昼日中、藤の雨

作者 坂水

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★★★ Excellent!!!

高校生の頃、親しみを抱いていた司書教諭を意外な場所で見かけた主人公。彼女は電話の相手に「雨音が聞こえるか」尋ねている。快晴にもかかわらず……
時を経て、出身高校で教師となった主人公は、ふとしたことから、あの日の司書教諭の妙な言葉の真意を知る。

誰にも経験のある大人になるということを描く文学でありながら、ミステリ的側面もある作品。

★★★ Excellent!!!

風薫る5月の公園での昼下がり

交錯する現在と過去の出来事

あのとき降っていたのは雨? そうではないもの?
そしてそれは彼女の嘘? それとも……。

主人公目線で想い返すあの頃とあの人。
今目の前にいる初老の男性。
言葉にはしないけれど交錯する想い。

読み進めるにつれてさざ波のように心が揺れます。
それはあの公園の藤棚の花房が揺れるように。
爽やかな風を感じつつも「いろいろな」ことを思わせてくれる素敵な短編です。