堂喪の場合

 こんにちは、あるいははじめまして。堂喪どうもじゃ。


 目井めいの紹介?

 医者仲間としては尊敬に値するが、憂うべき部分もあるのう。


 そうじゃな… あ、ちょい待て…


 おい、喋るな甲藻こうも。 今喋っていいのはわしだけじゃ。わしだけが選ばれたんじゃ。

 あ? なぜわしが選ばれたか知っとるかじゃと? 決まっておろう、おぬしよりわしの方が医者として優秀だからじゃ。


 え? 半端なく違う? ただ単なる作者の気まぐれ?

 ああ、そうなの…


 す、すまん。ともかく、目井について話すぞ。


 目井はわしや甲藻を本心から尊敬しとると言っておるが、能力は間違いなく奴の方が上じゃ。わしら2人の手に負えないような状態の医者仲間をあっさり治したこともあるしな。本人には自覚はなさそうじゃがの。


 しかし、奴は患者様の命さえ救えば患者様がどんな状態になってもいいと思っている節がある。

 何を隠そう、わしらもかつて目井に命を救ってもらった身じゃ。死んでいて当たり前の大怪我じゃったから、助けてくれたこと自体には感謝せねばならん。医者として、命を諦めたくない気持ちも命を尊ぶ気持ちも理解はできる。わしらの知る限り、奴は生命あるものを殺そうと思って殺したことは一度もないはずじゃしのう。


 ただ、その助け方がの… 確かに命は助かるが、一生最悪なものを背負い続けなければならなくなる類のものでな…

 それでも、あやつは見殺しにするよりも、こんなんでも生きてる方が遥かにマシだと信じて疑わないんじゃよ。


 腕は確かじゃ。じゃが、あの考え方のために今後も更なる問題を引き起こしそうな気がして気がかりなんじゃ…

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名医の目井さんの患者様 PURIN @PURIN1125

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