9 爆破

気づいた時には意識があった。いや、それ以前にあったのだが実に朧気なモノだった。

私の根底にあるのは『此処に入る者を殺せ』という命令。

先程も、進入してきた『ヒト』4体、『エルフ』3体『ビスト』1体を排除しようとした。

『ヒト』4体、『エルフ』3体は殺害した。

だが、上から落ちてきた『ヒト』とよく似た『識別不能』によって、『ビスト』の殺害に失敗した。その後、対象を見失った。

それから、いくら探しても、それらは見つからなかった。

幾分か時間がたった後、突如背中に衝撃が走った。





私は背中に取り付くことに成功し、現在は倒す算段の実行中だ。

と言うわけで、現在進行形で龍型のゴーレムにドリルで穴を空けている。

それをコアに到達するまで行う。

前に飛翔爆雷を食らって強度が落ちた装甲を貫通するのはたやすかった。

とりあえず、コア付近まで掘り進めた。

よくよく考えたら頭から入ったので、姿勢がちょうど逆立ちの様な感じになっていた。

とりあえず、周囲を掘って動きやすい様にする。

「さて…ここがコアと言うわけだが…」

コアが封入された外殻のハッチをこじ開ける。

「こうやって出力を補っていたのか。」

目に映ったのは計11個のコア。一個のコアを囲むようにその他のコアが配置されている。

「これ全部引っこ抜いたら止まるんじゃねぇの?」

正直言って時間がない。あの獣耳が起きるまでに片付けなければならない。

私は躊躇せずそのコアを抜いた。

一つ抜くと龍型が暴れ出した。

3つ抜く頃には魔力の逆流が起こった。イメージ的には回路のショートに近い。

7つ抜く頃には暴れが治まってきた。

10個抜く頃には殆ど動かなくなっていた。

そして、最後の一個を引き抜こうとした。

次の瞬間、私は開けた穴から吹っ飛ばされた。

「再起動!?」




<システム>

補助じぇねれーたーが認識でキませン

リみっターの解除 完ryoう

攻撃タい象、ニン識


まずい、自分が維持できない。

自分がいなくなる。


システム を サブ しす てム にき りか え


自分が段々と崩レ てい ク


main しすてム て i si


イや だ



target lock engage


</system>


自分の掘った穴から吹き飛ばされ、空中に投げ出される。

どうにか着地に成功するが、靴に仕込んだ衝殺石布が消せる衝撃の限度を越えてしまい、体に衝撃が伝達する。しばらく、硬直。

その硬直の間に、熱線を撃とうとしてくる。

「ぬがァ!?」

ギリギリで硬直が解け、回避に成功する。

次の瞬間、熱線が飛んでくる。

「うわっとっ!」

ギリギリでローリングで回避する。

「ちょっ…2連射!?」

アリですかそれ!?

確か熱線後の動きは突撃だったから…

予想通り竜型ゴーレムの動きは突撃だった。でも以前より速い。

「リミッター解除したとかそんな感じィ!?」

壁に衝突した後、めり込んでしばらく動けなくなっていた。

「これは…チャンスなのでは?」

とりあえず足元へ行き、装甲の禿げた所に飛翔爆雷をぶっ刺す。

爆発し、もう一本おかわりです突き刺す。

爆発。もう一本刺そうと思ったが、そろそろ復帰しそうなので逃げることにした。

十数メートル離れた辺りで龍型は壁から抜け出してくる。

こっちを向き、腕を振るってくる。

瞬間、腕が伸びた。

「仕掛け付きだったのか。」

どんな仕組みで動いてるのかすっごく気になるが、思考を戦闘時のモノに戻す。

恐らく、あの仕掛け腕は接近時の防御手段だ。だが、変形前の腕ではあまりにも短すぎる。盾かなにかあれば抑えれるくらいには。

そこが狙い目だろう。

飛んできた仕掛け腕を『空間術』で仕舞っていた剛石で即席の盾を作り、受け流す。削れる先から剛石を継ぎ足してギリギリ持っているようなもの。

ギリギリだが、こっちが先に懐に入れた。

「まず第一段階ぃ!」

拡張領域からあるものを取り出す。

ぱっと見騎乗槍に見えるソレ。だが大きな違いは先端部分が注射器のような形状になっている。『試製1型銃槍』。この武器に名付けられた名称だ。構造上と耐久性の問題で装弾数は一発きり。だが威力『試作型40mm単発式銃』どころか『試作型単発式銃槍』よりデカい。しかもゼロ距離。やることはただ一つ。

コアがある部分に銃槍をぶっ刺す。

「吹っ飛びやがれぇ!」

撃鉄を引き、ぶっ放す。

直後に爆発。

装甲が吹っ飛び骨格が露出する。

装甲を無視して爆発が起こり、装甲を外へ吹き飛ばし、内部機構まで抉る爆発と衝撃を受けた竜型ゴーレムも流石に姿勢を崩す。

砲身がひしゃげ、ドロドロに溶けた銃槍を手放す。

HMD越しにコアがある場所を見据える。

そこに右手を突っ込む。

コアらしきものをつかむ。

「ぐるるるァァァ!」

一気に引き抜き、引きちぎる。

確かにそこにコアは握られていた。

そして、龍型のゴーレムがその場で停止した。

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