第2話

 は?今なんて言った?魔王城攻略パーティ?よりによって何故,魔王城を攻略しようとしているんだ。あそこは、景色がきれいで、城の周りも、いつも魔族でとても賑わっていた。それに、魔族だなんて言われてはいるが、今まで、目立った悪さなんてしたことがない。それなのに・・・・・・いったい何故・・・・・・


「は?あんた、今何て言ったの?こんなどこの馬の骨かもわからないやつを、攻略パーティに加えるなんて正気?」


 ポニーテールの少女が、もっともな疑問をぶつけた。まあ、そりゃあそうなる。


「あなたはまだ、ロロの強さをまだ知らないだけ。ここにつく前に魔族と戦闘になったの。そこで私を救ってくれたのは、紛れもない、ロロなのです」


 「っでも、そんな勝手許されるわけっ」


 「お前がそこまで言うなら分かった。加入を認めよう」


「ちょっと!そんな!」


 少女の言葉を遮り、2m越えの男が加入を許可してくれた。いや、嬉しくない。


「ちょっと待ってくれ!なんで俺が攻略パーティに加入することになってんだよ。そもそも、なんで魔王城を攻略しに行くんだ?」


 俺は自分が今抱いている疑問の全てをぶつけた。


「なんでって、やられる前にやる。それだけよ。奴らは定期的に人の集落にテロを仕掛けて、死者や、行方不明者だって出ているの。これ以上、被害を出せないわ」


「死者に行方不明者も・・・・・・」


 そんなはずは、皆いいやつだ!そんなことがあるわけ・・・・・・さすがに耳を疑った。それに人に危害を加えたことなど、今まで一度もなかったのに。いったい何が起こっている。


「わかった。加入しよう」


 魔族に今までにない何かが起こっている。原因を突き止めなければ。この事態を速やかに解決せねばならない。魔族の王として。


「よし。じゃあ決まりですね。そうですね・・・・・・まずは改めて自己紹介をします。私はアイシア・イリュームです」


 じゃあ、次はノノハさんどうぞ。と次の人にバトンパス。まあ、またいいタイミングで自己紹介持ち出したな。さすがに呆れて頭を抱えている。


「わかったわよ。私はノノハよ。ただのノノハ」


 ノノハはちょっと投げやりな自己紹介だったな。またキャラが濃い人が現れたな。


「俺は、アレス・オリヴァーだ。このパーティの指揮は俺がとる。文句は言わせない」


 こほんと咳ばらいをして、リッカルドが自分に注目を集めた。そういえば、リッカルドがいたことを忘れていた。


「話はまとまったようだな。これより諸君らを魔王城攻略パーティに任命する。魔王アドルヘルムを打ち取ってくるのだ!諸君らの健闘を祈る!」


「「女神イシスに誓って!」」


 と、俺以外の全員が王の言葉に忠誠を誓い王の間を出た。


 自分の首を取りに行くのか。自殺の予定はないのにな。



 さてと、当分の予定は決まったぞ。街中で、装備品を整えなければ。と、街中をうろついている。まず必要なものは何だろうか・・・・・・


「あ、ロロさん。ロロさんも買い物ですか?」


 アイシアも買い物に足を運んでいたらしい。


「ああ、装備を整えようとな。片手剣くらいは欲しいからな」


「待ってください。いい店があります。案内しましょう」


「え、ちょっと!わっ!」


 少し強引だが、案内してもらうことになった。またこの展開か。少し気が乗らないがついていくことにした。


「アイシアは、王都にはよく来るのか?」

 

 王都には詳しいようだから聞いてみることにした。話題がないには気まずいしな。


「はい。武器の修理をするたびに来ていますよ。代わりに渡された剣はありましたが、さっき折りました」


 なんで最後に気まずい雰囲気で終わらせるのだろうか。せっかく話題を作ってあげたのに・・・・・・流石にもうどうしたらいいかわからない。


「あ、そうでした。魔族を倒すための武器について紹介しましょう」


「魔族を倒すための武器!?」


 初めて聞いた。人間は俺たちを倒すためにそんなものまで作っていたのか。


「はい、魔族は魔法を使うことはご存知ですね。私たち人間は、魔法の効果、属性、などの水晶を武器に加工し、それを使って戦うことになります。しかし、これは魔族には使うことができません。自分が所有する魔力が拒絶反応を起こし、死にます」


