる似合う。
すぐにムカついて切れる。
後輩の面倒見は良く、先輩・親分など目上の者には礼儀正しい。
海斗(♂):35歳。独身だが内縁の妻有り。
関東最大の暴力団【鬼翔会(きしょうかい)】の
直系【天保組(てんぽぐみ)】若頭。
飄々として掴みどころの無い性格。
普段は冷静で頭が切れるが、怒ると手がつけられない。
女性には絶対手を上げない。
身長188cmのがっしりした骨格。見るからにでかい。
殴り合いの喧嘩だと負けたことが無い。
曲がった事が大嫌いな昔かたぎ。
現在は標準語だが、関西生まれなので高校時代は関西弁
=====================================
この台本は、童帝さんが原案として台本をご提供していただき、
くやたけが大幅加筆・修正した物です。
著作権は、童帝&くやたけに帰属しています。
=====================================
■役表
♂翔吾:
♂海斗:
--------------------------------
◆注意事項
※性別変更不可
※過度なアドリブもご遠慮ください。
語尾の変更、お前→おめぇ などは可
やくざ言葉が得意な方は、がんがん迫力出してくださいませ。
※関西弁を広島弁などでやっていただいてもOKです。
※著作権は放棄しておりませんが、ご利用はご自由にどうぞ。
※ニコ生などで上演される時は台本のタイトル、URL、作者名を書いて
いただけると尻尾を振って聞きに行きますw
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、
実在のものとは関係ありません。
=====================================
■居酒屋(1)
翔吾:おう! こっちやこっちや! 先に始めとんで~。
お前とこないして会うんも、どれくらいぶりやろなぁ。
海斗:そうだなぁ、かれこれ10年ぶりくらいか。
翔吾:もうそないなるんか……早いもんやなぁ。
海斗:そうだな。
まさか俺もお前も極道になるなんざ、あの頃は考えもしなかったぜ。
翔吾:せやなぁ。
こうして久しぶりに会(お)うたんも、わしんとこの
若い者(わかいもん)と、お前んとこの若い者(わかいもん)が、
しょうもない事で揉めてくれよったおかげっちゅーこっちゃ。
まぁ、おかげでお前の顔を久しぶりに見れたんやから、悪い気はせんわ。
せやけどここまで事が大きゅうなろうとは思わなんだがな。
海斗:確かにな……。
学校行ってた時は、顔合わせりゃ殴り合ってたけどなぁ。
翔吾:そうやったなぁ……。
喧嘩はなんやかんやでわしの勝ち越しやったけどな。
海斗:おいおい俺の勝ち越しだろ?
なんだ? 歳取りすぎて耄碌(もうろく)してんのかよ?
それとも脳みそまで筋肉になったか?
翔吾:アホかぁ~。
お前こそ腕っ節もあるくせに変な小細工ばっかり使いよってからに。
海斗:ばーか。
てめぇみてーな化け物相手にまともに殴り合ってられるか。
翔吾:それにしてもお前なんや、気色悪い言葉使いよってからに。
海斗:あ? うるせぇ……俺にもいろいろあったんだよ。
翔吾:なんじゃこら?
お前わしに喧嘩売りに来たんちゃうやろな!
海斗:はぁ、やめだやめ!
俺たちが揉めてどうすんだよ。
一緒に殴り合いばっかりしてた高校生とは違げーんだぞ。
翔吾:せやな(笑)。
西高のやつらしばき回した時思い出したわ(笑)
■高校時代 回想(海斗は関西弁)
海斗:翔吾っ!!!!
翔吾:ん? どないしたんや? 海斗。
海斗:西高の奴らが20人ほど連れて校庭に来よったわ。
翔吾:へぇ~ 20人か……俺ら相手にたかだか20人って、
えらい舐められとんなぁ!
海斗:お前がこの前の喧嘩で手ぇ抜いたからちゃうんか?
翔吾:あほ抜かせ! 喧嘩と女だけは手ぇ抜かんわい!
海斗:おいおい女は別やろが!
もうちょい真面目にくどかんかい!
翔吾:なんじゃこら?
お前わしに喧嘩売っとんのか!
海斗:まぁとりあえず、先にあいつら片付けに行こか。
先公もやかましいしなぁ。
翔吾:せやなぁ……
さっさと片付けて、お好みでも食いに行こか。
腹減ったわ。
海斗:お前、バイトの京子ちゃん目当てなんバレバレやぞ(笑)。
あ! せや! 西高の奴ら、しばいた数の多い方が勝ちでな、
負けたほうが奢るってのはどないや?
翔吾:よっしゃ~! 久しぶりに本気出すか~。
京子ちゃ~ん!待っててや~!
海斗:お前馬鹿力なんやから手加減はせぇよ~。
ほんま死人だけはごめんやで。
翔吾:そん時は、お前の悪知恵でなんとかしてくれや(笑)
おーい! そこの雑魚キャラ諸君!
