圧倒的な背景(ロボットの数や戦闘の規模)を基に、実に見事に物語が展開します。
砂塵が舞う中を、列をなして進撃していく人型ロボットたち。それが広大な砂漠の中を、無限とも思える規模で想像させられる。
この絵だけで萌え……否、燃えます。いや、いい意味でもうどっちでもいいです。
また、ドラマの魅力(後述)を支える世界観として、軍事的な描写や映画(ってあれじゃん・笑)などにこだわりが見られるのも、大変好感度が高いです。
さて。ドラマパートは、時々観るスパイ映画や暗殺モノを連想して拝読しました。現代ヨーロッパ調の街並みで、トレンチコートにそれっぽい帽子を被った主人公が、同じような格好の警官に拳銃を押し当てられる、的な。
恋人の描写が濃すぎないところも、逆にインパクトがあって、匙加減の巧さを思い知らされます。
また、これもいい意味で、近未来SF映画(やたら背景が白かったり、ケーブルがごちゃごちゃしたりしてるやつ)を連想させられました。
スパイものとSFものと戦争もののいいとこ取り。
敢えて、極めて個人的趣向で申し上げるとすれば、生身の頃の主人公は本当に狂っていたのか? というところです。読者として考えさせられる部分ではありつつ、そこまで狂ってしまうと生身の人間とて(人格転写が為されなくとも)悲しい存在だなあ、と。
そこで、『生身の主人公』と『機械の主人公』の差が曖昧になってしまうように思われます。
生身と機械はどう違うのか? 違わないのならばどう同じなのか? そこがもう少し明確でも良かったかもしれません。
以上、まとまりのない駄文で恐縮ですが、大変楽しませていただきました(^^)