第16話 どうやら男子校が楽しくなかった弟

沙和「どっちかというと動物園…?」


悠人「教室内に常にゴミ落ちてて汚ねぇし、常に何となく臭い!汗臭い!男臭い!

まるでゴリラの檻に放り込まれたような気分だ!」


沙和「いやいや、お前もそのゴリラの内の一人だからな。


あぁ…でもそれで言うと、女子校は確かに教室内それなりにキレイだったと思う。

それで運動部の子多かったから、みんな汗を気にしてか、『かけすぎやろ!』ってくらい制汗スプレー振りまいてて…いつもフローラルな香りがしてた。」


悠人「フローラルな香り…やっぱ天国じゃねぇか!

それだけでも羨ましいぜ!

たとえ汗止めスプレーのかけすぎによるものでも…


あと覚えてるのは…

ある日のホームルームで、

先生が『はーい、誰か先週これ体育館に落とした奴いないかー』って皆に見せた落とし物が…学ランだった。


学ラン落として気づかないって、どういう奴だよ!まだ春先で肌寒かったぞ!」


沙和「あれ、最近コイツ学ラン着てねぇぞ?って子とかいなかったの?」


悠人「結局、よく分からん…俺のクラスの奴のじゃなかったのかもしれん。」


沙和「確かにダイナミックな落とし物だよね。

うちではさすがにそんなことは無かったなぁ。

男子校だと笑い話で済むけど…

女子校で言ったら、体育館にセーラー服が落ちてるようなもんだよね。

なんか事件の匂いすらするわ。」


悠人「完全に事件だな。

見てすぐさま110番してしまいそうだな。


あと、男子ばっかで欲求不満感がすごい!

やたらと人にベタベタ触ってくるやつとかいんだよ!

ムダに肩組んできたり!」


沙和「えー、あらあら。バレンタインにチョコあげちゃったりとか?」


悠人「いや…さすがにそれはいなかったと思うけど…

でもなぜか俺の写真を、携帯の待ち受けにされたことがある。」


沙和「ええぇっ!?何それ、カップルの行動じゃん!

あんたとその子、付き合ってたんじゃないの?」


悠人「付き合ってねぇぇぇーよ!!」


沙和「告白された?」


悠人「されねぇぇー!ニヤニヤすんな、腐女子!キモい!」


沙和「ひどっ…(BL読んだこともない人間に向かって…)」


悠人「人間関係も面倒臭くてさー。

なんか皆ジメッとしてんの。裏で何か

陰口言ったりとか…女々しい!」


沙和「へぇー!なんか興味深いね。

男子校って、女子校に輪をかけてうるさくてアホで、もっとカラッとした感じかと思いきや…


女子が女子ばっかりだと男子化するように、男子は男子ばっかりだと逆に女子化するんじゃない?

異性がいないという、自然界的には不自然な状況に対応しようとして、補うような習性が、人間にはあるんじゃない?


そういう実験ありそう!

ていうか、既に男子校や女子校の生徒達から、本人達には知らせず、こっそりデータとってたりして!」


悠人「なんてこった…!

俺らは知らないうちに実験台にされてたのかよ…!

哀れなモルモットってわけか!」


沙和「いや、ゴリラな。哀れなゴリラ。

でもあんた、今は大学共学なんだから

別に良いじゃん。」


悠人「いや…、男子校による負の遺産が抜けない。

なんか、女子の目をまっすぐ見れない。

あと共学出身の男子に対して、なぜだかすごい劣等感を感じる!」


沙和「あー、それ分かる気がする…

何だろね、あの劣等感。


てか、私なんか中高大と10年間女子校だし、職場も女性多めなとこばっかりだし…重症じゃん。

でも、私はやっぱラクだけどな、異性がいないの、それはそれで。

あんたの男子校の友達にも、聞いてみたら意外といるんじゃない?

『男子校、俺は結構楽しかったよー!』って奴も。」


悠人「いや!いるわけがない、そんな奴は!…皆無だ!!」


沙和(もー、何があったんだよ、男子校で…)

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ワンピースと彼女 内森 @uchimori

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