昼日中、藤の雨

作者 坂水

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★★★ Excellent!!!

『雨音』はかつてあった恋を語っていたのか、そうではないのか。秘められた背景を象徴するかのようなうつくしい藤花の雨に、想像力をかき立てられます。
「いろいろ」に込められた意味を思い巡らせられるだけ大人になった主人公とともに、しばし浸っていたい作品です。

★★★ Excellent!!!

直接このお囃子と関わりがあるかはわかりませんが、自分は雨の音が結構好きなんです。
どこかに出掛けなければならない時や、仕事がある時以外は、、、。

雨音を聞くとどこか落ち着く。そしてちょっぴり切なくなることも事実です。
雨に期待を裏切られたことの方が多いはずなのに。

この物語では、その時代ごとの風景や人物で、ヒロインの心情を上手く描かれています。
題材である藤の花も、物語の哀愁を引き立てる。
晴れた日の雨音は、さぞかし綺麗な音なのでしょうね。
綺麗だけでなく、色々な物が詰まって、センチメンタルな気持ちにもさせてくれそうです。

素敵な物語をありがとうございました。


にぎた

★★★ Excellent!!!

高校生の頃、親しみを抱いていた司書教諭を意外な場所で見かけた主人公。彼女は電話の相手に「雨音が聞こえるか」尋ねている。快晴にもかかわらず……
時を経て、出身高校で教師となった主人公は、ふとしたことから、あの日の司書教諭の妙な言葉の真意を知る。

誰にも経験のある大人になるということを描く文学でありながら、ミステリ的側面もある作品。

★★★ Excellent!!!

風薫る5月の公園での昼下がり

交錯する現在と過去の出来事

あのとき降っていたのは雨? そうではないもの?
そしてそれは彼女の嘘? それとも……。

主人公目線で想い返すあの頃とあの人。
今目の前にいる初老の男性。
言葉にはしないけれど交錯する想い。

読み進めるにつれてさざ波のように心が揺れます。
それはあの公園の藤棚の花房が揺れるように。
爽やかな風を感じつつも「いろいろな」ことを思わせてくれる素敵な短編です。