08 助けた理由

竜型のゴーレムを前に、どうやって倒すか考える。持ちうる装備で安定して火力を出せるのは飛翔爆雷だろう。

だが、ゴーレムの動力たるコアがどこに有るかも反応がぼやけて分からない。

正直言って情報が足りない。

幾つか攻撃手段はある。

って、こっちにゴーレムが走ってきてる!

取りあえず獣耳を抱えて回避する。

が、ゴーレムは尻尾をぶつけようと振り回してきた。

どうにか、しゃがんだり、ローリングして避けきる。ついでに噴進槍と飛翔爆雷を叩き込んだが、ダメージは微々たるものだった。

装甲と思わしき岩は剥がせたが、次には布らしきモノが露出した。おそらく石布だろう。

『試作型40mm単発式銃』を取り出して、装甲が剥がれた部分へ弾丸をぶち込む。

布地は破れず、ダメージは内容だった。

正直言って打つて無し。

「一旦体制を立て直すか。」

ゴーレムの頭部目掛けて10本の飛翔爆雷をぶち込む。

ゴーレムが私達を見失う。

壁目掛けて『補強されたピッケル』をぶつける。『広域破壊』を使い、ある程度の空間が出来る。

そこに入り、壊した時に生じた石で新しい壁を作る。

取り合えずば一安心だ。


「ふう」

一息つく。あの竜型ゴーレムをどう倒すか考えようと思ったが、後悔が先に来た。

「やっちまった…ほんとどーしよ」

その理由は、目の前の獣耳を助けてしまった事だ。

「何故助けたんだろう…」

こいつも、目が覚めたら私を殺しに来るかもしれない。だが、それに関わらず私は助けてしまった。

「何でこいつはあいつらについて行ってたんだろう?」

遠目から見てもあいつは不満を抱いていた。

昔の自分に似てたからだろうか。

自分の様になってほしくなかったからか?

かなり自分勝手だと思う。

だが、自分勝手も唯、自分がやりたいように自由に行動してるだけだと私は考える。

随分とねじ曲がった考えだと思う。

だが、結局助けるというのは『自分勝手』だと思う。

少なくとも、私が今まで見てきた人間は良くも悪くもこういう奴ばかりだった。

自分を格上げやネタの為にいじめた奴らも、わざわざ助けた先生も、今こうしてる自分も自分勝手の結果だ。

「結局、自分の意思なんだよなぁ…」

色々言い繕ってるが、ただ助けたいから助けた。今はこれで十分じゃないか。



さて、あの竜型ゴーレムを倒す算段を考えよう。

まずは、どうあの装甲を突破するかだ。

HMDによってコアが何処にあるかは見当が付いている。だが意外と体の内部に位置してるので、意外と手を奥に突っ込むどころか、体の中に侵入するぐらいしないとコアを引きちぎれない。その上周囲はあの装甲とあの丈夫な石布、その上フレームも在るだろう。

正直な話、倒すのはかなり厳しい。

回避するのは容易いが火力が足りない。

だが、背中は無防備だ。装甲は固いが。

じゃあ、もう一回上から突撃すればいい。

「よし」

腹を括るしか無さそうだ。






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