 え?何それこわっ!死ぬの?俺もう魔族ってばれるじゃん。


「着きました。ここです」


 見た目は他より一回りは小さい店だ。


「お邪魔します」


 店の中にはずらりと剣が並び、カウンターの前に一人の男が立っていた。


「頼んでいた武器は治りましたか?」


「おう!この通りだ!」


 作業着を着たスキンヘッドの男がガハハと笑っている。気がよさそうな人だ。


「さすがですね。あ、そうだ!おじさん、この人に会う片手剣はないですか?」


「え?」


 つい声に出てしまった。


「え?って当たり前じゃないですか。これから先魔族との激しい戦闘の毎日です。武器は必要でしょう」


 アイシアの優しさがむしろ俺を殺しに来てる。どう回避しよう。


「あるぜ。丁度いいのがな。自分を身体能力を底上げしてくれる剣だ。値段は少し張るが、これは一級品だ。なかなかお目にかかれないぜ」


「いいですね。それをください。お金はリッカルド王が免除してくれるので」


 やばい!買う流れになってる。相変わらずの行動力圧倒され、すでに冷汗がすごい。


「はいよ!気を付けていくんだぞ!命あっての人生だからな」


 おじさんは、ニカッと笑い激励をくれた。なんていい人なんだろう。いや、そうじゃない。おじさんの優しさについ感激してしまうが、おじさんの言ってる通り、命あっての人生だ。止めなければ。


「あの、アイシア。俺はその・・・・・・」


「はいどうぞ。試し斬りです。この金属を切ってみてください。ちなみに硬さは指折りですよ」


 と、アイシアは俺の言葉を遮り剣を渡してくる。


 あれ、何故だろう。使える気がした。俺は魔族なのになぜだか使える気がしてならない。


 そして、剣の魔力を開放させ剣を振り下ろす。剣を振っただけなのにこのパワーだと。勢いがあまり、金属だけではなく、床まで斬れてしまった。


「あ、その、すいません。まさかこんなことになるなんて、必ず弁償はしますので」


 やってしまった。まさかこんなに切れるだなんて・・・・・・


「ガハハハハっ!すげえな兄ちゃん!気にすることはないぜ。この店は元からボロいからな。こんなのそんなに気になんねえって!」


 おじさんはそういうと笑って許してくれた。ここまで優しくしてもらうとついついその厚意に甘えてしまいそうになる。


「今日はありがとうございました。また来ます」


 アイシアが軽く礼いって、店を後にしようとした。


「ああ、生きて帰って来いよ!兄ちゃんも気をつけてな!」


 俺は軽く礼をしアイシアのあとについて外に出る。


「そう言えばアイシア。お前、貸した剣はどうした?」


「急用ができました。ロロさん急ぎましょう」


「おい!おまえ。まさか、折ったのか!?折ったんだな!クソッ!待て!おい!」


 アイシアと俺は後ろで叫び、呼び止めるおじさんを無視して、街中を走り抜けた。


 そういえば、何故魔族の俺にこの武器が使えたんだ?俺は、自分の剣を考えたが結局何もわからずじまいか。


「いい買い物ができましたね」


「ああ。今日は助かった。ありがとう」


「いえ、礼を言うのは私のほうです。あなたがいなければ、私はあの時に死んでいたでしょう」


 面と向かって礼を言われたことは初めてだった。照れるもんだな。


「そっか・・・・・・じゃあ、これでお相子だ。だから、気にすんな」


 少しかっこつけすぎただろうか、その場の勢いで行ってしまった。


「そうですか・・・・・・ロロさんがそう言うなら。ではまた明日。あ、東の門集合ですよ。遅れないようにしてくださいね」


 と、言いアイシアは、宿屋に入っていった。俺もそろそろ準備するか。


 装備品とは別に、少し大きめのフード付きのマントを買った。これで少しはばれずに戦うことができるだろう。よし、今日は寝るか。宿屋のベッドに倒れこみ、すぐに眠りに落ちた。

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魔王様が魔王城攻略パーティに加入しました。 月城 ゆあ @Yua_Tukisiro

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