『命の天秤』、『夢のゆりかご~ドラマ編~』に続く心理学シリーズ。
高村香澄とフローラ・S・ハリソンがルティア夫妻の不妊治療を扱った『ルティア計画』の謎に臨み、新たな境地を切り開いていきます。専門的な内容を前書きなどで解説し、アメリカの舞台設定も主要な場所と位置を押さえた上で、FBIなどの組織も取り入れてのフィクション化に成功していると思いました。クローン技術などの倫理的問題も扱い、場面、場面で登場人物それぞれの心の表と裏で微妙に交錯するような思いやそれに伴う行動なども理路整然と描かれています。また、巧妙な心理戦なども取り入れたスリルある展開にはドラマや映画を見ているような感覚で惹きこまれる力作です。
Web小説では珍しいと思われる、現実のアメリカを舞台にしたミステリーです。
その時点で、作者様の気概が感じられますが、そこに心理学や、不妊治療などの要素も絡めて、より深く複雑に、かつミステリアスな内容に仕上げています!
ルティア計画と呼ばれる謎の計画に読者は支配されながらも、少しずつ解明されていき、最後は心理学を巧みに絡めて見事に解決されます!
壮大ながらも無駄のない作りになっていて、さらには馴染みのない用語については説明され、さらにはレポートにて総括されるという、読者への気の配りようも、ありがたいです。
なお、同シリーズの作品が複数ありますが、本作だけでも十分楽しめる作品だと思います。
是非ご一読を☆
約20年前にアメリカやマスコミを震撼させ失敗に終わったと思われていた実験、通称「ルティア計画」が現代でも密かに行われていた……と主人公の香澄ちゃんたちが知り、それを阻止するストーリーです。
大きなポイントとして、「ルティア計画」で誕生した数名の子どもの存在だと思います。いずれも高い知能指数を記録する天才児ですが、精神錯乱や暴行行為を起こしやすいなどの問題点もあります。また計画を実行した2人の医師が子どもたちへ「NO.Ⅰ~NO.Ⅳ」と名付けていることから、彼らの狂気も感じられるような恐ろしい人間心理も描かれています。
そんな数名の子どもたちの暴走と計画提案者の2人の陰謀を止めるべく、香澄ちゃんたちが立ち上がります。心理学を専攻していた知識も存分に活かされており、犯行動機の考察や犯人像のプロファイリングなどの描写も見所です。
さらに「ルティア計画」の始まりとも呼べるきっかけが、「不妊」という私たちにとって馴染み深いものです。女性なら誰もが不安に思う内容なだけに、どこか近未来を感じさせるようなSF心理学ミステリー小説だと思います。
ワシントン大学で発生した「いじめ問題」「盗難未遂事件」を解決した主人公高村香澄が、20年前にアメリカを騒がせたある計画を調査・真相を暴くというストーリーです。
前作「命の天秤」の特徴を上手に引き継いでおり、心理学をベースに丁寧な心理描写・リアリティのある表現力・海外ドラマのような作風などを堪能出来る作品だと思います^^
「完結編」のメインテーマとなっている計画については、私たちにとって身近な治療法の「不妊治療」が一つの鍵となります。身近であるがゆえにリアルで恐ろしく、私を含めた読者を独自の世界観へ引き込みます。
そして香澄たちが無事解決した、ワシントン大学の「いじめ問題」「盗難未遂事件」との関連性についてなど、読めば読むほど謎が深まるという気持ちになります!その謎についてはまだ公開されていないため、今後の更新を心待ちにしています^^
さらに計画を暴いていく中で、「アメリカ政府」「FBI」などの言葉も多く出てきます。アメリカが舞台となる海外ドラマや映画が好きな方であれば、楽しめること間違いなしです!