第9話 図書館の悪魔

 辞書には図書館とはたくさんの本が置かれている場所だと書かれている。しかし、それは旧世代てきな説明だ。俺たちは図書館に司書さんに会いに行く。図書館にいる司書さんはクラスAまでの図書データにアクセスできる権利をもっている。一般人が閲覧できる図書データのほぼすべてだ。彼女たちはその中から訪れた人の知りたい情報がのっている図書を一瞬で探しだす。


「イブはどんな本がすきなの??」


 小さな女の子が司書さんに聞く。司書さんに名前はない。イブというのは女の子が勝手に付けたなまえだ。司書さんはしゃがんで少女の質問に答える。


「わたしはどんな本もすきです。……実は、最近はコイ占いの本にはまってるんです。恥かしいからヒミツにしてくださいね?」


「うん!わかった」


 少女は走っていく。


「館内では走っちゃだめですよ!」


 司書さんは人工知能アバターだ。訪れた人の応対から図書の管理まで行っている。


 まあ、何がいいたいかというと司書さんのちょっとおちゃめな接客方法から彼女の人気は爆発した。彼女とあれこれするために多くの構築者が頭をひねったものだ。ユーザーが一定時間じっとしているとポップするプログラムを利用して司書さんを無限に増やすバグをコードにいれたり、司書さんのスカートのなかに入りこむために図書館の床を改造したりとやりたい放題だった。


 あまりにもセクハラをされるので司書さんにも自衛してもらうためにどんどんAIを優秀にしていったらしい。おかげで会話能力もかなり高くなり、ますます人間らしくなっていった。いまや人間のアバターと区別がつかないほど進化していてますますセクハラのしがいが……。


「だいじょうぶ?あいつにひどいことされたの??」


 そういってぼっちちゃんに指をさされる修二。どうやらおっパイを揉んでいたと勘違いされているらしい。司書さんもそんなことはないといってくれだろうし、弁解するほうがあやしいよな、なんて修二は考えている。


 しかし、司書さんは優秀なのだ。修二の方をみてにやりとわらい。


「そうなんです。あの男にいきなり胸をまさぐられて……」


 そういってしくしくと泣きまねをする。


「大丈夫。私がまもるから。司書さんは友達だもん」


 ぼっちちゃんは司書さんをかばって前にでる。司書さんは見られてないのをいいことに修二にてへぺろしている。


(うそだろ)

 

 



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ネットで犯罪をすると怖いお兄さんが出てくるみたいです 蒼井治夫 @kisser

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