成仏せーよっ!(殴りかかる)
※回想終わり
■居酒屋(2)
(二人同時に笑いだす)
翔吾:ぎゃははははは!
海斗:ぷっははははは!
翔吾:相変わらず変わってへんようで安心したわ。
海斗:人間そんな簡単に変わりゃしねーさ。
翔吾:せやな。
今でも中身は昔のままやの~。
海斗:昔話はそのへんにしとこうぜ。
そんな話をするために集まったんじゃねーだろ?
翔吾:最初は枝(下部組織等の事)の若いもんが始めた喧嘩とはいえ、
今では派手な祭りになっとる。
うちは若頭弾かれとるから、どないにも手がつけられへん状態やし、
ここらできっちりケジメはつけなあかんからなぁ。
海斗:俺とお前で話をつけようってことか?
翔吾:そういうこっちゃ。
海斗:いいだろう。
腹割って話せるんだったらな。
翔吾:わしが、嘘も小細工もでけん事くらい知っとるやろ。
海斗:こっちの条件は二つだ。
一つは、それ相当の額の詫び料
もう一つは、極斗会(ごくとかい)の組長の引退
翔吾:いきなりどえらい先制攻撃じゃの。
ほならこっちの条件も言わせてもらうでぇ。
一つ、うちの若頭弾いた奴の首出せや。
次に、まあ2億ほど積んでもらおうかい。
最後に、天保組(てんぽぐみ)組長の引退や。
海斗:これじゃまとまる物もまとまらねぇ。
さてそこでだ、腹割ってと言っただろ?
実際、どっちも納得させられる手打ちの境界線とは、
どの辺になると思うんだ?
翔吾:それが簡単にぽーんと出てくるんやったら、
わしら顔突きあわせて悩む必要あれへんがな(笑)。
海斗:そこでだ、俺から提案があるんだ。
翔吾:なんじゃ?
海斗:一つ目のポイントは、死んだ者と撃たれた者の数が同じって事。
二つ目は、九州の黒葉会(こくようかい)が、仲裁に名乗りをあげている事。
三つ目に、俺とお前が五分(ごぶ)の兄弟杯を交わす。
これで五分(ごぶ)の手打ちが、タイミング的に見ても一番
現実的だと思うんだが。
翔吾:五分(ごぶ)やと?
それやったら若頭の命(たま)取られとるこっちの分(ぶ)が悪いやないけ。
海斗:ならその分、こっちの組長引退とお前のとこの組長引退にあわせて、
見舞金として1億積もう。
そしたら名目上は詫び料と違うから、こっちもメンツが立つだろう。
それに、そっちから2億と言われてるのを1億で収めたって事で、
うちの内部も抑えられる。
翔吾:お前、なんちゅう事考えよるんじゃ……。
海斗:……俺はな、良い機会だと思ってんだよ。
翔吾:ん? どういうこっちゃ?
海斗:お前んとこのやり方は古い。
昔ならやっていけても、今は武闘派ヤクザなんかじゃ、
どう転んでもやっていけねぇんだよ。
今回の件で、両方の組長が引退となりゃ、俺たち若頭が次の組長だ。
お互い組張ってる者同士、二人で手を組めば、何だって出来るぜ。
翔吾:何が言いたいんじゃ?
海斗:俺とお前でこの極道社会を牛耳ろうって話だ。
翔吾:何寝言ほざいとるんや。
海斗:悪い話じゃない。
さっきも言ったがお前の組のやり方は古いんだよ。
暴力でどうにかなる時代は終わった……
お前らの島もずいぶん寂しくなってきてるんじゃねぇか?
このままだといずれ……。
翔吾:黙らんかい!
おどれ、わしに組長(おやじ)を裏切れ言うんかい!
海斗:ならお前は、このまま戦争続けて組と心中する気か?
なぁ、俺と一緒に頂上(てっぺん)目指そうぜ!
俺とお前なら絶対にやれる!
翔吾:じゃかぁしぃ!
わしらはのぉ、確かに道踏み外した人間や。
せやけどな、筋を通してこそのヤクザや。
組長(おやじ)に拾われんかったら、わしは今ごろ大阪湾に沈められとった。
裏切るわけにはいかんのや!
海斗:相変わらず強情な奴だなぁ。
まぁ、そんなお前だからこそ誘ったんだが……。
翔吾:例え時代が変わっても、わしは変わらへんし、
関西ヤクザの生き方は変わらんぞ。お!?
海斗:はぁ~。
せいぜい親孝行しろよ。
組長(くみちょう)が生きてるうちにな……。
翔吾:お前…… 何考えとるんや。
海斗:いや、親孝行したいときに親は無しって言うからな。
……病気、老衰……不慮の事故とかな。
翔吾:おい! 誰に向かってぬかしとんねん!
わしに脅しかけとるつもりかい!
