第2話欅
豪快かつ勇壮で全国的に知られる大阪の秋祭り「だんじり」。
五穀豊穣を祝う祭で大阪の南部、泉州一帯で行われる祭だ。
町内会という最小の自治体で所有し運営されているが、近年では少子化の影響も手伝ってか曳き手が減っているのも現代的な問題。
神社周辺のエリアを通行止にしてまで行われることもあり、運営を担当する組織では警察への許可申請や、地域を運行するバス会社などへと手続きに追われる。
お盆を過ぎた頃から町内には提灯が大量に灯され、鳴り物の練習にいそしむ音があちこちから聞こえてくる。
それもまたその地域に住む者としては毎年恒例の音であり、もうそんな時期かという時候の挨拶みたいなものでもある。
総重量は2トンを越えるだんじりは欅材で釘一本使わず組み上げられている。
近年では大型化してきており、新調すれば豪華な装飾も手伝って億を越えるものも少なくない。
うちの町が一番、ただただその自負と観るものを魅了し「スゴい」の評価を得るためだけの見栄だとも言える。
年に一度しか小屋を出ることのないだんじりは、町の人々には財産であり誇りでもある。
そのだんじりが今日と明日、町を駆け抜ける。
弛んだ甲馳 @macha16
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