エピローグ 春の終わりに
第142話 そして今日も穏やかな日
会長をはじめ僕ら4人は停学処分になった。
罪状は無断外泊及びその幇助だ。
結果、5月9日(土曜日)と5月10日(日曜日)の2日間の停学。
なお停学日は授業に出てはいけないが、他の事はしていいらしい。
そして当然ながら土曜日と日曜日には授業は無い。
温情措置で内申書等の書類にはこの停学処分は記載されないとの事。
つまりはまあ、名目だけの何もない措置だ。
そして停学日の9日土曜日。
僕はいつものように理彩さんの部屋で昼食を食べている。
今日のメニューはつけ麺。
簡単なのでつい作ってしまうのだ。
「今度、特別科の存在をオープンにするらしいよ。取り敢えず学内に対してだけれど、普通科に対してもだって」
未来さんがそんな事を言う。
「どこからの情報?」
「開発部経由で副学園長からだって」
なるほど。
それならきっと確かだろう。
でも。
「それはそれで不安とか無いか。特別科は神経質だって前に聞いたけれどさ」
「今は問題無い。特別科内でも意見が動いた」
理彩さんが言うなら確かだろう。
「でも、この前の事件がそのきっかけだったりしたらかなり恥ずかしいよな。僕より春日野とか栗平の方がさ」
栗平の楓さんを諦めないぞと言う長台詞。
実はあのあたりからの話は全部、楓さんと聡美さん経由で保養所内全部に魔法中継されたらしい。
楓さんと会長はその事を知っていたとの事。
勘弁してくれよと言いたい。
でもきっと俺より栗平の方がもっと色々文句を言いたいだろう。
でもあそこのバカップルには、たまにこれくらいはやってもいいような気もするけれど。
「正樹の方は不安は無いのか」
理彩さんにそんな事を聞かれる。
「でもそれがきっと正しいんだろ。取り敢えず学校内でだけでも明らかにしてさ」
それからもっと広い範囲に広がるかはわからないけれど。
力があるとか足が速いとか頭がいいとかと同じ次元で。
魔法を使えるという事を個人の単なる長所だと考えられる。
そういう時代もいつか訪れてくれるのかな。
でも、さしあたっての僕の不安はひとつだけ。
この2人にコナかけてくる生徒が出ないだろうかという事。
未来さんも理彩さんも可愛いから。
まあ相手が本当にいい奴だったら考えてもいいかもしれないけれど。
それはそれで寂しいけれどさ。
「正樹、今の思考丸見え」
理彩さんに言われて気づく。
ちょっと不用意に色々考えてしまった事を。
「理彩、口には出すなよ」
「口に出さないけれど未来と共有した」
おい、それ意味ないだろう。
未来さんも苦笑している。
「いい相手がいたらしょうがないかって、どっちかというとお父さん的発想だよね、それ」
「同感」
責められる。
でもまあしょうがないか、とも思ったりする。
取り敢えず今のこんな関係、僕はとても好きだから。
僕の怪しい課外活動 ~特別科は魔女の巣窟~ 於田縫紀 @otanuki
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