……組長(おやじ)にちょっとでもなんかあってみぃや!
てめぇら……
海斗:(食い気味で)あくまで可能性の話だ……。
このまま戦争続けたら、泣くのは下のもんだぞ!
翔吾:そやさかい言うて、組長(おやじ)裏切って引退にわざわざ追い込む事が
わしに出来るかい!
海斗:子がしでかした事は、親の責任だろうが!
翔吾:ほーか…… もう何言うても無理なんやな……。
海斗:今すぐ答え出さなくてもいいから、帰ってじっくり考えろ。
明日の夜9時に、南港の13番ドックにある事務所に来い。
きっちり腹くくって返事持って来いよ。
じゃあな!
(会計伝票をつかみ席から立ち上がる)
間
(一人残された翔吾)
翔吾:何でこないな事になってしもたんや……。
わしかて喧嘩なんぞしとう無いわい……。
………… 海斗…… 次会う時は…… 今生の別れになるかもなぁ……。
……このくそったれがぁ!!!!!
■南港
翔吾:おい! 海斗!
海斗:おう! やっぱり一人で来たんだな。
ずるがしこい奴なら、若頭の俺を集団で襲撃するチャンスだったのにな。
翔吾:アホかボケ!
ここでお前弾いたら、余計泥沼になるだけやんけ。
海斗:お前の返事次第では、命(たま)の取り合いになるんだがな。
翔吾:あれからわしなりに考えた……。
そやけどな、わしはお前みたいに頭が回らん。
結局どこまで行っても、わしは博打(ばくち)打ちやさかいな……。
海斗:どうしようって言うんだ?
翔吾:どつきあいで勝負したれや!
わしが勝ったら、組長の引退は無しや。
お前が勝ったら……それも運命や、お前の話しに乗ったろうやないか!
(ここから関西弁)
海斗:ふっ(笑)。
ほんまにおどれらしいの~。
翔吾:吐いたツバ飲まんとけよ! こら!
海斗:こっちのセリフじゃあ!
翔吾:おらあああああ(殴りかかる)
海斗:(受け流しながら)ふん! なんや? 酒の飲み過ぎちゃうんか?
翔吾:じゃかましいわ!(ガンガン前に出ながら襲いかかる)
海斗:せいっ!(翔吾のパンチを受けながら顔面に正拳突きを放つ)
翔吾:ごがっ!
海斗:おら! おらおらおら! おらぁ!(連続してパンチを叩き込んでいく)
翔吾:うがっ! ぐふっ! はぁはぁはぁ……。
……やるやないけ!
……ぺっ!(血のツバを吐く) こっからが本番じゃボケ!
海斗:やれるもんならやってみいや!
翔吾:……はぁはぁはぁ。
……死ねやゴルァ!
おら! おらぁ!
海斗:くっ、はええ!
がっ! うぐっ! あがっ! (翔吾のパンチが的確にヒットしていく)
翔吾:おら! おら! おらあああ! (ガンガン攻めていく)
とどめじゃああああああ! (渾身の一撃を放つ)
海斗:はっ!(渾身の一撃をかわしながら、海斗の右回し蹴りが翔吾の
コメカミにヒットする)
翔吾:あがっ!(崩れ落ちる翔吾)
うぐぐぐぐ…… ぐふっ…… (そのまま地面に倒れて動かない)
……へっ…… へへへ…… わーっはっはっはっは。
やっぱり勝てへんのか……。
海斗:翔吾!
翔吾:男に二言は無いわい。
お前の好きにせーや!
その代わり覚悟せーよ!
わしは半端な事がでけんよってな、お前の背中押しまくったるど。
泣き言ぬかしたら、背中からお前たおして前に出たるさかいな!
海斗:望むところじゃ!
二人で頂上(てっぺん)行ったろやないけ!
翔吾:さっさと起こさんかい。(海斗が翔吾を引き起こし肩に担ぐ)
痛てててて、もうちょっと優しいせんかい。
(ここから標準語に戻る)
海斗:バカ野郎、お前は本当にバカ野郎だよ。
翔吾:頭悪いから極道になったんやんけ(笑)。
せや、一つだけ条件がある。
お前との杯(さかずき)やけどな、五分の兄弟分ではいかんど。
お前と俺で64(ろくよん)の兄弟分や。
海斗:お前。
翔吾:当たり前やんけ。
お前の方が頭が切れるしな。
これから頼むで兄貴。
海斗:……まかせとけ兄弟!
翔吾:……そやけどなぁ、お前の関東弁何とかならんのか?
男ならやっぱり関西弁やろが。
海斗:そいつは無理だな。
急に関西弁になったら風子(内縁の妻)に殺されるよ。
翔吾:……そりゃそうじゃ~。
(二人同時に笑い出す)
翔吾:ぎゃはははははははは。
海斗:わははははははははは。
終劇
極道魂 @kuyatake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。極道魂の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます